トレーニングをしていてよく耳にする言葉に筋肉と筋力があります。
運動をすると「筋肉がつく」とか「筋力がつく」って言われますよね。
さて、そんな「筋肉がつく」と「筋力がつく」の違いはご存知でしょうか?
「筋肉」と「筋力」は文字も似ていますし同じ意味で使っていませんか?
トレーニングをしている人にとっては簡単な質問かもしれませんが、意外とよくわからないって方も多いようです。
ということで、今回は「筋肉」と「筋力」の違いについてお話致します。
- 「筋肉」が付く??
- 「筋力」が付く??
- 「筋肉」と「筋力」どちらが大切か?
- 筋肉を増やせば増やすほど筋力を高める可能性が増える
- 高齢者は筋肉を付けなくてはならない
- メジャーでステロイドが流行ったのは筋肉を付けたかったから
- まとめ
「筋肉」が付く??
まずは「筋肉が付く」ことについて説明しましょう。
これは文字通り「筋肉」が付くことです。
あなたが持っている筋肉の量を100としましょう。
これを110、120にしていくのが筋肉を付けるということです。
「筋肉が発達する」「筋肉が太くなる」と表現されたりします。
ということで、「筋肉がつく」というのは筋肉の量が増える、筋肉が太くなるということです。
「筋肥大する」と表現したりもします。
「筋力」が付く??
続いて「筋力がつく」ことについて説明しましょう。
あなたが100の筋肉を持っていても全ての筋肉を使うことはできません。
全力で力を出したつもりであっても、普通は半分の50位しか使えていません。
100の力が出てしまうと筋肉が傷ついてしまうので、無意識の内にセーブしてしまうわけです。
この眠っている力が出るようにするのが筋力を付けるということです。
50しか出せなかった力を、トレーニングによって60、70の力が出せるようになることを「筋力がつく」と表現します。
一流のスポーツ選手は80とか90の力が出せると言われています。
リミッターを外して自分の限界近くまで力を出すことができるわけですね。
「火事場の馬鹿力」って言葉を聞いたことがあると思います。
一般人であっても、命の危機のような緊急時に普段以上の力が出ることですね。
普段は50しか力が出せていない一般人であっても、命の危険などの緊急を要する時に80とか90、下手すれば100に近いところまでの力が出ることです。
命の危機が迫っているのに力をセーブしている場合ではありませんからね。
多少自分の筋肉が傷つこうが命を守るために大きな力を出すことができます。
「筋肉」と「筋力」どちらが大切か?
「筋肉をつける」ことと「筋力をつける」ことの違いをお話致しました。
- 「筋肉をつける」というのは筋肉の量を増やすこと
- 「筋力をつける」というのは力を出せるようにすること
ですね。
なんとなく「筋力をつける」方が大切なように思うかもしれません。
「筋力をつける」ことは大切ですが、それだけではいけません。
「筋肉をつける」ということもとても大切です。
100の筋肉しかなければいくら筋力を高めるトレーニングをしても100以上の力を出すことは絶対にできません。
アスリートでも火事場の馬鹿力でも絶対にできません。
軽自動車に200kmのスピードを出せと言っても無理でしょう。
軽自動車のエンジンにはそれだけのスピードを出すだけの能力がないからです。
200kmのスピードを出すにはスポーツカーに乗り換える必要があります。
スポーツカーには200km以上のスピードを出す能力があるからです。
このようにエンジンの性能を高めるのが「筋肉をつける」というトレーニングになります。
筋肉がないといくら頑張ってもそれ以上の力を出すことはできません。
ただし、スポーツカーに乗り換えれば誰でも200kmのスピードを出すことができるわけではありません。
ペーパードライバーがいきなりスポーツカーに乗っても怖くてスピードを出すことはできないでしょう。
スピードを出すには運転技術を高めることが大切です。
運転技術を高めることで初めてスポーツカーのスペックを発揮し、200kmというスピードで走ることができるようになります。
このように運転技術を高めるのが「筋力をつける」トレーニングになります。
いくら筋肉があっても力の出し方がわからないと性能通りの力を出すことができません。
よって、「筋肉をつける」「筋力をつける」どちらも大切ということになります。
女性アスリートが男性アスリートに劣る理由
