親としては子供には賢くなってもらいたい
子供に賢くなってもらいたいってお父さんお母さんは多いでしょう。
まずは勉強を頑張ることができる環境づくりが大切です。
- 塾に通ったり
- 家庭教師を付けたり
- 家で勉強ができる雰囲気であったり
人間は弱いもので、ある程度強制力がある方が勉強できたりします。
ただ、そんな勉強のための環境作りは教育熱心の親御さんなら既になさっていることでしょう。
同じことをしていては周りに差をつけることはできません。
そこでお子さんに賢くなってもらいたいという親御さんにしてもらいたいのが、子供の食生活を考えるということです。
- 朝食を食べないと?
- 好き嫌いをしていると?
- ジュースばかり飲んでいると?
毎日の食生活の内容が子供の学力に影響していきます。
当然ですが1日2日で効果が出るものではありませんが、長い目で見ると大きな差へと繋がっていきます。
今回は、そんな「学力と食生活の関係」について見ていきましょう。
食事と学力との関係を調査
朝食と学力に関する研究はこれまでも行われており、朝食を食べるほうが学力が高くなることが示されています。
しかし、食事全体と学力を調べた研究は行われていませんでした。
そこで、英国ニューカッスル大学のBurrowsらの研究グループは、食事全体と学力に関して分析調査を行いました。*1
調査の対象となったのは、8~15歳のオーストラリアの学校に通う子供達で、
- 小学3年生1,185人
- 小学5年生1,147人
- 中学1年生1,053人
- 中学3年生860人
以上の計4,245人を対象に食事と学力の関係を調べました。
食事に関する調査内容は、
- 果物摂取量
- 野菜摂取量
- テイクアウトでの食事量
- 砂糖甘味料摂取量
- 朝食の摂取
以上の5つの項目について調査を行いました。
結果:夕食で野菜を食べるとテスト結果が良い
調査の結果、夕食で野菜をしっかりと食べる子供は学力が高いということがわかりました。
また、ジュースなどの甘い飲み物をよく飲む子供のテストの点数が明らかに低かったとのこと。
野菜を好き嫌いなく食べさせ、ジュースもあまり与えない方が子供は賢くなるということですね。
気になるのは中学3年生までの子供を対象とした調査というところです。
食事の内容ではなく、親の影響を受けているの可能性があるからです。
野菜を食べる量が増えると学力が上がるのではなく、夕食できちんと栄養バランスを考えて野菜を食べさせるしっかりしたご両親は教育に対しても熱心である可能性があり、子供の学力もご両親の影響を受けている可能性があるというものです。
ところが、この研究の結果は、学力に影響する家庭の状況(収入、職業、学歴など)を考慮して分析を行った結果とのこと。
ということで、親の影響力は排除した結果ということで、夕食に野菜を食べること自体が学力の向上に役立っている可能性があるということですね。
野菜にはビタミンCなどのビタミン・ミネラルが含まれているので、それらが影響したのかもしれません。
他の研究でビタミンCが脳機能に影響していることが報告されている*2 ので、野菜に含まれるビタミンCなんかが脳に良い影響を与え、その結果学力が向上するのかもしれませんね。
乳幼児期の食生活と将来の学業成績の関係
子供に賢くなってもらいたいなら乳幼児期の食生活から気をつけると良いかもしれません。
2016年に西オーストラリア大学のNyaradiらの研究グループは、乳幼児期の食事と学力との関係について調べています。*3
10歳、12歳の子供2287人の乳幼児期の食生活データを基に解析を行いました。
結果:乳幼児期の食生活が小学校高学年時の成績に影響
調査の結果、
- 1歳の時の健康的な食生活で10歳、12歳時の学業成績がアップ
- 2歳の時の健康的な食生活で12歳時の学業成績がアップ
- 1~3歳時の乳製品の摂取量の増加で学業成績がアップ
- 1歳時の果物の摂取増加で学業成績がアップ
といった結果が見られました。
乳幼児期の食生活が10年後の学業成績に影響を与えているということになります。
乳幼児期に健康的な食生活を送っていると小学校高学年になった時の学業成績がアップするようですね。
また、子供の時に
- 乳製品をしっかり食べる
- 果物をしっかり食べる
ことによってすべての年齢層において学業成績がアップするとのこと。
子供に賢くなってもらうという計画は乳幼児期から始まっているのかもしれません。
小さなお子さんがいらっしゃる方は
- 健康的な食生活
- 乳製品
- 果物
を意識してみてはいかがでしょうか。
大学生の食生活と学業成績の関係
ここまで紹介した研究は15歳(中学3年生)までを対象にした研究でした。
最近は私立中学や私立高校の受験に力を入れる家庭も多いようですが、やはり多くの人の場合、一番勉強するのは大学受験の時期ではないでしょうか。
子供の時期のではなく、青年期においても食生活が学業成績に影響を与えるのでしょうか。
2017年にオーストラリア・ニューキャッスル大学のBurrowsらは大学生の食事と学力との関係について調べています。*4
研究は過去に行われた大学生の食事と学業成績についてしらべた研究345件から条件を満たす信憑性の高い研究7件のデータをまとめて解析しました。
結果:毎日朝食を食べると学力アップ
調査の結果、
- 朝食を食べる
- 規則正しい食生活
- 果物を食べる
以上の食事内容と大学生の学業成績に関係が見られました。
子供だけでなく大学生(青年)も食生活が学業成績に影響するということですね。
大学生なんで不規則な生活を送りがちですが、規則正しい食生活を送ることで学力が高くなるようです。
お子さんが寮生活などで一人暮らしをしていると親はほとんど何もできませんが、実家から大学に通っているのであればきちんと朝食を準備したり、果物を食べさせたりすると大学での成績が良くなるかもしれません。
また、大学受験を控えたお子さんにも効果があるかもしれません。
勉強熱心なお子さんの場合は食事も不規則になることもありますが、できるだけ規則正しい食生活をさせ、特に朝食は絶対に食べさせるようにすると言いでしょう。
夜遅くまで勉強していて夜食を準備するのであれば、うどんやラーメンといったものではなく、果物をあげれば果物の摂取量を増やすことができるでしょう。
ちなみにうどんやラーメンなど高糖質食だと血糖値の乱高下によって眠気が襲ってきやすくなります。
果物であれば血糖値にそこまで大きな変動は起こらないので眠気につながりやすいというメリットもあります。
子供の食生活と学業成績の関係まとめ
- 朝食は必ず食べる
- 野菜や果物をしっかり食べる
- 規則正しい食生活を送る
といったことが子供の学業成績向上につながりそうです。
子供に賢くなってもらいたいと思っていても、子供がある程度大きくなってきたら親にできることは少なくなってきます。
親ができることのひとつが食事の準備です。
親は毎日の食事によって子供の学力アップをサポートすることができます。
ところが、食事が学業成績に関係していることを知っている親御さんは多くはありません。
お子さんの食生活の改善が周りと差をつけるチャンスとなります。
賢い子供になってもらいたいという親御さんは、ぜひ毎日の食生活を気をつけてみてください。
参考文献
*1:Associations between selected dietary behaviours and academic achievement: A study of Australian school aged children. - PubMed - NCBI
*2:Vitamin C function in the brain: vital role of the ascorbate transporter SVCT2. - PubMed - NCBI
*3:Good-quality diet in the early years may have a positive effect on academic achievement. - PubMed - NCBI
*4:Associations between Dietary Intake and Academic Achievement in College Students: A Systematic Review. - PubMed - NCBI