世界中でたくさん食べられている唐辛子。
最も有名な香辛料のひとつですね。
辛い食べ物が好きって方も多いのではないでしょうか。
私も辛いのは好きで、東●トの暴君ハバ●ロが時々食べたくなります。
カレーはバーモン●カレーではなくジャ●カレー辛口です。
もちろん家には一味唐辛子と七味唐辛子を常備しております。
さて、そんな唐辛子ですがダイエットに良いというのは有名ですね。
実は唐辛子はダイエットだけでなく、健康にも良かったりします。
ただし、摂りすぎると逆効果になることも。
今回はそんな唐辛子の健康効果と摂り過ぎによる健康への悪影響について紹介します。
唐辛子が好きな方の参考になれば幸いです。
- 唐辛子で総死亡リスク13%低減
- スパイスで死亡リスク14%減少
- 唐辛子でコレステロール値が改善
- 唐辛子の摂りすぎも注意
- 唐辛子と胃がんの関係
- 唐辛子と痔の関係
- 唐辛子といぼ痔の関係
- 唐辛子と切れ痔の関係
- 切れ痔の手術後の唐辛子はダメ
- 過敏性腸症候群のリスク増加
- 唐辛子の摂り過ぎで逆に太る
- 適度に唐辛子を摂りましょう
- 参考文献
唐辛子で総死亡リスク13%低減
香辛料は昔から世界中で食品の着色、風味付け、保存、薬用目的に使われてきました。
食べる以外にも厄除けの為に吊るしたり、寒冷地ではしもやけ予防の為に靴の中に入れて使われたりしているとのこと。*1
しかし、香辛料と健康に関する大規模に行われた研究はほとんどなく、ヨーロッパや北米の人を対象とした研究は行われてきませんでした。
そこで、米国のバーモント大学の研究グループは赤唐辛子の消費と死亡率との関係について分析を行いました。*2
研究は、1988年の時点で18歳以上のアメリカ人16,179人を平均18.9年間追跡するという非常に大規模は研究です。
調査の結果、赤唐辛子を月に1回以上摂取した人の死亡率は21.6%、まったく摂取しなかった人の死亡率は33.6%。
結構な差があります。
ただ、この数字は事故などの外傷による死亡など健康と関係ない死因も含まれている数字です。
ということで、明らかに唐辛子と関係のない事故とか自殺とかといった死因を除外してさらに分析したところ、唐辛子を食べると総死亡リスクが13%低くなることが分かりました。
唐辛子が腸内環境を正常化が影響?
研究者曰く、唐辛子のカプサイシンの抗菌作用が腸内細菌に影響して死亡率が低下した可能性があるとのことです。
唐辛子のカプサイシンが腸内環境を整え、それによって健康状態が改善するということですね。
唐辛子は摂り過ぎたらお腹ピーピーになったりしますが、適度に摂るとお腹に良いようです。
また、カプサイシンのダイエット効果によって肥満が抑制され、冠動脈疾患や脳卒中の予防に繋がった可能性も考えられます。
肥満がメタボの要素のひとつで、メタボによって心筋梗塞とか脳卒中になりやすくなるのは皆さんご存知でしょう。
唐辛子を摂ることで肥満が予防され、それによって心筋梗塞とか脳卒中といった病気になりにくくなったのでしょう。
唐辛子は月に1回以上の摂取で有意差があるということで、かなり低い頻度でも効果はありそうです。
もう少し摂取頻度が高くなれば死亡リスクが低減するかもしれません。
ただ、決して毎日食べたら良いというわけではないのでご注意ください。
後述しますが、唐辛子を頻繁に食べれば食べるほど肥満リスクが上がったという報告もあります。
唐辛子はせいぜい週に2回くらい摂れば良いのではないでしょうか。
スパイスで死亡リスク14%減少
北京大学のLvらの研究グループもスパイスの摂取に関する大規模な調査を行っています。*3
30歳〜79歳の男性199,293人と女性288,082人を平均7.2年間追跡調査を実施。
その結果、スパイスの摂取は男女ともに死亡リスクを下げることがわかりました。
死亡リスクについて1週間に1回未満しかスパイスを摂らない人に比べると
- 週1~2日食べる人で10%減
- 週3~5日食べる人で14%減
- 週6~7日食べる人で14%減
という結果が見られました。
スパイスを摂ることで死亡リスクが10%ほど低下するようですね。
特にお酒を飲まない人はスパイス効果が高いようです。
また、癌、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡リスクもスパイスを摂ることで下がることがわかりました。
スパイスと書いてはいますが、
