筋トレ

筋トレの動作スピードと効果の違いについて ゆっくりが良い?速くが良い?

筋トレの最適な動作速度は?

あなたは筋トレをする時に反復スピードを意識していますか?

筋トレを行う時にかならず言われるのが、

「筋トレは下ろす時が大切なんや!」

「ネガティブ動作をゆっくり行いましょう!」

といったことではないでしょうか。

 

筋トレ時の戻す時(下ろす時)の動作をゆっくり行いましょうってことですね。

スクワットやベンチプレスなら下ろす時のこと、ラットプルダウンなら戻す時の動作のことです。

 

戻す時の動作を”ネガティブ動作”とか”エキセントリック動作”とか”伸長性筋活動”とか言ったりします。

筋肉が伸ばされつつ力が入っている動作のことですね。

しゃがむ時は太ももの前の筋肉が伸ばされていきますが力も入っていますよね。

 

ちなみに逆に力を入れたり持ち上げる動作のことを”ポジティブ動作”とか”コンセントリック動作”とか”短縮性筋活動”とか言ったりします。

筋トレの時の力を入れて頑張る方の動作と思ってください。

 

さて、そんな筋トレ時のスピード、特に戻す時の動作が重要と言われています。

筋トレの戻す時の動作をゆっくり行うと効果的とされていますが、スポーツをしている人にとっては遅すぎると悪影響を及ぼすかもしれません。

今回はそんな筋トレの動作スピードと効果の違いについてご紹介致します。

下ろすスピードと効果の違いについて

筋トレは降ろす動作が大切と言われており、ゆっくり丁寧に行うことが奨められています。

ただ、どれくらいゆっくり丁寧に下せばいいのかははっきりしていませんでした。

 

そこで、ニューメキシコ大学の研究グループは、筋トレ時の伸長性筋活動(降ろす時)の時間と効果の違いについて実験を行いました。*1

平均3.0年の筋トレ経験のある大学生(平均年齢23歳)を対象にスミスマシンを使ったスクワットを行なってもらいました。

 

スクワットのしゃがむ時のスピードを

  • 2秒で下ろすグループ
  • 4秒で下ろすグループ
  • 6秒で下ろすグループ

以上の3つの条件に分けてトレーニングを行ってもらいました。

ちなみに立ち上がる時のスピードはどのグループも2秒で統一、負荷強度はどのグループも80~85%1RMの重さで6回4セット週2回のトレーニングを4週間行なってもらいました。

下ろすスピードが遅すぎると瞬発力が低下する

さて、4週間のトレーニングを行なった結果として、

  • どのグループも最大筋力、垂直跳び、最大パワー、平均パワーの向上が見られた
  • 6秒のグループは最大スピードの低下が見られた
  • 2秒のグループは筋肉痛が強かった

という結果となりました。

 

筋トレは下ろす時が大切とは言いますが、あまり遅いと瞬発力の面では逆効果になるようです。

6秒で下ろした場合はスクワットジャンプ時の最大速度が低下したとのことで、あまり遅い速度で行うと瞬発的な動きを求める人にとっては悪影響になる可能性が考えられます。

 

スポーツパフォーマンス向上のために筋トレを行っているという方はあまりにゆっくり行うという方法は控えた方が良いかもしれません。

逆に降ろす速度が速いと筋肉痛が酷くなるとのことでした。

スポーツをしているというわけでなく、あくまでダイエットや身体のラインを変えるために筋トレをしているのであれば、下ろす動作をゆっくり行う方が筋肉痛が少なくて良いかもしれません。

 

また、この研究ではスクワットを対象としています。

スクワットは動作範囲が大きく、1回の反復に自然と時間がかかります。

 

反対にふくらはぎを鍛えるカーフレイズという種目は動作範囲は小さくなります。

足首を動かすだけですからね。

スクワットとカーフレイズを比べたら明らかに動く範囲に差があります。

 

動作の大きいスクワットの場合は降ろすスピードは6秒以下が良いということになります。

動作範囲の小さいカーフレイズといった種目の場合はもう少し短時間で行う方が良いかもしれません。

ストンと力を抜いてしまわないようにしつつ、ある程度自然に動かせば自然と効果的な速度になるかと思います。

 

上げるスピードと効果の違いについて

筋トレの動作中最も頑張るのは持ち上げる局面でしょう。

上げるスピードはゆっくり丁寧が良いのでしょうか?

