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運動もやり過ぎると健康に悪い ウルトラマラソンの身体への影響は?

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基本的に運動は健康に良いんです。

余計な体脂肪が減ったり、血管の柔軟性が高まったり、骨が強くなったり、筋肉が増えたり。

運動は万能薬と言われるほど、運動は健康に良い影響を与えます。

 

ただ「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざどおり、やり過ぎは身体に悪影響を及ぼします。 

そのやり過ぎの代表とも言えるスポーツ「ウルトラマラソン」。

ウルトラマラソンのレース中やレース後には身体に様々な影響が出ているようです。

そこで、スイス・チューリッヒ大学のKnechtleらはウルトラマラソンにおける身体の変化についてまとめました。*1

 

ウルトラマラソンとは?

まずはウルトラマラソンについて述べていきましょう。

ウルトラマラソンとは通常のフルマラソンの距離(42.195km)よりも長い距離を走るレースのことです。

近年マラソンブームですがフルマラソンでは飽き足らず、もっと長い距離を走りたいという人が増えてきているようです。

日本でも100kmを走るウルトラマラソンが各地で行われています。

 

ちなみに世界で最も長い距離を走るウルトラマラソンは3100マイルレースです。

kmに直すと4,989kmで、これを52日間で完走するというレースです。

1日平均95.9kmを走り続けるというもの。

ちなみに日本最北端の宗谷岬から本土最南端の佐多岬まで歩くと2,600kmくらいなので、3,100マイルレースの凄まじさが分かるかと思います。

ここまできたらもはやバ(以下略

 

しかもニューヨークにある学校周りを走り続けるとのこと。

学校一周が880mで、それを5,649周するというものです。

周回コースというものですね。

 

日本で最も有名な周回ランニングコースである皇居まわり。

皇居一周が約5kmということです。

皇居まわりで3,100マイルマラソンをするなら1,000周で済むのですが、880mと1周の距離が短いので5,000周以上走らないといけないわけですね。

景色も代わり映えせず、精神的に非常に辛そうです。

 

まあこれに関しては意外と利点があるそうで、自分のテーブルに自分のサプリメントや食べ物を置いておくことができ、いつでも簡単に摂ることができて便利だそうです。

町まで遠く離れたところで力尽きたら大変ですが、880mの周回コースなら440m移動すればとりあえず食べ物や飲み物にありつけるので安全ですね。

 

ちなみに3,100マイルレースの世界記録は41日と8時間16分29秒だそうです。

 

どんな人が走るのか?

3,100マイルレースは別として、100キロ以下のウルトラマラソンの参加者及び完走者は増えてきているとのこと。

では、どんな人が走っているのでしょうか。

 

米国で行われた調査によると、45歳前後の男性が多いとのこと。*2

男女比は男性が約8割、女性が約2割。

ウルトラマラソン初参加の年齢は平均で36歳で、最低でも7年以上マラソン経験のある人がウルトラマラソンに挑戦するようです。

普段のトレーニングの量も非常に多く、ウルトラマラソン前の1年間で平均3,000km以上走るとのこと。

 

ここまでくるとランニングジャンキーみたいなものですね。

エンドルフィンをキメてやがるぜ…。

 

ウルトラマラソンの危険性

運動をやり過ぎたら身体に悪いって記事のタイトルどおり、ウルトラマラソンによる身体への悪影響について見ていきましょう。

 

低ナトリウム血症

ウルトラマラソンに参加する全てのランナーは脱水で体重の減少がおこります。*3

ということでレース中に大量の水分を摂らないといけません。

ここで「ただの水」ばかりを飲んでしまうことで低ナトリウム血症になる危険が出てきます。

完走者の5.7%がレース後に低ナトリウム血症を発症したという報告もあります。*4

アラスカで開催された100マイルのウルトラマラソンではランナーの44%が低ナトリウム血症を発症したという報告まであります。*5

 

汗と一緒にナトリウムも出ていってるのに、ナトリウムを補給せずに水ばかり飲んだらナトリウム濃度の薄い状態になるわけですね。

水分補給の方法を間違えると低ナトリウム血症で命の危険に曝されるかもしれません。

 

筋肉や骨への影響

ウルトラマラソンに参加すると筋肉や骨もダメージが加わります。*6

100キロとか走ったらそりゃダメージも受けますわな。

ウルトラマラソンの参加者の50~60%に筋や骨の問題を経験したという報告もあります。*7

半分以上の参加者が何らかの怪我をしたわけですね。

 

特に多いのが足首や膝を中心とした下半身の怪我です。

219kmを5日間で走るウルトラマラソンでは、ランナーの22%が下半身の怪我を経験し、その多くが膝だったとのこと。*8

シドニーからメルボルンまでの1,005kmを走るウルトラマラソンでは、31.3%が膝、28.1%が足首に問題が出たとのこと。*9

足首の怪我はアキレス腱の炎症が非常に多いようです。 *10

 

とにかくウルトラマラソンは身体へのダメージが大きい競技です。

下半身の怪我は当たり前くらいに思っておかないといけなさそうです。

 

臓器へのダメージ

ウルトラマラソンは骨格筋だけでなく、肝臓や腎臓などの内臓に対してもダメージが加わります。

 

