加圧トレーニング

加圧有酸素運動で持久力向上・筋肉の発達のダブル効果が得られる

加圧ウォーキング、加圧ランニング、加圧サイクリングといった加圧状態の有酸素運動は、通常の有酸素運動に比べて強度が低いにもかかわらず最大酸素摂取量などの持久力の向上効果が得られる。

また、加圧有酸素運動は強度が低い運動にもかかわらず通常の筋トレに近い筋肥大、筋力アップ効果が得られる。

加圧+有酸素運動は筋肥大&持久力向上のダブル効果が得られる

加圧トレーニングといえば筋肉がつくイメージだったり、ダイエットのイメージだったりするかと思います。

もちろん実際そういう効果が期待できます。

ただ加圧トレーニングはそれだけではありません。

 

実は加圧状態でウォーキングなどの軽い有酸素運動を行うことで通常の有酸素運動よりも低い強度で持久力を高めることができます。

また、通常の有酸素運動では起きない筋肉の発達(筋肥大・筋力向上)の効果も得ることができます。

今回はそんな加圧+有酸素運動の効果についてご紹介していきます。

加圧ウォーキングで太ももの筋肉が発達

まず紹介するのは東京大学の研究者らのグループが2006年に行なった研究です。*1

実験の内容は若い男性18を対象に行われました。

参加者を

  • 加圧ウォーキンググループ
  • 普通のウォーキンググループ

以上の2つのグループに分けてそれぞれのウォーキングを1日2回、3週間実施。

ランニングマシンで分速50m(時速3km)で2分間歩いて1分間休憩という内容で5セット行なってもらいました。

 

その結果

  • 太ももの筋肉が4~7%発達
  • 脚の筋力が8~10%向上

という結果となりました。

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上の図のように普通に歩くグループは筋肉が増えることはなかったのですが、加圧ウォーキングを行ったグループは少しずつ筋肉が増えていきました。

時速3kmというトボトボと歩く程度のスピードで、500m歩いただけで筋肉が発達したという驚きの結果です。

 

ちなみに最初のころの加圧ウォーキングに関する研究では、1分間の休憩を入れて繰り返すものが多いのですが、abe教授曰く

「その頃は休憩を挟みながら行うほうが効果があると思っていた。」

とのこと。

別に休憩を挟む必要はないそうです。

加圧ウォーキングで高齢者の筋肉が発達

東京大学の研究者らが2010年に行なった研究も見てみましょう。*2

実験は60~78歳の男女19歳を対象に行われました。

先程の実験と違って高齢者を対象とした実験ですね。

 

参加者を

  • 加圧ウォーキングを行うグループ
  • 運動を行わないグループ

以上の2つのグループに分け、加圧ウォーキングのグループには分速67m(時速約4km)のスピードで20分間歩いてもらいました。

実験は週に5日の頻度で、6週間続けてもらいました。

 

その結果

  • 膝を伸ばす、曲げる筋力が7~16%向上
  • 太ももの筋肉が5.8%増加
  • ふくらはぎの筋肉が5.1%増加

という結果となりました。

 

この研究では休みを挟まず20分間歩いていますね。

速度も普通の歩く速度か気持ち遅いくらいの速さになりました。

この研究では太ももだけでなくふくらはぎの筋肉も発達したという結果が見られました。

歩く時に使う筋肉が発達するようですね。

加圧ウォーキングで高齢者の筋肉と筋力が増加

東京大学の研究者らが2011年に行なった研究*3

加圧ウォーキングを予備心拍数の45%で20分間実施。

頻度は週4日、10週間行なってもらいました。

 

その結果

  • 太ももの筋横断面積が3.1%増加
  • 太ももの筋肉量が3.7%増加
  • 等尺性最大筋力が5.9%増加
  • 等速性最大筋力が22%増加

という結果になりました。

 

この研究では速度ではなく心拍数で運動強度を調整しています。

頻度も今までの研究の中では少なめの週に4日。

それでも10週間で大きな変化が見られます。

等速性最大筋力に至っては22%も向上しています。

加圧ウォーキングで太ももとふくらはぎの筋肉が発達

東京大学の研究者らが2011年に行なった研究*4

加圧ウォーキングを分速50m(時速4km)で2分歩いて1分休憩を5セット実施。

頻度は1日2回の週6日、3週間行なってもらいました。

 

その結果

  • 太ももの筋肉が3.8%増加
  • ふくらはぎの筋肉が3.2%増加
  • お尻、腸腰筋に変化は見られなかった

という結果となりました。

 

この研究では初期の加圧ウォーキングの内容で行われています。

太ももやふくらはぎの筋肉の発達は先行研究どおりです。

ただ、お尻や腸腰筋(股関節の前側の筋肉)なんかは変化が見られませんでした。

 

