流行りの筋膜リリース
近年”筋膜リリース”という方法が広まっています。
ちょっとした道具を使って筋肉をほぐす方法です。
今回は筋膜リリースに関する論文3つを紹介致します。
その論文に”フォームローラー”と”ローラーマッサージャー”という言葉が出てきます。
どちらも筋膜リリースを行う道具です。
一応どういう道具を使ったかも案内しておきます。
フォームローラーというのがこれです↓
また、ローラーマッサージャーというのがこれです↓

TigerTail(タイガーテール) トリガーポイント&筋筋膜リリース・マッサージローラー スタンダードモデル(46cm)
- 出版社/メーカー: Fabrication Enterprises
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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似たような商品はいろいろありますが、どれも同じようなものだと思ってください。
これらを使った筋膜リリースの効果を紹介したいと思います。
柔軟性の向上や筋肉痛の軽減に非常に効果が期待できそうですよ。
筋膜リリースは10秒で効果あり!
カナダのニューファンドランド記念大学のサリバンらの研究グループは、ローラーマッサージャーを使った後の柔軟性の変化について調べました。*1
男性7人、女性10人の計17人の被験者に対し、一定の圧力(13kg)、一定の速度(1往復1秒)で太ももの裏の筋肉にローラーマッサージを行いました。
- 5秒間1セット
- 10秒間1セット
- 5秒間2セット
- 10秒間2セット
以上の4つの条件でローラーマッサージを行いました。
その結果、
- 柔軟性が4.3%向上
- 最大筋力に大きな変化はなし
という結果が見られました。
また、
- 5秒と10秒を比べると明らかに10秒の方が柔軟性向上の効果が高い
- 1セットと2セットを比べると、2セットの方が柔軟セい向上の効果が高い傾向が見られた
という結果も見られました。
わずか10秒で筋肉の柔軟性が上がるということがわかりました。
さすがに5秒では効果は薄いようですが、5秒を10秒に延ばす程度ならそれほど負担にもならないでしょう。
時間がない方でもパパッと筋肉をほぐすことができるのではないでしょうか。
筋膜リリースで筋肉痛が楽になる
スペインマドリード工科大学のロメロらの研究グループはフォームローラーを使った筋膜リリースが筋肉痛にどのような効果があるのかを調べました。*2
実験は、健康な男女32人(男性21名、女性11名、平均年齢22.6歳)を対象に行われました。
まず、筋肉痛になってもらうために50センチの台から飛び降りる運動を20回5セット行いました。
当然筋肉痛になります。
その状態でフォームローラーを使った筋膜リリースを行い、痛みの変化を調べました。
実施時間は長めの1分間。
その後30秒の間を挟んで合計5セット行いました。
その結果、筋膜リリース後の筋肉痛は45%軽減したとのこと。
しかも筋肉痛で低下していた筋力も改善したとのこと。
筋膜リリースで筋肉痛が大幅に軽減
カナダ・ニューファンドランド記念大学のPearcerらの研究グループは、筋肉痛の回復ツールとしてのフォームローラーを使った筋膜リリースの効果を調べました。*3
実験は普段から運動をしている男子大学生8人。(平均年齢22歳)
まずは筋肉痛になってもらうためにスクワットを行いました。
- 下す深さは太ももが床と平行になるまで
- 60%1RMの負荷で10回10セット
- 動作スピードは4秒で下して1秒で上げる
- セット間の休憩時間は2分
という内容で行いました。
当然めっちゃ筋肉痛になります。
その状態でまずは特になにもせずに過ごし、トレーニング後24時間、48時間、72時間の時点での痛みのチェック、30mダッシュ、敏捷性のチェックなどを行いました。
その4週間後、再び同じようにスクワットを行い、筋肉痛の状態を作り、24時間後、48時間後、72時間後に同様のチェックを行いました。
それに加えて今回はフォームローラーを使って筋肉をほぐします。
スクワットを行った直後、24時間後、48時間後にフォームローラーを使って筋肉をほぐしました。
45秒間コロコロとほぐします。
15秒間の休憩を挟んで他の筋肉をほぐすという方法で、合計20分間下半身の筋肉をほぐしました。
実験の結果、
- 24時間、48時間経過時の筋肉痛が大幅に軽減
- 筋肉痛によるパフォーマンスの低下も若干抑えた
という結果が見られました。
筋膜リリースは柔軟性の向上や筋肉痛の軽減に効果的
筋膜リリースは柔軟性を高めたり筋肉痛を軽減してくれることがわかりました。
柔軟性の向上であれば10秒あれば良いので、合間を見てちょこちょこ行うと良さそうです。
筋肉痛軽減の実験は長めの時間行われていますが、十分な効果が見られました。
できれば筋肉痛になってから入念に行うよりも、運動直後に行う方が翌日の筋肉痛が軽減して良さそうです。
運動直後に筋膜リリースを行ったのに翌日筋肉痛になった場合、再度筋膜リリースを行うと痛みが随分と楽になるようです。
運動をしているという方はぜひ運動後の筋膜リリースを行いましょう。
また、普段の身体のケアとして10秒程度の短時間の筋膜リリースを取り入れてみてください。
その際にはあまりきつくし過ぎないようにも気を付けましょう。
筋膜リリースは痛くても意味はなし!優しく行いましょう! の記事のように痛みを我慢してきつく行っても効果は変わらないので、ある程度優しくほぐすようにしてみてください。
参考文献
*1:Roller-massager application to the hamstrings increases sit-and-reach range of motion within five to ten seconds without performance impairments. - PubMed - NCBI
*2:Neurodynamic mobilization and foam rolling improved delayed-onset muscle soreness in a healthy adult population: a randomized controlled clinical t... - PubMed - NCBI
*3:Foam rolling for delayed-onset muscle soreness and recovery of dynamic performance measures. - PubMed - NCBI