下半身の代表種目スクワット
最近は美尻ブームで”お尻”を鍛えることに注目が置かれています。
お尻を鍛えて美しいヒップラインを手に入れようってことです。
そのお尻を鍛える代表的な種目が”スクワット”ですね。
スクワットはお尻を鍛えるのに有効な種目です。
ただし、何気なくスクワットを行ってもお尻には効果は出ません。
スクワットにもいろいろやり方があって、しゃがむ深さであれば美尻を目指すならスクワットは深くしゃがめ!の記事のように、お尻を鍛えるためにはしっかりと深くしゃがむスクワット(フルスクワット)を行うことが大切です。
逆にしゃがむ深さが浅いスクワット(クォータースクワット)ではお尻の筋肉はそれほど強く働きません。
浅いスクワットは太ももの前の筋肉が使われやすいので、むしろマイナスになってしまう可能性まであります。
それくらいスクワットの種類やフォームは大切ということになります。
また、スクワットのしゃがむ深さだけでなく、足幅によってもお尻の使われ具合が変わるとされています。
お尻を鍛えたいという方は、足幅は広くしてスクワットを行う方が良さそうです。
スクワットの足幅の変化と動員される筋肉の変化
スクワットの時には足幅を変えることで太ももの特定の筋肉が使われやすくなるとされています。
そこで、イタリアのパドヴァ大学の研究グループは、スクワットの足幅と筋肉の使われ方について実験を行いました。*1
実験は、十分な筋トレ経験のある6人を対象に、
- 狭い足幅でのスクワット
- 足幅を肩幅に広げたスクワット
- 足幅を最大に広げたスクワット
以上3つの足幅のスクワットを、
- 負荷なし
- 30%の負荷(30%1RM)
- 70%の負荷(70%1RM)
以上の3種類の負荷で行ってもらいました。
足幅を広げるとお尻の筋肉が使われる
実験の結果、足幅を広げて行うとお尻の筋肉が明らかに使われやすくなることがわかりました。
ワイドスクワット、ワイドスタンススクワットと言われるスクワットがお尻に良いわけですね。
ちなみに太ももの前、後ろ、内側の筋肉の使われ具合には大きな変化は見られませんでした。
スクワットの足幅を広げるとお尻と内ももに効きやすくなる
別の研究でもスクワットの際の足幅が股関節周りの筋肉の使われ方にどう影響を及ぼすのかを調べています。
アメリカのイリノイ州立大学の研究グループはパラレルスクワット(太ももが床と平行になるまでしゃがむスクワット)を行う際の足幅の変化と筋肉の使われ方について実験を行いました。*2
実験は十分な筋トレ経験のある9人の男性を対象に、
- 肩幅の75%の足幅で行うスクワット
- 肩幅で行うスクワット
- 肩幅の140%の足幅で行うスクワット
以上の3つのスクワットを、
- 軽めの負荷(60%1RM)
- 重めの負荷(75%1RM)
以上の2種類の負荷で行ってもらいました。
脚幅を広げるとお尻と内ももの筋肉が使われる
その結果、足幅を広げて行うことでお尻と内ももの筋肉が使われやすくなったとのことです。
こちらの研究ではスクワットの足幅を広げることで、お尻に加えて内ももの筋肉も使われやすくなったという結果となりました。
お尻を鍛えるには足幅と負荷が重要
他にもスクワットの足幅に関して調べた研究があります。
2009年に行われた研究によると、負荷が重たくなるほど、足幅が広くなるほどお尻の筋肉が使われるようになったとのこと。*3
ただ、お尻を鍛えるためには足幅を広げることは大切なようですが、それよりも負荷を重たくすることがお尻を鍛えるために重要だったようです。
お尻以外の筋肉に関しては負荷を重たくすることで活動は高まったようですが、足幅に関しては大きな影響は見られなかったようです。
さらに、お尻の筋肉はしっかりしゃがんだ位置から立ち上がる際に最も働いたとのことで、ワイドスタンスや負荷を加えてもしっかりしゃがまないと効果が少ないと言えそうです。
お尻のためには足幅を広げると良さそう
3つの実験の結果を見てみましたが、どの研究もスクワットの足幅を広げることでお尻に効きやすくなるということでした。
お尻を鍛えるためにスクワットを行うのであれば、足幅を広げて行うと良さそうです。
ついでに内ももの筋肉も使われやすくなる可能性があるので、女性にとってはお尻と内もも同時に鍛えることができて一石二鳥と言えるかもしれません。
また、負荷を加えた方がお尻を鍛えるには効果的なようです。
自体重でワイドスクワットを行うよりも、バーベルやダンベルで負荷を加えて行うと効果的なようです。
その際にはしっかりと深くしゃがむようにしましょう。
ワイドスクワットもしゃがみが浅いとお尻に対する効果が少なくなってしまいます。
美尻を目指してスクワットを行う方は、ぜひ足幅を広げて行うようにしてみましょう。
ただ、内ももの柔軟性などであまり足幅を広げることができないという方もいるでしょう。
柔軟性に欠けるにも関わらず無理にワイドスタンスで行うと膝に負担が掛かって膝を痛める危険も出てきます。
そのため、肩幅2倍の足幅を目標に自分の出来る範囲で足幅を広げるようにしていけば良いでしょう。
継続することで柔軟性も上がるので、肩幅2倍の足幅を目指して少しずつ広げてみてはいかがでしょうか。
参考文献
*1:The effect of stance width on the electromyographical activity of eight superficial thigh muscles during back squat with different bar loads. - PubMed - NCBI
*2:Stance width and bar load effects on leg muscle activity during the parallel squat. - PubMed - NCBI
*3:The Effect of Stance Width on the Electromyographical Activi... : The Journal of Strength & Conditioning Research