加圧でスクワットなんかだとお尻の筋肉の発達は見られるので、ウォーキングではお尻や腸腰筋への刺激が不十分なのかもしれません。

最近は美尻ブームなので、お尻をプリッと引き上げたい方はスクワットVSヒップスラスト 美尻のためにはどちらが良いのか比較実験 の記事のようにヒップスラストを行いましょう。

加圧サイクリングで筋力と持久力が増加

ブラジル・サンタカタリーナ連邦大学de Oliveiraらの研究グループが2016年に行なった研究です。*5

加圧ウォーキングではなく加圧サイクリングの実験です。

 

最大酸素摂取量の30%強度で2分こいで1分休憩を5セット。

5分間の休憩を挟んで同じ内容でもう一度実施。

頻度は週3回、4週間行なってもらいました。

 

その結果

  • 乳酸を溜める能力が16%向上
  • 最大酸素摂取量が6%向上
  • 最大パワーが12%向上
  • 最大筋力11%向上

という結果になりました。

 

加圧ウォーキングではなく加圧サイクリングの研究ですが、同じ有酸素運動のひとつですね。

加圧サイクリングで持久力と筋力を同時に鍛えることができています。

従来のトレーニングでは、筋力アップと持久力アップは別々に行う必要がありました。

それが同時に起きる加圧サイクリングは物凄く効率の良いトレーニングと言えます。

加圧ウォーキングが有酸素能力を改善

加圧トレーニングの研究は筋肉の発達や筋力の増加に関するものが多く、有酸素能力への影響に関する研究はそれほど多くはありませんでした。

そこで、テキサスA&M大学の研究グループは、加圧トレーニングの有酸素能力に対する効果を調べました。*6

 

3週間の加圧ウォーキングが最大酸素摂取量、1.5マイル走(約2.6km)タイム、太ももの筋肉の横断面積にどのような影響を与えるのか調査を行いました。

研究は、運動経験のある男性10人に3週間加圧ウォーキングを実施。

実験の前後に、最大酸素摂取量、1.5マイル走タイム、大腿部の横断面積の測定を行い、加圧ウォーキングによる変化を調べました。

 

その結果、加圧ウォーキングによって

  • 最大酸素摂取量の増加
  • 1.5マイル走タイムの有意な改善
  • 大腿部の筋横断面積の有意な増加

が見られたとのこと。

ランニングよりも低い強度、少ない時間であるにもかかわらず、これらの効果が得られるというのは大きいですね。

高齢者の機能改善にも効果的

オーストラリア・ディーキン大学のClarksonらの研究グループが2017年に行なった研究*7

高齢者に加圧ウォーキングを6週間行なってもらいました。

その結果

  • 全ての体力テストの結果が2.5~4.5倍に改善した

という結果が見られました。

 

高齢者はハードなトレーニングが行えない場合が多いのですが、加圧ウォーキング程度の強度であれば問題ないことがほとんどです。

その加圧ウォーキングで体力テストが著しく改善したということで、加圧ウォーキングは高齢者の機能改善に効果的と言えそうです。

加圧サイクリングで有酸素能力向上

東京大学の安倍らのグループは加圧状態での低強度サイクリングトレーニングの効果を調べました。*8

実験は平均年齢23歳の若い男性を対象に行われました。

被験者を

  • 最大酸素摂取量の40%強度で加圧サイクリングを15分間
  • 最大酸素摂取量の40%強度で普通のサイクリングを45分間

以上の2つのグループにわけ、週3回8週間のトレーニングを行ってもらいました。

 

その結果、加圧サイクリングを行なったグループは、

  • 太ももの筋肉の断面積が3.4~5.1%増加
  • 膝を伸ばす筋力が7.7%増加
  • 最大酸素摂取量が6.4%増加
  • 疲労困憊になるまでの運動時間が15.4%延長

という結果が見られました。

ちなみに普通のサイクリングを45分間行なったグループには大きな変化は見られなかったとのこと。

 

最大酸素摂取量(VO2max)の40%というのはウォーミングアップと同じくらいの強度です。

ウォーミングアップ程度の強度にもかかわらず、筋肉が発達すると同時に有酸素能力も改善するという結果が見られました。

アスリートに対しても加圧ウォークで有酸素能力向上

加圧をしながらのウォーキングやサイクリングが効果的なのはわかりましたが、アスリートに対して効果はあるのかはわかっていませんでした。

そこで韓国スポーツ科学院のパークらは、アスリートに対する加圧ウォーキングの効果を調べました。*9

 

対象となったのはバリバリでトレーニングを行っている大学バスケットボール選手12名。

加圧ウォーキングを

  • 速度:時速4~6km/h
  • 傾斜:5%
  • 3分歩いて1分休憩を5セット
  • 1日2回、週6日を2週間

という内容で行いました。

合計12回の加圧ウォーキングです。

 

トレーニングの結果、わずか2週間で最大酸素摂取量が11.6%改善しました。

運動初心者であれば何をしても効果が出るんですが、アスリートが対象でも同様に効果があるということですね。

 