- 生の唐辛子
- 乾燥した唐辛子
- チリソース
- 唐辛子オイル
- わからない
- その他
以上のスパイスについて調べています。
一部よくわからないけどとりあえず辛いスパイスもあるようですが、ほとんど唐辛子ばかりなのでほぼ唐辛子と思って問題ないでしょう。
ということで、唐辛子を週に1回以上摂れば死亡リスクが下がるということです。
唐辛子でコレステロール値が改善
唐辛子は死亡リスクを下げるだけではありません。
血中の脂質・コレステロールにも良い影響を及ぼすようです。
中国科学院のXueらの研究グループは唐辛子の摂取と血中の脂質との関係について調査を行いました。*4
18~65歳の6,774人を対象に唐辛子の摂取と血中脂質を調べました。
その結果、唐辛子を食べることで
- LDLコレステロール(悪玉)を減らす
- HDLコレステロール(善玉)を増やす
- 血中中性脂肪を増やす
という効果が見られました。
悪玉を減らして善玉を増やすというのは文字通り良い事ですね。
コレステロールが気になる方は、唐辛子を摂るようにすると良いかもしれません。
一方、血中の中性脂肪が増えたのが気になりますよね。
ただ、唐辛子の成分であるカプサイシンが体脂肪を分解する関係で中性脂肪値が増えた可能性があるとのこと。
そこまで気にすることもないでしょう。
唐辛子の摂りすぎも注意
ただ、過ぎたるは及ばざるが如しという言葉があります。
唐辛子もイメージとしては摂り過ぎると身体に悪いイメージがありますよね。
めっちゃ辛い食べ物を食べたらお腹の調子が悪くなったりしますし。
ということで、唐辛子による身体への悪影響について紹介しましょう。
唐辛子と胃がんの関係
メキシコで行われた研究によると、唐辛子を摂ることで胃がんのリスクが高まったという報告があります。*5
唐辛子をよく食べる人は全く食べない人に比べて胃がんのリスクが5.49倍になったとのこと。
また、唐辛子をたくさん食べるほど胃がんのリスクが高くなったとのことです。
同じくメキシコで行われた研究で、同様に唐辛子で胃がんのリスクが高まったとのこと。*6
この研究ではメキシコの代表的な唐辛子である「ハラペーニョ*7」の消費と胃がんの関係について調べています。
調査の結果、ハラペーニョを1日に9~25本食べる人は1日3本未満の人に比べて胃がんのリスクが1.71倍になりました。
激辛の食べ物を食べて胃の調子がおかしくなった経験のある方は少なくないでしょう。
やっぱり唐辛子の食べ過ぎは胃に悪く、胃がんのリスクを高めてしまうようです。
個人的にはメキシコ人は唐辛子大好きという勝手なイメージを持っていましたが、やっぱり唐辛子摂り過ぎです。
ハラペーニョを1日に9~25本も食べる日本人はほとんどいないでしょう。
日本人で唐辛子を比較的よく食べる人であっても1日3本以下ではないでしょうか。
よって、日本人のほとんどは唐辛子の食べ過ぎによる胃がんリスク増加はあまり気にしなくても良いと言えるでしょう。
よっぽど激辛大好きって方だけ気をつけましょう。
唐辛子と痔の関係
唐辛子をたくさん食べていると痔になりやすいという話や痔を悪化させるという話を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
辛い物を食べた次の日のトイレではお尻がかわいそうな状態になったりします。
唐辛子はお尻にはあまりよろしくなさそうな感じですね。
では、実際に唐辛子と痔の関係はどうなのでしょうか。
唐辛子といぼ痔の関係
ということで、イタリアバーリ大学のAltomareらが赤唐辛子が痔核(いぼ痔)を悪化させるのかを調査しました。*8
いぼ痔患者50人に唐辛子を摂ってもらって48時間の症状の変化について調べました。
その結果、唐辛子がいぼ痔を悪化させることはなかったとのこと。
痔主の方は一安心です。
まあ、唐辛子はいぼ痔を悪化させることはないかもしれませんが、出血を伴うようないぼ痔であれば痛みはあるでしょう。
できれば控えておいた方が良いかもしれません。
唐辛子と切れ痔の関係
インドで行われた研究は、裂肛(切れ痔)の症状と唐辛子の関係について調査を実施。*9
43人の切れ痔持ち被験者に1週間唐辛子を摂ってもらったところ、切れ痔の痛みの平均値が約2倍になりました。
唐辛子は切れ痔の痛みを増大させるようです。
まあイメージ通りですよね。
想像するだけで痛そうです。
切れ痔持ちの方はできるだけ唐辛子を控えた方が良いでしょう。
