筋トレ

筋トレの効果を高めたいなら限界まで追い込んではいけない

筋トレは限界まで追い込んではダメ
痛てて…。
おや?どうしたんですか?

昨日筋トレを頑張ったせいで筋肉痛が酷くて…。

補助してもらいながら限界までスクワット頑張りましたよ!

頑張ったんですね。

ただ、補助をついてまで行うのは必要なかったかもしれません。

ええー!?

補助ついた方がしっかり追い込めて良いんじゃないんですかー!?

確かに補助についてもらうとしっかり追い込めて頑張った感を感じることができるんですが、それが効果に結びつくかは別なんですよ。

しっかりと筋トレを頑張るのは大切なんですが、必要以上に追い込むのは逆効果になるんです。

 

追い込む?追い込まない?

フィットネスクラブのフリーウェイトゾーン(ダンベルとかバーベルが置いてあるエリア)を見ると、どこのクラブにも必ずと言って良いほど筋トレグループができています。

自力で上げることができなくなっても、補助をしながら限界まで追いこむ姿がよく見られます。

中には大きな唸り声を上げながら追い込んでいる方もいらっしゃいます。

(ちなみに大きな声を出すのはマナー違反です。)

 

そんな姿を見ている一般の方からすれば、

「あんなに追い込まないと筋肉ってつかないのね…」

なんて思っている方もいらっしゃることでしょう。

 

そんなことありません。

補助を付けて唸り声を上げながら追い込まなくてもちゃんと効果はあります。

むしろ追い込み過ぎない方が効果的と言えるでしょう。

 

本当に追い込まない方が効果あるんですか?

もちろん楽々終わってしまっては効果はなく、ある程度頑張る必要はありますが、彼らが行なっているような追い込み方は、ただ苦しいだけで頑張っているわりには効果の薄い方法です。

そんな追い込まない筋トレの効果について見ていきましょう。

 

ドロップセットと通常の筋トレの効果の違いを調査

スクワットで追い込んだみたいですが、どんな感じで行ったんですか?
え~っと、重さを徐々に減らしていくってやり方です。

ドロップセットと言われる方法ですね。

では、ドロップセットに関する研究を見てみましょう。

 

追いこむ方法としてよく行われているのがドロップセットと言われる方法です。

限界まで行ったら少し重量を下げて限界まで行い、さらにまた重量を下げて限界まで…と繰り返す方法です。

  1. 100キロで限界まで行ったら60キロに重さを減らして限界まで。
  2. 60キロで限界になったら40キロに下げて限界まで。
  3. 40キロで限界になったら20キロに下げて限界まで。

こんなトレーニング方法です。

 

重りを段階的に落としていくからドロップセットです。

フリーウェイトゾーンで筋トレをしている人達定番の追い込み方です。

ドロップセットは限界まで追い込むので「やった感」「充実感」もあり、その分効果もありそうではありますが、実際はどうなのでしょうか。

 

ブラジル・サンカルロス連邦大学のAngleriらは普通の筋トレとドロップセットで追い込んだ場合とでの効果の違いについて調べています。*1

32人のボランティアを対象に、

  • ドロップセットで筋肉の限界まで追いこむ
  • 普通の筋トレ(75%1RMで6~12回を3~5セット)

以上の内容の筋トレを13週間行なってもらい、筋肉に対する効果の違いを調べました。

 

ドロップセットはやるだけ無駄

その結果、どちらも同じように筋肉が発達したとのこと。

筋肉の太さは

  • 普通に行ったグループは7.6%肥大
  • ドロップセットを行ったグループは7.8%肥大

というように筋肥大に関する効果に違いは見られませんでした。

 

レッグプレスの重量も

  • 普通に行ったグループは25.9%向上
  • ドロップセットを行ったグループは24.9%向上

といった感じで筋力の伸びも全く差は見られませんでした。

 

ドロップセットって筋肉の限界まで追いこむことになるので、かなり辛いトレーニング方法です。

ヘトヘトになり、筋肉もパンパンに張ります。

それだけ追い込んでも普通の筋トレ方法と効果は変わらないってことで、

ドロップセットはやるだけ損!

ってことになります。

 

効果が変わらないだけなら辛い分だけ「損」と言えそうですが、むしろ追い込んだ際の血圧上昇など健康に対する影響や、フォームの乱れによる怪我のリスクを考えると損というより「悪」と言っても過言ではないかもしれません。

ということで、筋トレ時にドロップセットで追い込む必要は全くありません

私の努力は無駄だったんですね…。
次回から気をつければ良いんですよ。

 

筋トレで追いこむVS追い込まない

ドロップセットが無駄ってことですが、追い込まなくて良いっていうのとは別ですよね?

