こんにちは。
奈良の加圧パーソナルトレーナー下司健太郎です。
この記事では加圧状態で行う有酸素運動の効果について書いています。
- 加圧は筋力アップだけでなく有酸素能力向上効果も
- 加圧ウォーキングが有酸素能力を改善
- 加圧サイクリングで有酸素能力向上
- アスリートに対しても加圧ウォークで有酸素能力向上
- 筋肉を付けながら持久力向上という一石二鳥効果
- 加圧有酸素運動の取り入れ方の例
- 参考文献
加圧は筋力アップだけでなく有酸素能力向上効果も
加圧トレーニングといえば筋肉がつくイメージだったり、ダイエットのイメージだったりするかと思います。
もちろん実際そういう効果が期待できます。
実は加圧トレーニングは筋肉をつけたりダイエットに効果があるだけではなく、ランニングといった持久力の向上にも効果が期待できます。
近年大人気のマラソンも持久力が大切なので、加圧トレーニングによってタイムを縮めることができるかもしれませんよ。
加圧ウォーキングが有酸素能力を改善
加圧トレーニングの研究は筋肉の発達や筋力の増加に関するものが多く、有酸素能力への影響に関する研究はそれほど多くはありませんでした。
そこで、テキサスA&M大学の研究グループは、加圧トレーニングの有酸素能力に対する効果を調べました。*1
3週間の加圧ウォーキングが最大酸素摂取量、1.5マイル走(約2.6km)タイム、太ももの筋肉の横断面積にどのような影響を与えるのか調査を行いました。
研究は、運動経験のある男性10人に3週間加圧ウォーキングを実施。
実験の前後に、最大酸素摂取量、1.5マイル走タイム、大腿部の横断面積の測定を行い、加圧ウォーキングによる変化を調べました。
3週間の加圧ウォークで持久力向上と筋肉が発達
その結果、加圧ウォーキングによって
最大酸素摂取量の増加
1.5マイル走タイムの有意な改善
大腿部の筋横断面積の有意な増加
が見られたとのこと。
ランニングよりも低い強度、少ない時間であるにもかかわらず、これらの効果が得られるというのは大きいですね。
加圧サイクリングで有酸素能力向上
他の研究も見てみましょう。
東京大学の安倍らのグループは加圧状態での低強度サイクリングトレーニングの効果を調べました。*2
実験は平均年齢23歳の若い男性を対象に行われました。
被験者を
- 最大酸素摂取量の40%強度で加圧サイクリングを15分間
- 最大酸素摂取量の40%強度で普通のサイクリングを45分間
以上の2つのグループにわけ、週3回8週間のトレーニングを行ってもらいました。
8週間、計24回の加圧サイクリングで持久力&筋力アップ
その結果、加圧サイクリングを行なったグループは、
- 太ももの筋肉の断面積が3.4~5.1%増加
- 膝を伸ばす筋力が7.7%増加
- 最大酸素摂取量が6.4%増加
- 疲労困憊になるまでの運動時間が15.4%延長
という結果が見られました。
ちなみに普通のサイクリングを45分間行なったグループには大きな変化は見られなかったとのこと。
最大酸素摂取量(VO2max)の40%というのはウォーミングアップと同じくらいの強度です。
ウォーミングアップ程度の強度にもかかわらず、筋肉が発達すると同時に有酸素能力も改善するという結果が見られました。
アスリートに対しても加圧ウォークで有酸素能力向上
加圧をしながらのウォーキングやサイクリングが効果的なのはわかりましたが、アスリートに対して効果はあるのかはわかっていませんでした。
そこで韓国スポーツ科学院のパークらは、アスリートに対する加圧ウォーキングの効果を調べました。*3
対象となったのはバリバリでトレーニングを行っている大学バスケットボール選手12名。
加圧ウォーキングを
- 速度:時速4~6km/h
- 傾斜:5%
- 3分歩いて1分休憩を5セット
- 1日2回、週6日を2週間
という内容で行いました。
合計12回の加圧ウォーキングです。
トレーニングの結果、わずか2週間で最大酸素摂取量が11.6%改善しました。
運動初心者であれば何をしても効果が出るんですが、アスリートが対象でも同様に効果があるということですね。
この実験では1日2回行なっていますが、朝、夕それぞれ20分ずつ、実際に歩いている時間は15分ずつという短い時間です。
朝練の際に15分、放課後の練習が終わった後に15分加圧ウォーキングを行うといった感じです。
決してきつい内容ではありませんね。
筋肉を付けながら持久力向上という一石二鳥効果
実験で行われたのはいずれも加圧ベルトを巻いた状態でバイクをこぐか歩くという簡単な運動を行ったものです。
そのような簡単な運動であるにもかかわらず、筋肉の発達と有酸素能力の向上が同時に起きたのは注目です。
普通にトレーニングを行うと、筋肉の発達と有酸素能力の向上を同時に行うのは難しいとされているからです。
加圧ウォーキングや加圧サイクリングといった、加圧状態で行う有酸素運動はこれから注目するべきトレーニング方法と言えそうです。
マラソンタイムを改善するために日々トレーニングしているって方は、トレーニングの一環として加圧有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。
きっとあなたのタイムが改善するでしょう。
ちなみにマイ加圧ベルトがあると自分で加圧ウォーキングができます。
トレーニング指導場所・料金・ベルト販売などについて - もしもししもしです。
加圧有酸素運動の取り入れ方の例
マラソンランナーの場合
マラソンランナーの場合、ランニングの距離や時間を伸ばせばタイムは伸びるんですが、ランニングを増やしたらそれに伴い身体への負担も増えてしまいます。
その結果、怪我をしてしまってタイムは伸びるどころか落ちてしまうということが起きてしまいます。
そこで、ランニングの距離や時間の一部を加圧ウォーキングや加圧ジョギングに置き換えます。
ランニングよりも運動強度は低いので怪我の心配はなく、今回紹介したような効果が期待できるでしょう。
競技スポーツをしている場合
野球やサッカーなどのスポーツをしている場合、全体練習では技術的、戦術的なトレーニングに重きを置くことが多いかと思います。
そこで、全体練習、技術的な練習が終わった後に加圧ウォーキングや加圧ジョギングなどの加圧有酸素運動を取り入れるという方法がオススメです。
15分程度なので練習後であっても体力的にそれ程負担になることはありません。
それにもかかわらず、持久力や筋力強化効果が期待できます。
さらに、体幹にも効果が出る!加圧トレーニングの効果転移についての記事のように、技術練習などで使われた筋肉の発達を促すことにもなり、一石三鳥効果が得られます。
ぜひお試しください。
参考文献
*1:"BFR Walk Training and VO2Max" by William Ursprung and John D. Smith
*2:Effects of Low-Intensity Cycle Training with Restricted Leg Blood Flow on Thigh Muscle Volume and VO2MAX in Young Men. - PubMed - NCBI
*3:Increase in maximal oxygen uptake following 2-week walk training with blood flow occlusion in athletes. - PubMed - NCBI