それとも速く持ち上げる方が良いのでしょうか?

 

そんな疑問に対して、持ち上げるスピードを変えてベンチプレスを行った研究があります。*

  • 2秒で下ろして2秒で上げる
  • 2秒で下ろしてできるだけ速く上げる

以上の条件でベンチプレスを行い、大胸筋や上腕三頭筋といったベンチプレスで使われる筋肉の活動を調べています。

 

その結果、使う筋肉を意識しながら2秒で上げるよりも、できるだけ速く上げる方が大胸筋・上腕三頭筋の働きが強くなるということがわかりました。

 

また、長期的に行った場合の筋力の変化について調べた研究もあります。*2

  • できるだけ速く持ち上げるグループ
  • スピードをコントロールして行うグループ

以上の2つのグループに分け、週3回のペースで6週間ベンチプレスを行ってもらいました。

 

6週間のトレーニングの結果、ベンチプレスの最大挙上重量の変化は

  • できるだけ速く上げる:18.2%向上
  • スピードをコントロール:9.7%向上

という結果となり、スピードをコントロールして持ち上げるよりもできるだけ速く持ち上げる方が筋力向上に効果的であることがわかりました。

 

高重量になってくると速く持ち上げようとしても持ち上がらないかとは思いますが、できるだけ速く持ち上げようとする努力が重要となります。

 

注意としては、速く上げようとしてフォームが大きく乱れるようであれば気をつけましょう。

フォームが乱れることでトレーニング効果が減少するだけでなく、種目によっては怪我のリスクが跳ね上がることが考えられます。

 

できるだけ速く持ち上げると効果的ですが、フォームが崩れない範囲での全力のスピードで持ち上げると効果的でしょう。

 

切り返し時の時間と効果の違いについて

筋トレは「下ろす動作」と「上げる動作」の2つの動作からなりたっていますが、更に見ると

  • 下ろしてから上げる切り返し局面
  • 上げてから下ろす切り返し局面

という2箇所も存在します。

 

下ろしてから上げる切り返し局面は「ボトムポジション」と言われたりもします。

ベンチプレスだと胸に触れる局面ですね。

 

上げてから下ろす局面は「スタートポジション」「トップポジション」と言われたりします。

ベンチプレスなら肘を伸ばして持ち上げた局面です。

 

筋トレの動作スピードを考える上でこれらの切り返し局面も重要となります。

ボトムポジションで一度止めるのか止めないのか、トップポジションで休憩を挟まずすぐに下ろしはじめるのかといったことも考慮する必要があるでしょう。

 

ボトムポジションでは素早く切り返す

ボトムポジションではつい反動を使って上げがちです。

反動を使わないように1秒止めてから行うように指導されたりすることもありますが、実際の効果はどうなのでしょうか。

 

2004年に行われた研究によると、ボトムポジションで反動を使うことでスクワットの筋活動が高まったという報告があります。*3

ボトムポジションでは反動を使う方が効果的ということになります。

ただし、種目・重量・フォームによってはボトムポジションで反動を使うと危ない場合もあります。

 

よって、ボトムポジションであえて1~2秒止める必要はないくらいに思っておく方が良いでしょう。

フォームを崩さずに行えるのであれば若干の反動を使って上げるとより効果的と思えば良いでしょう。

 

トップポジションでは一息つく

トップポジションでは休憩をしてしまいがちです。

スクワットで立ち上がったら「ふぅ~」と一息ついてから再びしゃがみ始めるといった感じです。

 