10回ギリギリできる重さでやるようにって言われたんですが・・・。

では、追い込んだ場合とそうでない場合とでの効果を調べた研究を見てみましょう。

 

ドロップセットは無駄ということが分かりましたが、普通の筋トレで限界まで追い込んだ場合と一歩手前で終えた場合はどうなのでしょうか。

そこで、スペインナバラ州Research and Sport Medicine CenterのIzquierdoらの研究グループは筋力トレーニングで限界まで追い込んだ場合と追い込まなかった場合での効果の違いについて調べています。*2

 

実験では、バスケットボールの選手42人を

  • 筋トレで追いこむグループ
  • 筋トレで追い込まないグループ

に分けてトレーニングの効果を調べました。

 

追い込むというのはドロップセットなどを行うという意味ではなく、 「failure」「自力で持ち上げられなくなるまで」という意味です。

ポジティブフェイラーって言ったりします。

筋トレで潰れてしまうまで行うってことですね。

 

対する追い込まないグループは当然潰れるまで行うのではありません。

限界・潰れてしまう手前で止めるといった感じです。

 

実際のトレーニング内容は

  • 追い込むグループ:10回3セットを限界まで
  • 追い込まないグループは:同じ強度で5回6セット

という内容でトレーニングを行っています。

トレーニングの量は同じ(どちらも合計30回)に揃え、追い込んだ場合とそうでない場合を比べたわけです。

 

追い込むグループは普通に行った状態ですね。

10回ギリギリできる重さで10回3セットというベーシックな内容です。

 

対する追い込まないグループはギリギリまで追い込まずに5回で終えています。

10回できるところを5回に抑えているのでかなり楽に感じるかと思います。

その代わりセット数を6セットにすることでトレーニング量を揃えています。

 

単純に追い込んだ場合と追い込まなかった場合とでの違いを調べたわけですね。

 

追い込まない方がホルモンの量に好影響

トレーニングの結果、

  • 体重や体脂肪率に差はなし
  • 筋力、パワーの向上に差はなし
  • 上半身の筋持久力は追いこむ方が向上
  • 下半身の筋持久力の向上に差はなし
  • ジャンプ力の向上に差はなし
  • テストステロン値は追い込まない方が高い
  • コルチゾル値は追い込まない方が低い

という結果になりました。

 

簡単にまとめると、

筋トレの効果は追い込んでも追い込まなくてもほぼ変わらない。

ただ、ホルモンに関しては追い込まない方が良い。

ということです。

 

追い込むというのは身体にストレスを与えることになります。

強いストレスがかかるとホルモンの分泌にも影響が出てきます。

 

追い込んだ場合はストレスホルモンであるコルチゾルの量が多くなってしまっています。

コルチゾルが多いと筋肉が分解されやすい状態になります。

 

また、追い込んだ場合はテストステロンが少なくなっています。

テストステロンは男性ホルモンの一種で、筋肉の発達に強く影響するホルモンです。

このテストステロンが少なくなってしまうというのは長期的な筋トレの効果を下げてしまうということです。

男女の身体の差を見ればテストステロンの効果の大きさは一目瞭然でしょう。

 

この実験では追い込むグループは完全に動かなくなるまで追い込んだというわけではなく、自力で持ち上げることができなくなるまで行ったに過ぎません。

それにもかかわらずコルチゾルやテストステロンといったホルモンの分泌に影響があったということ。

最初に紹介したドロップセットで追い込んだ場合、ホルモン分泌への影響はさらに大きくなることが予想されます。

 

無駄に追い込むのは筋トレの効果がないだけではなく、ホルモンにも悪影響を及ぼすということですね。

ホルモン分泌のことを考えると、筋トレは限界まで追い込まない方が良いと言えそうです。

 

追い込んでも効果が変わらないだけじゃなくて、ホルモン分泌にも悪い影響があるんですね!