どうしても食べたいときは痛みに苦しむ覚悟の上でお召し上がりください。
切れ痔の手術後の唐辛子はダメ
同じくインドで切れ痔の手術後に唐辛子を摂ったら症状はどうなるかを調べました。*10
なんか恐ろしい実験ですね。
28人の患者に唐辛子パウダー1.5gを1日2回摂ってもらったところ、
- ズキズキという痛みが約2.5倍
- お尻の灼熱感が2.1倍
になりました。
ちなみに痒みに関しては差がなかったとのこと。
結論として、切れ痔の手術後に唐辛子は厳禁だということです。
たぶん実験する前からわかっていましたよね。
被験者にとっては辛い実験だったと思います。
とりあえず、痔の手術をした後に唐辛子を食べるのは控えましょう。
ちなみに切れ痔の手術後に唐辛子を食べるのは最悪ですが、他の外科手術後だと痛みが軽減されて良いという報告もあります。*11
そういうこともあって切れ痔の手術後に唐辛子を摂ると痛みがマシになるかもってことで実験したのかもしれません。
過敏性腸症候群のリスク増加
唐辛子をたくさん食べるとお腹がピーピーになったという経験のある方は多いことでしょう。
あまり唐辛子を摂り過ぎるのは腸に悪影響を及ぼすのかもしれません。
そこで、イラン・イスファハン医科学大学のEsmaillzadehらの研究グループはスパイスの摂取と過敏性腸症候群の関係について調べました。*12
イラン人4,763人を対象にスパイスの摂取と過敏性腸症候群の罹患率の関係について調査を実施。
その結果、ほとんどスパイスを摂らない人に比べて週に10回以上スパイシーな食べ物を食べる人は過敏性腸症候群になる確率が1.92倍であることがわかりました。
特に女性はスパイシーな食事によって過敏性腸症候群になりやすいようです。
この実験ではスパイスとして
- 唐辛子
- カレー
- ジンジャー
- シナモン
- ウコン
以上のスパイスの摂取頻度を調べているので完全な唐辛子の影響とは言えませんが、お腹が弱いって方は唐辛子を頻繁に摂り過ぎない方が良いでしょう。
まあ週に10回以上ということは毎日1食以上辛い料理を食べているということになるので、韓国料理が好きで毎日食べているって方以外はそこまで問題にはならないかもしれません。
とりあえず、辛い料理の食べ過ぎには注意しましょう。
唐辛子の摂り過ぎで逆に太る
ダイエットに良いイメージのある唐辛子。
唐辛子の成分カプサイシンはダイエットサプリメントの定番として有名ですよね。
ところが、唐辛子(辛い食べ物)を頻繁に食べると痩せるどころか逆に太ってしまうようです。
北京大学のDianjianyiらの研究グループは辛い食べ物と肥満の関係について調査を行いました。*13
対象となったのは30~79歳の中国人434,556人(女性255,094人)。
アンケート調査で辛い食べ物の摂取と体重や体脂肪などの体型に関するデータを集めました。
その結果、辛い物を食べるほど太るという結果が見られました。
男女とも太る傾向が見られましたが、特に男性で腹部肥満率が高くなりました。
それも
- 頻繁であればあるほど
- 期間が長ければ長いほど
- 辛みが強ければ強いほど
太りやすくなったとのことです。
これは意外な結果ですね。
私も論文のタイトルだけを見て「ダイエットに効果がある」と思っていたのですが、本文を読んでみると全く逆の結果となっていました。
ちなみに最も辛い食べ物を食べている地域は湖南省でした。
中国一辛い料理で有名な地域です。
99.4%の人が毎日辛い食べ物を食べているとの事。
湖南省の料理は辛みの中に酸味を効かせたものが多いようで、意外とあっさりとした味だそうです。
ということはやっぱり辛みと酸味のせいで食が進み、ついたくさん食べてしまって太ることが多いのでしょうか…。
一応太る理由に関しても考察されており、四川料理や江南料理といったスパイシーな食べ物は食欲を増進させ、主食である炭水化物の摂取量を増やしてしまうのではないかとのこと。
摂取カロリーは増え、糖質なので血糖値も跳ね上がります。
もちろん体脂肪も増加です。
またスパイシーな料理は油が使われることも多いのも原因のひとつとのこと。
辛い中華料理と言えば麻婆豆腐・担々麺・回鍋肉などが有名ですが、かなり油も使われていますよよね。
たくさん食べることで摂取カロリーが増えてしまい、肥満に繋がっている可能性が考えられます。
さらに、スパイシーな料理を食べると舌がヒリヒリしますよね。
