この記事ではフロントスクワットとバックスクワットの効果の違いと、それを踏まえてどちらを選ぶべきかについて書いています。
キングオブエクササイズ”スクワット”
スポーツをしている人なら筋トレは必須と言えるでしょう。
その必須である筋トレの中でもスクワットは絶対とも言える種目です。
競技のためならスクワットは絶対習得するべき種目です。
さて、そんなスクワットにもいくつかバリエーションがあります。
そのひとつに「フロントスクワット」という種目があります。
普通のスクワットは肩の後ろで担ぎます。
普通のスクワットのことをバックスクワットとも呼びます。
対するフロントスクワットは肩の前で担ぎます。
フロントスクワットは有名な割にはあまり行われていない種目です。
慣れるまでは担ぎにくい種目ですし、普通のバックスクワットをしていれば良いと思いますからね。
実はそんなことはありません。
フロントスクワットは非常に優秀な種目と言えます。
ここではバックスクワットと比べたフロントスクワットの優秀性をご紹介しましょう。
フロントスクワットはバックスクワットと同じように筋肉が使われる
スクワットにはいくつかの種類があり、
- パラレルスクワット(太ももが床と平行)
- フルスクワット(下までしゃがむ)
- フロントスクワット(バーを肩の前で支える)
以上の3種類が一般的によく知られているスクワットのバリエーションです。
ニュージーランドのオークランド工科大学の研究グループはこの3種類のスクワットにおける、上部大殿筋(お尻の上の方)、下部大殿筋(お尻の下の方)、大腿二頭筋(太ももの裏)の筋肉の働き具合を比べました。*1
被験者として健康な女性13名(平均年齢28.9歳、平均身長164cm、平均体重58.2kg)に、3種類のスクワットを行ってもらいました。
負荷は10回ギリギリできる重さで限界の10回まで行いました。
その結果、どのスクワットにおいてもお尻や太ももの裏の働きに差はなかったとのことです。
どれが優れているというわけでなく、どれでも同じように鍛えることができるというわけですね。
フロントスクワットは腰や膝の負担が少ない
フォームの難しいフロントスクワットをしても効果が変わらないなら行う意味がないと思うかもしれませんがそんなことありません。
フロントスクワットは腰や膝への負担が少ない種目なんです。
キプロス共和国で行われたフロントスクワットとバックスクワットを比較した実験によると、腰部損傷を予防するためにはバックスクワットよりもフロントスクワットの方が好ましいと報告しています。*2
バックスクワットに比べてフロントスクワットは上半身の角度が垂直に近いぶんだけ腰への負担が少ないということですね。
ちなみにフロントスクワットは太ももの前を鍛えるのに効果的で、バックスクワットは太ももの後ろを鍛えるために効果的とも報告しています。
腰の負担を抑えつつ大腿四頭筋を鍛えるにはフロントスクワットが効果的ということですね。
また、米国フロリダで行われた実験でも、フロントスクワットはバックスクワットと同じように筋肉の発達に有効であるにもかかわらず、膝への負担が少ないとのこと。*3
バックスクワットに比べてフロントスクワットは使用重量が軽くなるぶん、膝への負担が少なくなるようです。
特に半月板など膝に問題がある人や、長期的に見た場合の膝の健康のためにはフロントスクワットが良いと報告しています。
どちらの研究においてもバックスクワットよりもフロントスクワットの方が膝や腰に優しいという結果になっています。
バックスクワットに比べて上半身の前傾角度が浅かったり、使用重量が軽くなったりする関係で負担は少なくなるようです。
フロントスクワットが関節に優しくてオススメ
スクワットは一度に多くの筋肉を鍛えることができるので、スポーツを行う人はもちろん、ダイエット・シェイプアップ目的の人も行うべき種目と言えます。
バックスクワットでもフロントスクワットでも太ももやお尻の筋肉はほとんど同じように使われるということで、あとはどちらを選ぶかということになります。
そこでおすすめしたいのはフロントスクワットです。
先述のとおり使われる筋肉には差がありませんが、腰や膝など関節に対する負担はフロントスクワットの方が少なくなります。
長い目で見て膝や腰の健康というのは非常に重要な要素であるため、それらの関節への負担の少ないフロントスクワットがおすすめということになります。
フロントスクワットはフォーム習得が難しい&高回数には向かない
難点としては、フォームの習得に多少時間が掛かることかと思います。
他のスクワットは肩でバーベルを担ぎますが、フロントスクワットは肩の前でバーを担ぐので、慣れないと非常にやりにくい種目です。
フォームの習得には多少時間がかかるのではないかと思います。
あと、今回の研究では10回ギリギリの重さで行われていますが、フロントスクワットは高回数のトレーニングには向いていません。
バックスクワットの場合は肩の後ろで担いで行うためバーを安定して持つことができます。
一方、フロントスクワットは肩の前で担ぐので、どうしても不安定な状態になります。
そのため、高回数になるとどうしてもフォームが崩れがちになります。
フロントスクワットを行う時には、回数は少なめの6〜8回までにした方がいいでしょう。
フロントスクワットまとめ
下半身のトレーニングに効果的で関節への負担が少ないフロントスクワット。
バーベルを独特なポジションで構えるためフォームの習得に少々時間がかかるかもしれませんが、非常に優秀な種目と言えるでしょう。
膝や腰などに不安を抱える方はもちろんのこと、スポーツマン、美尻や美ヒップになりたいって方は、フロントスクワットを行ってみてはいかがでしょうか。
参考文献
*1:A Comparison of Gluteus Maximus, Biceps Femoris, and Vastus Lateralis Electromyography Amplitude in the Parallel, Full, and Front Squat Variations ... - PubMed - NCBI
*2:Kinematic and EMG activities during front and back squat variations in maximum loads. - PubMed - NCBI
*3:A biomechanical comparison of back and front squats in healthy trained individuals. - PubMed - NCBI