 

潰れるまで行うかその手前で終えるかメタ分析

ここまでは追い込まない方が良いという研究を見てきました。

次はまとめ研究(メタ分析)を見てみましょう。

オーストラリアシドニー大学のDaviesらの研究グループは、筋トレで潰れるまで行なった場合と潰れる手前まで行なった場合とでの筋力増加効果の違いを過去の研究をまとめて解析を行っています。*3

ひとつひとつの研究を見るだけでは結果にばらつきが出てしまうんですが、いろんな研究データをまとめて分析をすることでより正確なデータを得ることができるというわけです。

 

潰れるというのはさっき紹介した実験と同じように、自力で持ち上げることができなくなるまでということで調べています。

研究は過去に行われた信憑性の高い8つの研究を基に解析を実施。

 

追い込まない方が筋トレの効果が高い

調査の結果、追い込んだ場合よりも追い込まない方が0.6~1.3%筋力増加の効果が高かったのこと。

統計学的には追い込まない方が筋力アップ効果は高いけど、そこまで大きな差があるわけでもないからどっちでも良いとのこと。

 

逆に言えば、効果に大して差がないのであれば、無駄に追い込む必要はないと言えそうです。

潰れるというのは限界まで追い込んでいることになるので、健康や怪我のリスクなんかを考えると追い込まない方が良いでしょう。

 

しかもこの結果はあくまで自力で挙げられなくなるまで行った場合を追い込んだ状態として定義しています。

ドロップセットなどで限界を超えて追い込めば、フォームが大きく乱れることで効果がないだけでなく怪我のリスクもより高くなってしまうことでしょう。

 

まとめると、限界まで追い込んでもその手前で終えても効果に違いはないから無駄に追い込む必要はありません。

やっぱり限界まで追い込む必要はないんですね。
限界一歩手前まで頑張れば十分ですよ。

 

持ち上げるスピードの低下と効果の違い

限界までやる必要ないことは分かりましたが、どれくらい手前で止めたら良いんですか?

限界から1~2回程度の余裕を持って終えれば良いでしょう。

なるほど!

10回で限界なら8~9回で終えれば良いわけですね!

ただ、トレーニングに慣れていないとあと1~2回できるかどうかの感覚がわからないこともあるでしょう。

私の友達も、もう1回できると思ったら潰れてしまって助けてもらったって聞きました!
回数では限界一歩手前がよくわからないって場合はオモリを持ち上げるスピードを目安にしても良さそうです。
スピードですか?

はい、スピードです。

疲れてくると速く上げようとしても遅くなってしまいます。

その上げるスピードが明らかに遅くなった時点で止めても良いでしょう。

なるほど!

確かに10回するにしても後半はスピードが遅くなりますもんね!

そのとおりです。

では、次は挙上スピードの低下と効果について調べた研究を見てみましょう。

 

スペイン・パブロオラビデ大学のPareja-Blancoらの研究グループは、筋トレ時のテンポスピードの低下と効果の違いについて調べています。*4

追い込まないトレーニングを行うのであれば、どの程度追い込まないようにすれば良いのか反復速度の低下を目安にしましょうってことですね。

 

実験は22人の若い男性にスクワットを行ってもらっています。

限界まで追い込むのではなく、

  • 持ち上げるスピードが20%低下したら止める
  • 持ち上げるスピードが40%低下したら止める

以上の2つのグループにわけて8週間スクワットを行いました。

 

疲れてきたら持ち上げるスピードが遅くなりますよね。

遅くなってきたらそれで終わりましょうって感じです。

 

早めに終えればパワー、そこそこ遅くなれば筋肉

8週間の実験の結果

  • 持ち上げる速度が20%低下で止めたグループはパワーがよく伸びた
  • 持ち上げる速度が40%低下で止めたグループは筋肉が発達した

という結果が見られました。

 

パワーを伸ばしたいならスピードが維持できる回数まで、筋肉を付けたいなら持ち上げるスピードがある程度遅くなるまでって感じです。

持ち上げるスピードが遅くなるということは筋肉が疲労しているということです。

一般人が筋トレを行うのであれば、スピードが40%低下したあたりまで行えば十分と言えそうです。

 

この実験では機械を使ってスピードの低下を調べていますが、普段のトレーニングではそういうわけにはいきません。

どうしても感覚的なものにはなりますが、苦しくなってきて持ち上げるスピードが明らかに遅くなったと感じたところで終えるようにすれば良いのではないでしょうか。

10回が限界の重さであれば、自然と7~8回あたりで終えることになるかと思います。

 

逆に最初と変わらないスピードでできるようであれば筋肉の疲労はそれほどでもないので、もう少しがんばりましょう。

オモリを持ち上げるスピードが遅くなったら止めるようにしましょう。

 

高強度VS低強度 限界VS一歩手前

筋トレは限界まで追い込まなくても良いと紹介してきましたが、どの研究も10回前後が限界になる強度の高いトレーニングでの場合でした。

ただ、最近の研究では低負荷高回数でトレーニングを行っても筋肉が発達することがわかっています。

じゃあ軽めの負荷で高回数で行うトレーニングの場合も限界まで行わなくて良いんですか?
では、次は低負荷高回数のトレーニングの場合も限界まで追い込まなくて良いのかどうかという研究を紹介しましょう。

