この記事では効率と効果を考慮した筋トレの最適なセット数に関して書いています。
筋トレのセット数でお悩みの方の参考になれば幸いです。
- 筋トレは何セットずつ行なっていますか?
- 1セット、3セット、5セットで筋トレ効果を比較
- 筋トレのセット数の変化の筋肥大効果の違いについて
- 筋トレ経験者に対して1セット、4セット、8セット行なった場合の効果について
- 最大の効果なら多くのセット数、効率の良さなら少ないセット数
- 週単位でセット数を考えると良いという報告が!
- 筋トレは1セットでも効果はあるが、量を増やすと効果は上がる
- 筋トレのセット数と効果の違いについてまとめ
- 参考文献
筋トレは何セットずつ行なっていますか?
みなさん、筋トレする時は何セットずつ行っていますか?
一番多いのは各種目3セットずつといったところでしょうか。
筋トレの本を読んでも3セット行うように説明されていることが多いように思われます。
フィットネスクラブなどでも新規入会の方に対しては
「10回3セット行なってくださいねー」
みたいに案内することが多いですしね。
本格的に筋トレをしているって方はもっとたくさんのセット数をしているって方もいらっしゃるかもしれません。
近年ボディメイク系の大会が増えたこともあり、筋トレに精を出す男性も増えたように思います。
そんな方の中には
「各種目6セットずつ行なってるんや!」
って方もいらっしゃいますし、
10回10セット行う「ジャーマンボリュームトレーニング」
というトレーニング方法もあるので、3セットより多くのセット数をこなしているって方も多いでしょう。
逆に各種目1セットだけで力を出し切るように行うって方も稀にいらっしゃいます。
さて、筋トレとセット数に関しては様々な意見があるので、まずは筋トレとセット数に関する論文を見てみましょう。
1セット、3セット、5セットで筋トレ効果を比較
ブラジル・リオグランデドスール連邦大学のRadaelliらの研究グループは、筋トレを1セット、3セット、5セットといったセット数の変化による筋トレの効果の違いを比べる実験を行いました。*1
対象は筋トレ経験のない男性48人。
・1セットずつ筋トレを行うグループ
・3セットずつ筋トレを行うグループ
・5セットずつ筋トレを行うグループ
・何もしないグループ
以上の4つのグループにランダムで振り分けました。
実施する筋トレの種目は
- ベンチプレス
- フロントラットプルダウン
- ショルダープレス
- レッグプレス
以上の4種目で、ごく一般的なトレーニング種目です。
各々のグループにこれらの4種目の筋トレを週に3回、6ヶ月間継続して行なってもらいました。
筋肉量に関しては1セットでも同じように効果あり
さて、6ヶ月間の実験の結果ですが、
- 上半身の筋力の変化は、5セット>3セット≒1セット
- 上半身の筋持久力の変化は、5セット>3セット>>>1セット
- 下半身の筋持久力の変化は、5セット>>3セット≒1セット
- 力こぶの筋肉の発達は5セット>3セット>>1セット
- 体脂肪と全体の筋肉量は5セット≒3セット≒1セット
という結果になりました。
筋力や筋持久力に関してはセット数の多いほうが効果が高いという結果でした。
体脂肪や筋肉量に関しては、統計上では1セット、3セット、5セットで差はなかったという結果です。
筋力や筋持久力の増加に関してはセット数の多い方が効果が高かった。
体脂肪や筋肉量はセット数と関係なく効果があった。
ということですね。
この研究を参考にするなら、筋力や筋持久力を高めたい人は多めのセット数、ダイエットや健康目的であれば少ないセット数で良いかもしれません。
筋トレのセット数の変化の筋肥大効果の違いについて
違う実験も見てみましょう。
米国コロラド州・Journal of Pure PowerのKriegerがシングルセットとマルチセット(1セットと複数セット)での筋肥大効果の違いについて調査を行ないました。*2
筋トレを1セット行う場合と2セット以上行う場合の筋肉の発達具合を調べたわけですね。
筋トレのセット数と効果の変化について過去に発表された論文は”筋力”について書かれたものが多く、”筋肥大”について書かれたものは多くありませんでした。
そこで、過去に発表された筋トレと”筋肥大”に関する論文をたくさん集めて解析を行なっています。
1セットだけよりも複数セット行う方が筋肥大効果は高い
過去筋トレのセット数と筋肥大に関する論文をまとめると、
1セットだけ行うよりも2セット以上行う方が筋肥大効果は40%くらい高い
とのことです。
これはトレーニング経験者、初心者どちらの場合も関係ないようです。
あと、セット数を増やすほど筋肥大効果が高まる傾向は見られたようですが、2~3セット行う場合と4~6セット行う場合とでは統計学的には有意差なしということも見られました。
統計学的には有意差なしということですが、数字を見ると2~3セットよりも4~6セット行う方が効果が高い傾向は見られます。
特に理由がなければ、1セットだけよりも2~3セットは行う方が良さそうです。
多少効率が悪くなってでも効果を出したいってことであれば4~6セット行うと良いのではないでしょうか。
筋トレ経験者に対して1セット、4セット、8セット行なった場合の効果について
さらに違う研究も見てみましょう。
この研究では8セット行なった場合との比較を行なっています。
8セットという大量のトレーニングを行う実験は少ないので、貴重な情報と言えそうです。
オーストラリア・西シドニー大学のMarshallらは、十分な筋トレ経験のある人に対し、セット数の変化と効果の違いについて調べています。*3
筋トレ経験のある男性32人を
- 1セットグループ
- 4セットグループ
- 8セットグループ
以上の3つのグループに分け、80%1RMの負荷のスクワットをそれぞれ決められたセット数、週2回の頻度で6週間続けてトレーニングを行なってもらいました。
セット数の多いほうが筋力の向上効果は大きい
6週間のトレーニング後、それぞれ
- 1セットグループ:筋力11%増加
- 4セットグループ:筋力13%増加
- 8セットグループ:筋力20%増加
という結果が見られました。
最大筋力に関してはどのグループも増加したが、8セット行なったグループの最大筋力の増加が大きかったということですね。
研究者曰く、
「筋力アップには4セット以上の筋トレを行うことがオススメする」
とのこと。
最大の効果なら多くのセット数、効率の良さなら少ないセット数
3つの研究結果を見てもらいました。
どの研究においても、セット数を増やすほど効果が出やすいという結果になっています。
筋トレに最大の効果を求めるのであれば、セット数を増やしてしっかりと行う方が良いということになります。
ただ、最後に紹介した研究のように8セット行なった場合であっても、1セットの場合と比べて10%程度の違いしかありません。
10%の違いのために大量の筋トレを行うのは時間的にも体力的にもなかなか辛いところ。
多くのセット数を行う筋トレは時間効率が悪いんです。
投資した時間の割に効果が少ないってことですね。
1セットだけだと5分で終わるんですが、8セットだと少なくとも30分はかかります。
たった1種目だけのために30分も掛けるとなると、他の種目も含めたら膨大な時間になってしまいます。
あまりにトレーニング時間が長くなってしまっても、テストステロンやコルチゾルといったホルモンレベルに悪影響を与えてしまうので、とにかく最大の効果を求めているという場合以外は大量のセット数はオススメしません。
週単位でセット数を考えると良いという報告が!