2018年に行われた研究によると、スクワットのトップポジションで一息つくことで疲労が明らかに軽減されたという報告があります。*4

長期的に調べた研究ではないため実際の筋肉の発達に対する効果はわかりませんが、トップポジションで一息つくことで最終的な反復回数が増えれば筋肉の発達にも好影響を及ぼすことになりそうです。

 

ただし、あまり長く休んでも大きな差は見られなかったということから、トップポジションでは一息つく程度にしておくと良いでしょう。

 

切り返し局面まとめ

切り返し局面についてまとめると

  • ボトムポジションはすぐに切り返す
  • トップポジションでは一息つく

といった感じになります。

どちらも一般的に駄目と言われがちなことですが、実際に調べてみると以外にも良いことがわかりました。

長期的な効果に関する研究は行われてはいませんが、1回のトレーニングの内容が良くなれば筋肥大効果も高まることが予想されます。

 

反復時間と筋肥大効果の違いについて

ここまで紹介した研究は上げる局面、下ろす局面、切り返し局面、それぞれの局面について見てきました。

では、実際の反復スピード(時間)はどれくらいが良いのでしょうか。

 

ということで、米国のリーマン大学の研究グループは、筋トレの反復時間と筋肥大の関係を調査しました。*5

さっきの研究とは違って、下ろす動作だけでなく上げる動作の時間も含めた反復時間とその効果について調べたわけですね。

調査は過去に行われた研究から条件に合う研究8つを基に分析を行いました。

結果:筋肥大に対する反復スピードの影響は少ない

その結果、1回の反復時間が0.5秒から8秒の間であれば、筋肥大の効果はほとんど変わらないということがわかりました。

一応1回の反復時間が10秒以上になると筋肥大の効果が低下する傾向が見られたようですが、統計学的に有意差は見られず結論付けることは難しいとのこと。

 

この研究を見ると、スポーツが目的というわけでなく、健康・ダイエット・見た目のために筋肉を付けたいって目的の場合も1回の反復時間は8秒以下で行うのが良さそうです。

上げる時の動作を1~2秒とすると、下ろす時の動作は6秒以下が良さそうです。

 

それ以上ゆっくり行うと1回の反復時間に10秒以上かかり、筋肉を付けるという効果も低下してしまいます。

とは言え、1回の反復時間に8秒以上掛ける人はそう多くはないでしょう。

相当意識して遅く動かさなければ8秒以上かかることはありません。

 

筋肥大に効果的とされる70~80%1RMの負荷で6秒以上掛けて降ろそうとするとかなり大変です。

逆に1回の反復スピードが0.5秒未満でも筋肥大効果は低下するようですが、筋肥大に効果的な70~80%1RMくらいの負荷で行えば1回の反復スピードを0.5未満で行うことはできません。

 

挙げるのにも少なくとも1秒近く掛かるはずなので、0.5秒未満というのは相当軽い負荷で行っているか、相当狭い可動域で行っているかのどちらかでしょう。

よって、筋肥大のために70~80%の負荷で筋トレを行っているのであれば、それほど反復スピードを意識する必要はないでしょう。

 

ただ、カーフレイズ・リストカール・クランチのように動作範囲の小さな種目は素早く動かすと0.5秒未満になる可能性があります。

動作範囲の小さな種目は早くやり過ぎない様に若干だけ気をつけた方がいいでしょう。

 

場合によってはスローもあり

筋トレの動作スピードに関する研究の多くは、スピードに変化を付けても回数に差をつけることはありませんでした。

速いスピードで行っても遅いスピードで行っても同じ10回行ってもらうといった感じです。

 

そこで米国・オハイオ州立大学などの研究者らが筋トレ時の反復時間を揃えた場合の効果について調べています。*6

実験は普段から筋トレをしている男女59人を対象に行われました。

 

