この記事では、子供の胃腸炎による嘔吐に対する生姜の効果について書いています。
子供の急性胃腸炎による嘔吐と生姜
小さな子どもは体調を崩しやすいものです。
熱だけならまだしもゲーゲーと嘔吐も伴うとなると子供の心配に加えて布団の汚れの心配まで加わってきます。
できれば早く収まって欲しいところです。
そんな子供の嘔吐に関してですが、ヨーロッパ・小児栄養消化器肝臓病学会(ESPGHAN)の第51回国際学術大会での発表によると、子供の急性胃腸炎のよる嘔吐に生姜が有効とのことです。*1
子供の急性胃腸炎は油断できない
ほとんど全ての子供は、生まれてから3年以内に急性胃腸炎に罹るとされています。
子供の場合、ただの胃腸炎といって油断してはいけません。
嘔吐や下痢で身体の水分やミネラルが失われてしまうと命の危険にも繋がり、実際に小児の主な死因のひとつに急性胃腸炎であることが報告されています。
ちゃんと水分補給やミネラル補給を行えば良いんですが、飲むとすぐ吐いてしまうってことになるとなかなか難しくなります。
病院での点滴が必要になりますね。
ヨーロッパでは年間約70万人もの患者が胃腸炎で病院に掛かっており、全世界で年間134万人もの子供が胃腸炎で亡くなっています。
これは小児の死因の約15%にもなります。
子供への急性胃腸炎対策が急務と言えそうです。
そこで研究では1~10歳までの急性胃腸炎の子供141人を対象に、
- 生姜を与えた場合
- 偽薬を与えた場合
以上の条件で実験を行いました。
その結果、生姜を与えた子供は嘔吐の回数が20%少なくなりました。
また、1日以上学校を休んだ子供の人数も28%少なかったとのこと。
生姜で嘔吐の持続時間と重症度が軽減
生姜が子供の急性胃腸炎による嘔吐を抑えるということですね。
嘔吐に苦しむ時間と重症度の両方が生姜によって軽減されるということになります。
調査した人数が少ないので信憑性としては少々アレではありますが、普通の成人に対して*2や、妊婦さんの悪阻に対して*3、癌などに対する化学的治療による吐き気に対して*4も効果があることが示されているので、子供の吐き気に対しても恐らく効果は期待できるでしょう。
しかも薬ではないので副作用の心配が少ないのも嬉しいところ。
普通の食品なのでほとんど副作用はありません。
仮に副作用があっても軽いものです。
食品である生姜であれば安心して子供にも与えることができますね。
また、実験では小さな子どもが食べやすいようにアイスクリームに混ぜたりして、スプーン1杯ずつの量を5分ごとに与えています。
一気に食べてしまうとまた吐いてしまうかもしれませんが、スプーン1杯ずつ与えれば大丈夫ではないでしょうか。
しかも冷たいアイスクリームなら子供は喜んでくれるかもしれません。
ある程度大きくなった子供であれば、生姜湯を飲ませたり、生姜のはちみつ漬なんかを与えても良いかもしれません。
胃腸炎の時には食欲はほとんどないでしょうからできるだけ食べやすい方法で生姜を食べさせると良いでしょう。
子供の急性胃腸炎による吐き気にはぜひ生姜を試してみてください。
ちなみに二日酔いによる吐き気にも効果が期待できるので、大人の方もぜひお試しください。
参考文献
*1:Therapeutic efficacy of ginger on vomiting in children with acute gastroenteritis
*2:Efficacy of ginger for nausea and vomiting: a systematic review of randomized clinical trials. - PubMed - NCBI
*3:The effectiveness and safety of ginger for pregnancy-induced nausea and vomiting: a systematic review. - PubMed - NCBI
*4:Ginger (Zingiber officinale) and chemotherapy-induced nausea and vomiting: a systematic literature review. - PubMed - NCBI