プロテインは吸収速度が大事!?
トレーニングを行う人の間では、
「筋トレ後には吸収の早いプロテインを飲むことで筋肉に早く栄養を送り届けることが大切だ!」
と言われてきました。
当たり前と言われているくらいです。
そのため、吸収速度の速いホエイプロテインを飲む人が多いわけですね。
さらに吸収速度を気にする人はホエイプロテインアイソレートとかホエイペプチドとかを摂ったりする方もいらっしゃいます。
確かにそれらは消化吸収が早く、すぐに血液中に取り込まれて筋肉に運ばれます。
ところが、プロテインの吸収速度も長い目で見るとそんなに気にしなくても良いかもしれません。
今回はプロテインの吸収速度と効果の違いについてご紹介いたします。
吸収の早いホエイプロテインと遅いカゼインプロテインがある
現在最も多く飲まれているプロテインはホエイプロテインというプロテインです。
吸収の早いタイプです。
トレーニング後によく飲まれるプロテインです。
その反対の吸収の遅いプロテインとして挙げられるのが、カゼインプロテインです。
寝る前に飲んだりすることがありますね。
ホエイプロテインとカゼインプロテイン、この2種類のプロテインについては飲み比べるとどちらが早く吸収されて血中のアミノ酸濃度が高まるかといった研究はたくさん行われてきました。
当然吸収の早いホエイプロテインの方が血中アミノ酸濃度がすぐに高まります。
ただし、長期的に筋肉に対する反応を調べた研究は行われてきませんでした。
ホエイプロテインの方が血中アミノ酸濃度の上昇が早いのであれば筋肉の発達もホエイプロテインの方が早いであろうって感じです。
実際に筋肉の発達はどうなのかっていうのは意外と分かっていなかったようです。
ホエイプロテインとカゼインプロテインの効果の違いを調査
フランスのニース大学Fabreらの研究グループは、ホエイプロテインとカゼインプロテインを摂ることが9週間の筋トレの効果にどう影響するかを調べました。*1
プロテインを摂った直後の効果ではなく、ある程度長期的に摂った場合の効果を調べたわけですね。
実験の対象となったのは31人の筋トレ経験のある男性31人。
筋トレを行った直後にたんぱく質20gが含まれたプロテインを摂ってもらうのですが、
・ホエイプロテイン100%を摂るグループ(吸収速度の速いグループ)
・ホエイ50%・カゼイン50%を摂るグループ(吸収速度が普通のグループ)
・ホエイ20%・カゼイン80%を摂るグループ(吸収速度の遅いグループ)
以上の3つのグループに分かれてプロテインを飲んでもらいました。
そして9週間の実験前と実験後に筋力の測定や、筋肉量や体脂肪量の測定を行いどのような違いが出るのか比較しました。
実験の結果:ホエイとカゼインで筋トレの効果に違いなし
9週間後のトレーニングとプロテイン摂取の結果、プロテインの吸収速度に関係なくどのグループも同じように増えたとのことです。
徐脂肪体重(筋肉量)、筋力ともにどのプロテイン摂取割合でも同じように増加するという結果になりました。
プロテインを飲んだあとの血中アミノ酸濃度に関しては、吸収の速いホエイプロテイン100%のグループが一番早く上昇するという結果でした。
ところが、9週間というある程度長期的な身体の変化に関してはほとんど変わらずということになります。
筋肉が作られるのは筋トレ直後だけではないので、それほど影響しないってことでしょうか。
むしろ睡眠中の方が筋肉は作られていますからね。
プロテインの摂り方の応用
トレーニング後のプロテインの吸収速度はそれほど気にしなくて良いのであれば、ちょっとした応用が効きます。
たんぱく質の摂り方に関していくつか提案をしましょう。
筋トレ後はプロテインを飲まずに家に帰って夕食を食べたら良い
筋トレをしているって人は、仕事の帰りにスポーツクラブでしているって方が多いでしょう。
そんな方は
- 仕事帰りにそのままスポーツクラブに寄って運動をする
- 運動後は家に帰って晩ごはんを食べる
という流れになる方が多いのではないでしょうか。
そんな場合、筋トレ直後にプロテインを飲んでしまうとその後の夕食がそんなに食べられないってことがあったりします。
食事でたんぱく質を摂ることも大切なので、プロテインを飲んで夕食が食べられないのであれば本末転倒です。
そこで、トレーニング直後のプロテインは止め、家に帰ってからしっかりとたんぱく質豊富な晩ご飯を食べてみてはいかがでしょうか。
トレーニング直後の血中アミノ酸濃度の上昇が筋肉の発達にそれほど影響を与えないのであれば、プロテインを飲まず晩ご飯をしっかり食べるという方法でも問題ないでしょう。
もし晩ご飯のたんぱく質が足りないようであれば、食後に追加としてホエイプロテインを少量摂ったり、就寝前にプロテインを摂るようにすればOKです。