ちなみに女性アスリートの記録が男性アスリートよりも劣るのは筋肉が少ないからです。
一般人よりも筋肉はあっても、男性アスリートほどの筋肉をつけることができないからです。
軽自動車でいくら運転技術を磨いても運転技術が一流のスポーツカーには勝てないのです。
これは性別の違いによるものなので覆しようがありません。
そのため、ほとんどのスポーツは男女別に行われるわけですね。
また競技によっては階級分けされているのもこの理由からですね。
柔道やボクシングなどの格闘技が非常に細かく階級が分けられているのは体格の違い、筋肉量に絶対的な差があるからです。
150センチの選手と190センチの選手が戦ったらまず間違いなく身体の大きい選手が勝ちます。
ただ、体格というのは人種、遺伝的なものがあるので、全てのスポーツで体格の大きい人が勝っていては面白くありません。
そのため、小柄な選手も活躍できるよう階級が分けられているわけですね。
筋肉を増やせば増やすほど筋力を高める可能性が増える
階級のある競技の場合は筋肉をつけると体重が変わって階級も変わってしまうので何も考えずに筋肉を増やすわけにはいきません。
出場する階級の制限体重に収まるように筋肉量も調整を行います。
逆に階級制ではないスポーツの場合は筋肉を増やすことが多くなってきます。
野球なんかだと体重制限はないのでオフシーズンに身体を大きくするって話題が出てきます。
100の筋肉を150にまで増やし、50しか出ていない筋力を120、130まで出せるようにしていくわけです。
また100の筋肉で80の力を出すのと、150の筋肉で80の力を出すのとでは、後者の方が身体への負担は少なくなります。
80%で筋力を発揮するか、50%ちょっとの力で良いかで考えれば50%の方が負担は少ないですよね。
もちろんスポーツによっては単純に筋肉・筋力を増やせば良いというわけではありませんが、基本は筋肉を増やして筋力を高めていくことが大切になります。
高齢者は筋肉を付けなくてはならない
さて、高齢者の場合はとにかく筋肉をつけることが大切です。
高齢者の場合は100あった筋肉が50とかまで減ってしまいます。
50しか筋肉がないのに40の力を出そうとするから膝や腰が痛くなったりします。
原付きバイクで60km出そうとすると無理がありますよね。
高齢者は筋力を付けるうんぬんよりも、絶対的に筋肉量が少ないのでまずは筋肉を付けることが大切です。
50の筋肉をとりあえず60、70へと増やす事が大切ってことですね。
そうなれば40の力を出しても余裕があるので膝や腰に痛みが出にくくなったり、楽に動けるようになります。
メジャーでステロイドが流行ったのは筋肉を付けたかったから
余談になりますが、メジャーリーグで大きな問題となったステロイド。
アトピーの薬で使う副腎皮質ステロイドではなく、たんぱく質同化ステロイドというもので筋肉増強剤のことですね。
ステロイドを使うと筋肉の発達が促されます。
通常の筋トレは2歩進んで1歩下がるといった感じで筋肉が発達するのですが、ステロイドを使うと3歩進んで1歩も戻らないといった発達の仕方をします。
思いっきり筋肉を発達させることができるわけですね。
100の筋肉を150どころか200まで発達させることができれば物凄く大きな力が出ます。
そうなればバットも軽々振ることができるので、コンマ何秒間長くボールを見ることができ、振ったバットがボールに当たれば遠くまで飛ばすことができます。
選手にとっては良い結果を出さないとクビになる世界。
結果が出ていない選手にとってはバレてもクビになるだけ、バレなかったら名誉と大金を手にすることができるかもしれないということでステロイドに手を出す選手が多かったんでしょうね。
まとめ
筋肉と筋力の違いなんてそれほど気にする必要はないかもしれませんが、一応知っておくだけでもトレーニングに対する考え方が変わるのではないでしょうか。
筋肉をつけるというのは軽自動車からスポーツカーに乗り換えるようなもの。
筋力をつけるというのはペーパードライバーからベテランドライバーのように運転技術をつけるようなもの。
一般人のトレーニングであればそこまで気にする必要もなく、普通に筋トレをすれば筋肉も筋力も同時についてきます。
話の種に「筋肉」と「筋力」の違いを知っておけば良いのではないでしょうか。
スポーツをしているのであれば「筋肉」と「筋力」の違いは重要なので、筋肉をつけるのか、筋力をつけるのかを意識して行うと良いのではないでしょうか。