その舌のヒリヒリを緩和させようとして甘い物が欲することが報告されています。*14
辛い物を食べた後に杏仁豆腐・マンゴープリン・ゴマ団子を食べたくなる気持ちはわかります。
気持ちはわかりますが、食べればその分摂取カロリーは増えるので太ってしまうことでしょう。
とうことで、辛い料理を食べると太りやすくなるという結果が出たのかと思います。
辛い料理というより辛い中国料理という感じではありますが、唐辛子の食べ過ぎによる体重の増加にも多少気をつけたいところ。
辛い物が好きな方は食べ過ぎやデザートに気をつけるようにしましょう。
適度に唐辛子を摂りましょう
唐辛子の摂り過ぎは逆に健康を害することになります。
TVで放送されているような激辛料理ばかり食べていては早死にするので気をつけましょう。
逆に適度に唐辛子を摂ると健康増進効果が期待できるでしょう。
特に最近はカプサイシンによる腸内細菌に対する影響が注目されています。
適度に唐辛子を食べれば腸内環境の改善に役立つでしょう。
身近なスパイスである唐辛子。
ぜひ適度に唐辛子を摂ってみましょう。
参考文献
*2:The Association of Hot Red Chili Pepper Consumption and Mortality: A Large Population-Based Cohort Study
*3:Consumption of Spicy Foods and Total and Cause Specific Mortality: Population Based Cohort Study - PubMed
*4:Association Between Spicy Food Consumption and Lipid Profiles in Adults: A Nationwide Population-Based Study - PubMed
*5:Chili Pepper Consumption and Gastric Cancer in Mexico: A Case-Control Study - PubMed
*6:Capsaicin Consumption, Helicobacter Pylori Positivity and Gastric Cancer in Mexico - PubMed
*8:Red Hot Chili Pepper and Hemorrhoids: The Explosion of a Myth: Results of a Prospective, Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Trial - PubMed
*9:Consumption of Red-Hot Chili Pepper Increases Symptoms in Patients With Acute Anal Fissures. A Prospective, Randomized, Placebo-Controlled, Double Blind, Crossover Trial - PubMed
*10:Red Hot Chilli Consumption Is Harmful in Patients Operated for Anal Fissure - A Randomized, Double-Blind, Controlled Study - PubMed
*11:Red-Hot Chili Peppers: A Spicy New Approach to Preventing Po... : Anesthesia & Analgesia
*12:Consumption of Spicy Foods and the Prevalence of Irritable Bowel Syndrome - PubMed
*13:Spicy food consumption is associated with adiposity measures among half a million Chinese people: the China Kadoorie Biobank study
*14:Effects of hot spices on energy intake, appetite and sensory specific desires in humans - ScienceDirect