 

ブラジル・サンカルロス連邦大学などの研究で、低負荷高回数のトレーニングの場合も限界まで追い込まない方が良いのかどうかを調べています。*5

筋トレ経験のない男性32人を

  • 80%1RMの負荷で限界まで行う
  • 80%1RMの負荷で限界の一歩手前で止める
  • 30%1RMの負荷で限界まで行う
  • 30%1RMの負荷で限界の一歩手前で止める

以上のパターンに分け、3セットの筋トレを週2回ペースで12週間行ってもらいました。

 

高強度でも低強度でも効果に違いはなし

実験の結果、

どのグループも筋肥大・筋力の向上効果に違いはなかった

という結果となりました。

 

やはり限界まで追い込む必要はなく、限界一歩手前で終えても筋トレの効果に違いはないようです。

これって結構重要なことで、限界まで追い込むとやはり安全面に関するリスクが高くなってしまいます。

その一歩手前で終えても効果が変わらないならその方が安全で良いと言えます。

 

また、筋トレは軽めの負荷で回数を多めに行うのが好きな方もいらっしゃるでしょう。

そんな方も限界の一歩手前まで行えば同じように効果が出るようなので、無理に高強度のトレーニングを行う必要はなさそうです。

低強度高回数でトレーニングを行う場合も限界の一歩手前で止めれば良いわけですね!

 

各セット潰れるまで行わなくても効果は変わらない

筋トレを限界まで追い込むか追い込まないかに関する研究は、合計の反復回数を揃えて行われる場合がほとんどです。

そこで、次に紹介する研究は反復回数を揃えずに行っています。

 

ブラジル・ゴイアス連邦大学などの研究者らは筋トレを各セット潰れるまで追い込んだ場合とその手前で止めた場合とでのトレーニング量や疲労感などについて研究を行っています。*6

実験は平均年齢24.93歳の女性12人を対象に行われました。

 

参加者にスクワットを10RMの負荷で4セット、セット間のインターバルは2分という条件で行ってもらいました。

その際に

  • 限界まで追い込む
  • 限界まで追い込まない(スピードが20%遅くなったらそこで止める)

以上の2つの条件で筋トレを行いました。

 

実験の結果、疲労感は明らかに限界まで追い込まない方が低くなりました。

特に最後の4セット目には大きな差がついたようです。

これは当然ですよね。
そりゃ追い込まない方が疲労感は少ないですね。

ただ、ポイントはこの次です。

 

ところが、合計の反復回数は限界まで追い込んだ場合も限界まで追い込まなかった場合もほとんど変わらないという結果となりました。

1セット目から限界まで追い込めば当然2セット目以降は回数が少なくなります。

限界まで追い込む場合、1セット目は10回できたとしても、2セット目以降は8回 → 6回 → 4回 みたいな感じで回数が減っていきます。

 

逆に限界の一歩手前で終えた場合はセット目以降の回数の減少は少なくて済みます。

限界の手前で終える場合、8回 → 7回 → 6回 → 5回 みたいな感じで2セット目以降の回数の減少が少なくて済むわけです。

 

その結果、4セット行った場合の合計反復回数はほとんど変わらないという結果になるようです。

 

筋肉の発達を考える上でトレーニングのボリューム(合計の反復回数)というのは重要な要素のひとつです。

そういうこともあって多くの研究では合計の反復回数を揃えて実験を行っています。

そんなトレーニングボリュームに関しても、無理に回数を揃えようとしなくても最終的にはほとんど同じ回数になるってわけですね。

 

ボリュームは変わらないのに疲労感は追い込まない方が明らかに低くなるわけです。

ボリュームが変わらないのであれば、限界まで追い込むのは苦しいぶんだけ損だと言えるのではないでしょうか。

 

根性論でなく理論的なトレーニングを

筋トレは限界まで追い込まない方が良いということですね!

ただ勘違いしてほしくないのは、筋トレをラクラク終えて効果があるというわけではありません。

限界の一歩手前までは頑張らないとダメです。

楽して筋肉がついたら苦労しないですもんね。
あくまで無駄に限界まで追い込む必要はありませんよーってことです。
でもやっぱり限界の一歩手前で終える方が精神的にも楽ですよね。
あと限界まで追い込むとフォームが乱れて怪我のリスクも高くなるでしょう。
あー私も限界までスクワットしたら最後はフォーム乱れてしまいました。
無事これ名馬という言葉があるように、トレーニングも怪我なく継続することが一番大切ですからね。
わかりました!

これからは限界の一歩手前で止めるようにします!

 

参考文献

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