この実験では1日2回行なっていますが、朝、夕それぞれ20分ずつ、実際に歩いている時間は15分ずつという短い時間です。

朝練の際に15分、放課後の練習が終わった後に15分加圧ウォーキングを行うといった感じです。

決してきつい内容ではありませんね。

加圧サイクリングで筋肉増加&体力アップ

ブラジル・カンピーナス大学などの研究者らは加圧サイクリングと通常の筋トレ・通常の有酸素運動の効果について比べる研究を行っています。*10

実験は30人の若い男性を対象に実施。

 

参加者を

  • 加圧サイクリング:週4回、最大酸素摂取量の40%強度で30分間
  • 通常の筋トレ:週4回、70%1RM強度で10回4セット
  • 通常のサイクリング:週4回、最大酸素摂取量の70%強度で30分間

以上の3つのグループにわけて8週間のトレーニング効果を比較しました。

 

8週間のトレーニングの結果、加圧サイクリングを行ったグループは通常の筋トレのグループと同じように筋肉が肥大し、筋力が増加していました。

また、加圧サイクリングを行ったグループは通常のサイクリングを行ったグループに比べて運動強度が明らかに低いにもかかわらず最大酸素摂取量が同じように増加していました。

 

この研究も加圧で自転車こぎを行っているわけですが、強度は最大酸素摂取量の40%ということでウォーミングアップで行われる運動強度です。

それにもかかわらず筋肉の発達と体力の向上が見られたということですね。

さすがに筋肉量の増加に関しては通常の筋トレには及ばなかったものの、体力に関しては通常の自転車こぎと同じように向上していたとのことで、加圧サイクリングは筋肉も体力もつく一石二鳥のトレーニングと言えるのではないでしょうか。

加圧有酸素運動は筋肥大と体力増加の一石二鳥効果がある

実験で行われたのはいずれも加圧ベルトを巻いた状態でバイクをこぐか歩くという簡単な運動を行ったものです。

そのような簡単な運動であるにもかかわらず、筋肉の発達と有酸素能力の向上が同時に起きたのは注目です。

普通にトレーニングを行うと、筋肉の発達と有酸素能力の向上を同時に行うのは難しいとされています。

 

筋肉の発達のためには筋トレを、有酸素能力の向上には有酸素運動を行うのが当たり前でした。

ところが加圧ウォーキングや加圧サイクリングといった加圧状態での有酸素運動は筋肉の発達と有酸素能力の向上が同時に起きる効率的なトレーニングと言えるのではないでしょうか。

加圧ウォーキングや加圧サイクリングといった、加圧状態で行う有酸素運動はこれから注目するべきトレーニング方法と言えそうです。

 

マラソンタイムを改善するために日々トレーニングしているって方は、トレーニングの一環として加圧有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。

きっとあなたのタイムが改善するでしょう。

ちなみにマイ加圧ベルトがあると自分で加圧ウォーキングができます。

加圧有酸素運動の取り入れ方の例

加圧状態での有酸素運動を紹介しましたが、実際にトレーニングに取り入れる場合の一例を紹介致します。

マラソンランナーの場合

マラソンランナーの場合、ランニングの距離や時間を伸ばせばタイムは伸びるんですが、ランニングを増やしたらそれに伴い身体への負担も増えてしまいます。

その結果、怪我をしてしまってタイムは伸びるどころか落ちてしまうということが起きてしまいます。

 

そこで、ランニングの距離や時間の一部を加圧ウォーキングや加圧ランニングに置き換えます。

ランニングよりも運動強度は低いので怪我の心配はなく、今回紹介したような効果が期待できるでしょう。

競技スポーツをしている場合

野球やサッカーなどのスポーツをしている場合、全体練習では技術的、戦術的なトレーニングに重きを置くことが多いかと思います。

そこで、全体練習、技術的な練習が終わった後に加圧ウォーキングや加圧ジョギングなどの加圧有酸素運動を取り入れるという方法がオススメです。

 

15分程度なので練習後であっても体力的にそれ程負担になることはありません。

それにもかかわらず、持久力や筋力強化効果が期待できます。

 

さらに、体幹にも効果が出る!加圧トレーニングの効果転移についての記事のように、技術練習などで使われた筋肉の発達を促すことにもなり、一石三鳥効果が得られます。

健康やダイエット目的の場合

健康やダイエット目的で加圧ウォーキングや加圧サイクリングといった加圧有酸素運動を取り入れる場合は、ご自身の好きなタイミングで取り入れると良いでしょう。

運動のウォーミングアップを兼ねて加圧有酸素運動を行うのもありですし、筋トレを終えてから行う普通の有酸素運動の代わりに行うのも良いでしょう。

自分にとって取り入れやすいタイミングで行えば継続しやすくなるので、結果的に健康やダイエット効果を高めることに繋がるでしょう。

参考文献

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