新提案 筋トレの量は週単位で考えてみるのも良いかも の記事のように、最近の研究によれば、筋トレのセット数を週単位で考えると良いかもしれません。
この報告によると、1週間の合計セット数が
- 5セット未満だと効果が薄く
- 5~9セットで充分な効果が得られ
- 10セット以上で大きな効果が得られた
とのこと。*4
週単位でセット数を考えるとなると、週2回と週3回ではセット数に違いが出てきます。
週2回の筋トレで十分な効果を出したいのであれば、3セットずつ行えば週に6セットとなるので十分効果が得られるでしょう。
逆に週2回の場合は2セットずつだと効果が薄いかもしれません。
週3回であれば、2セットずつ行えば週に計6セットになるので十分な効果が得られるはずです。
週2回の筋トレで大きな効果を出したいなら毎回5セットずつ、週3回であれば毎回4セットずつで週の合計セット数が10セットを超え、大きな効果が期待できるでしょう。
週あたりのセット数も考慮した最適なセット数
時間効率を求めるのであれば、
- 週2回行うなら各3セットずつ
- 週3回行うなら各2セットずつ
以上のようにトレーニングを行えば効率よく効果が得られるでしょう。
一般の方ならこれくらいの量を行えば十分でしょう。
多少効率が悪くなってでも、短期間で効果を出したいということであれば、
- 週2回行うなら各5セット以上
- 週3回行うなら各4セット以上
で行うのが良さそうです。
時間もかかり、体力的にも辛くはなりますが、高い効果が期待できるでしょう。
筋トレは1セットでも効果はあるが、量を増やすと効果は上がる
最近の研究で、普段から筋トレをしている男性を対象にセット数の違いによる効果の変化について実験が行われました。*5
普段から健康のために筋トレをしている男性34人を
- 筋トレを1セットだけ行うグループ
- 筋トレを3セット行うグループ
- 筋トレを5セット行うグループ
以上の3グループに分けて週に3回の頻度で8週間続けてもらい、その前後で筋力・筋持久力・筋肉の厚みを比べました。
結果、どのグループも筋力・筋持久力は同じように向上したとのこと。
また、セット数が多いグループほど筋肉は肥大したようです。
セット数が多い方が筋肉の発達効果は高かったものの、1セットだけでも悪くはない成果が見られたということですね。
十分時間があって頑張れそうであれば筋トレは5セットくらい行うと大きな効果が得られそうです。
逆にそんなに時間がなく、筋トレもそんなに好きではないのであれば、1セットずつ行うようにすると良いのではないでしょうか。
1セットだけなら一通りの筋トレを行っても10分ちょっとくらいで終えることができます。
ご自身の目的やモチベーションに合わせて、セット数を決めてみても良いのではないでしょうか。
筋トレのセット数と効果の違いについてまとめ
筋トレを行う際のセット数は、
- 最大の効果を求めるならできるだけ多くのセット数
- 時間効率を求めるなら少ないセット数
で行うようにしましょう。
個人的には2~3セットがオススメです。
1セットだけよりも効果は間違いなく高く、6~8セットよりも時間効率の良いセット数です。
2~3セット基本として、あまり時間がとれない時、筋トレが嫌いな方は1~2セット、時間があってやる気に溢れているなら4~5セットという感じで調整をすれば良いのではないでしょうか。
筋トレのセット数にお悩みの方は参考にしてみてください。
参考文献
*1:Dose-response of 1, 3, and 5 sets of resistance exercise on strength, local muscular endurance, and hypertrophy. - PubMed - NCBI
*2:Single vs. multiple sets of resistance exercise for muscle hypertrophy: a meta-analysis. - PubMed - NCBI
*3:Strength and neuromuscular adaptation following one, four, and eight sets of high intensity resistance exercise in trained males. - PubMed - NCBI
*4:The Effect of Weekly Set Volume on Strength Gain: A Meta-Analysis
*5:Resistance Training Volume Enhances Muscle Hypertrophy. - PubMed - NCBI