もちろん、トレーニング直後にプロテインを飲んでも晩ご飯は普通に食べられるって方はプロテインを飲む方が良いでしょう。
また、家に帰って晩ごはんを食べるまで結構時間が掛かってしまうのであれば、やはりトレーニング直後にプロテインを飲んでおくと良いでしょう。
それでも筋トレ直後にプロテインを摂らないのは筋肉が分解されそうで不安って方もいるでしょう。
そんな方はプロテインではなくアミノ酸を摂ってみても良いでしょう。
アミノ酸であれば消化の必要がないので、筋トレを終えてから晩ごはんまでの時間があまりなくても問題ありません。
筋トレ直後にEAAサプリ(必須アミノ酸)を6~12g摂っておけば筋肉の分解は防ぎつつ晩ごはんはしっかりと食べられるのではないでしょうか。
プロテインは水じゃなくて牛乳で溶かしても良い
また、今までであればプロテインは吸収速度の速さが重要ってことで、プロテインは水で溶かして飲むことが推奨されてきました。
水以外に牛乳も一般的ではありますが、少なくとも筋トレ直後は水で飲むように勧められていました。
牛乳は水に比べると消化吸収に時間が掛かってしまい、せっかくのプロテインの吸収速度を遅らせてしまうからです。
私もプロテインは水で溶かすことを勧めていました。
しかし、今回の研究を参考にするなら、消化吸収速度はそれほど気にしなくても良いことになります。
そのため、プロテインも水ではなく牛乳で溶かしても問題なさそうです。
牛乳ってカゼインプロテインみたいなもんですからね。
プロテインを牛乳で溶かして吸収が遅くなっても、長期的に見ればそんなに気にする必要がないのかもしれません。
また、水で溶かしたプロテインはどうしても味がダメって方もいるでしょう。
どうしてもホエイプロテインの風味が口に残りますし、プロテインのフレーバーによっては水では不味くて飲めないってこともあるでしょう。
そんな場合でも牛乳で溶かせば美味しく飲めるかもしれません。
ついでに牛乳にもたんぱく質が含まれているので一石二鳥と言えるかもです。
牛乳が苦手な方は豆乳で溶かしても良いのではないでしょうか。
基本はホエイで場合によってはカゼインやソイも良いかも
ホエイプロテインの吸収速度は意味がないとディスってきましたが、最後にホエイプロテインのフォローもしておきましょう。
トレーニング直後に吸収の早いホエイプロテインじゃなくても良いってことですが、ホエイプロテインが全く意味がないってわけではありません。
プロテインを買うならカゼインプロテインやソイプロテインよりもホエイプロテインがオススメです。
筋肉の発達を促すロイシンというアミノ酸が多く含まれていたり、免疫を高めてくれるようなたんぱく質が含まれていたりするので、トレーニングをしているって人は飲んで損はないかと思います。
プロテイン効果はどれくらい?プロテインを飲んだ場合の効果の差を紹介 の記事のように、プロテインを飲むとやっぱり効果が出やすくなりますからね。
また、カゼインプロテインに比べるとホエイプロテインは安く買えるのも魅力です。
チーズを作ったりする時の残り物を濾過して作るのがホエイプロテインですからね。
余り物で作っているので価格が安くなるんです。
カゼインプロテインなんかはチーズやヨーグルトと一緒なので、どうしても原材料費が高くなり、ホエイプロテインよりも高くなってしまいます。
ソイプロテインはホエイプロテインと同じ程度に安かったりするのですが、ホエイに比べると味が悪いことが多いのが特徴です。
ホエイの方が美味しいんです。
人気もあるので様々なフレーバーが販売されており、いろんな味を飽きずに飲むことができるのもホエイプロテインのメリットです。
もちろんホエイプロテインの味が苦手でソイプロテインの方が好きって方もいらっしゃいます。
ただ全体的には圧倒的にホエイプロテインの方が人気です。
ということで、ホエイプロテインを選ぶメリットもそれなりに存在します。
プロテインを飲むのであればホエイプロテインを基本に考え、場合によってはカゼインプロテインやソイプロテインを選んでも良いでしょう。
筋トレ直後に絶対ホエイプロテインを飲まないとダメだと思いこむ必要はありません。
プロテインの吸収速度と効果に関するまとめ
ということで、今までは筋トレ直後に吸収の早いホエイプロテインを水で溶かして飲むのが当たり前とされてきましたが、長い目で見るとそこまで気にしなくても良さそうです。
特に一般人であればわずかな効果の違いを求めるよりも続けられる飲み方を考える方が良いでしょう。
筋トレ後のたんぱく質補給は吸収速度にとらわれず、ご自身の環境や味覚に合わせて続けやすいようにいろいろ工夫をしてみてはいかがでしょうか。