参加者を

  • 2秒で上げて4秒で下ろすのを最大10回
  • 10秒で上げて10秒で下ろすのを最大4回
  • 30秒で上げて30秒で下ろすのを最大1.5回

以上の3つのグループに分けて、筋トレを週に2回10週間行ってもらいました。

 

10週間のトレーニングの前後に体組成測定、空腹時血糖値、チェストプレス・レッグプレス・プルダウンの1RM測定を行い、各グループの効果の違いについて比べました。

10週間のトレーニングの結果、どのグループも筋肉の発達・筋力の発達に差は見られませんでした。

 

ゆっくり行うトレーニングであっても、限界まで追い込めば筋肉の成長に差はないということですね。

さすがに30秒かけて上げ下げはやり過ぎかとは思いますが、スロートレーニングと言われるようなゆっくりとしたスピードで行う筋トレも悪くなさそうです。

 

スピードが速くなればどうしても筋肉や関節に対する負担が増えてしまいますが、ゆっくりであればそれらへの負担は少なくて済みます。

ケガなどの関係で速いスピードでの筋トレに不安のある方はゆっくりと行う筋トレを取り入れても良いかもしれません。

 

また、普段はそこそこ速いスピードで筋トレを行っている方は刺激を変えるという意味でたまに遅いスピードで筋トレをしてみるのも良いかもしれません。

普段よりも大きな化学的ストレスが筋肉に掛かることで筋肉の発達に役に立つ可能性があります。

 

ゆっくり筋トレを行っても効果は変わらないという結果でしたが、注意としては限界まで追い込むことです。

ゆっくり楽に終えるのではなく、最後は動かないところまで行います。

 

一番遅いグループを30秒で上げて30秒で下ろすグループと紹介しましたが、正確には30秒で下ろして30秒で上げて30秒で下ろすトレーニングです。

60秒の時点でほぼ限界なんですが、ゆっくりと下ろすだけならかろうじて耐えることができます。

最後の30秒はなんとか耐えながらゆっくりと下ろして筋肉の限界まで追い込むといったところです。

 

その後は当然上げることはできませんのでそのままセーフティーバーに下ろして終えるといった感じです。

そのため最大1.5回という反復回数になっています。

ゆっくり行うから楽だと勘違いしないようにご注意くださいね。

 

筋トレの反復スピードまとめ

ここまで筋トレの動作スピードについて紹介してきましたのでまとめてみましょう。

まとめ
  • 上げるスピードはできるだけ速く
  • 下ろすスピードは2~4秒程度
  • ボトムポジションでは素早く切り返す
  • トップポジションでは一息つく
  • 1回の反復時間は8秒未満

といった感じです。

 

筋トレのスピードは効果を考える上で大切ですが、できるだけ速く上げることだけを考えればそれほど気にする必要はなさそうです。

0.5秒~8秒の範囲であれば筋肥大効果はほとんど変わりませし、筋肥大に効果的とされる70~80%1RMの負荷でトレーニングを行えば自然とこの範囲のスピードに収まるでしょう。

 

ただ、10秒以上かけるような極端に遅いスピードで行うと効果が落ちる可能性があります。

最後に紹介した研究では筋肥大・筋力アップ効果に差はないということでしたが特に優れているというわけではないので、遅いスピードで行うと同じくらい効果があるか効果は落ちると考えて良いでしょう。

 

よって筋肉を付けたいというのであれば、2~4秒くらいで下ろし1~2秒くらいで上げる程度のスピードが適しているのではないでしょうか。

筋トレの反復スピードにお悩みの方は参考にしていただければと思います。

 

 

参考文献

*2:González-Badillo JJ et al. (2014) Maximal intended velocity training induces greater gains in bench press performance than deliberately slower half-velocity training.

*3:真鍋 芳明 他 (2004) スクワットにおける運動速度変化および反動動作の有無が股関節と膝関節まわりの筋の活動および関節トルクに与える影響

*4:Mora-Custodio R et al. (2018) Effect of different inter-repetition rest intervals across four load intensities on velocity loss and blood lactate concentration during full squat exercise.

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