繰り返される直地の衝撃で赤血球が壊れる

ウルトラマラソンを走るとなると膨大な回数の着地動作が繰り返されます。

その衝撃によって赤血球が壊れてしまう溶血が度々報告されています。*11

 

特にウルトラマラソンを走るようなエリートランナーはクッション性が低いシューズを履くことが多いでしょう。

クッション性が低いとシューズ自体が軽くなることに加え、力が地面にダイレクトに伝わるので速く走りやすいというメリットがあります。

ただ、地面からの衝撃がダイレクトに伝わるわけなので、ウルトラマラソンのように長距離を走る場合はその強い衝撃で赤血球が壊れやすいわけですね。

 

赤血球は酸素の運び屋さんです。

その赤血球が壊れてしまったら貧血の症状がでたり、すぐに息が上がって疲れやすくなったりします。

当然身体には悪いですね。

 

ストレスホルモン増加・男性ホルモン減少 

ウルトラマラソンはホルモンにも影響を及ぼします。

ストレスホルモンのコルチゾールが増加し、その逆にテストステロンが減少したという報告もあります。 *12

 

ストレスホルモンが増加して、男性ホルモンのテストステロンが減少するというのは男性にとって最も悪い変化と言えるでしょう。

男性にとってテストステロンは非常に重要なホルモンで、性的な影響だけでなく、仕事などへのやる気に影響したり、生活習慣病などの各種病気にも関係してきます。

 

女性のウルトラマラソン参加者は近年まで少なかったので研究の数は少ないようですが、女性ホルモンの一種であるエストラジオールが著しく増加したという報告があります。*13

一時的な変化とはいえ、病的な変化ですね。

 

グロテスクな数値が出るほど筋肉が壊れまくり

血清クレアチンキナーゼがめちゃくちゃに上昇したという報告もあります。

その通知は論文のなかで「グロテスク」と表現されるほど。

中にはレース後に正常値の100倍以上にもなったという報告があります。*14

 

クレアチンキナーゼは筋肉内にある酵素のことで、それが漏れてしまっているという状態です。

簡単に言えば筋肉が壊れまくっているってことですね。 

筋肉が壊れて中の物が駄々漏れ状態という感じです。

そりゃ100kmも走れば筋肉壊れまくるわね。

 

おまけにクレアチンキナーゼは心臓の筋肉の損傷も現しています。*15

走っている間、心臓はずっと速く動き続けるわけですからね。

当然心臓にもダメージがきています。

 

一般的には心筋梗塞などで心臓の筋肉にダメージが加わると数値が高くなったりするわけですが、ウルトラマラソンの場合は心筋梗塞ではなく使いすぎによるダメージがあるようです。

重篤な損傷を引き起こすかどうかはまだ現時点では結論づけることはできないようですが、少なくはない負担が掛かっているようです。 

 

骨がもろくなる

適度な運動は骨を刺激することで丈夫にする効果があります。

ところが、ウルトラマラソンの場合は骨も壊れます*16

骨を作るホルモン「オステオカルシン」が減少することが報告されています。

長期に渡ると骨密度の低下から骨粗しょう症に至る可能性も出てきます。

 

適度な刺激だと骨は丈夫になるわけですが、過度な刺激だと逆に壊れてしまうわけですね。

刀鍛冶は熱した鉄を叩くことで強度を高めるわけですが、叩き過ぎて壊してしまうようなもんですね。

 

また、女性の場合は骨密度が月経にも影響しているようで、無月経などの問題に繋がるようです。*17

ウルトラマラソンに参加している女性の44.1%に無月経の危険があることが報告されています。*18

若い女性ですら骨密度の影響があるわけなので、閉経後の女性がウルトラマラソンを走ると骨に物凄く悪いことは想像できるかと思います。

 

参加者の8割に吐き気

ウルトラマラソンは胃腸にも負担をかけます。

まあこれは予想できますね。

100キロ走ってすぐにステーキは食べられないでしょう。

食欲がなくなる程度ならまだ良いのですが、胃腸から出血しているという報告もあります。*19

 

また、ウルトラマラソン参加者の80%に吐き気の症状があったということです。*20

途中でリタイアしたランナーの90%が吐き気を訴えたという報告もあります。*21

物凄くハードな運動をして吐き気を催した経験のある方は多いかと思いますが、ウルトラマラソンによる身体の不調で最も多いのがこの吐き気のようです。

 

急性腎障害も…

 ウルトラマラソンでは、腎機能障害を伴う腎臓の損傷が頻繁に見られるようです。*22

ウルトラマラソンでの急性腎障害の有病率は全ランナーの約50%にものぼるという報告まであります。 *23

あくまで一時的なもので、大抵の場合は1日以内に回復するようですが、数日に渡って続く場合もあるようです。 *24

 

腎臓はご存じのとおり濾過装置みたいなものです。

運動をすると血液中にゴミがたまるので腎臓で濾過して尿として排出することで身体の健康を保つわけです。

 

ところが、ウルトラマラソンのような運動の場合、ゴミの量が多すぎて大変な状態です。

ただ、処理をしないと命にかかわることがあるので腎臓はフル稼働です。

ブラック企業も真っ青の酷使具合ですね。

 

レース後は風邪ひきまくり 

ウルトラマラソンのあとには免疫にも影響が出てきます。

ウルトラマラソンのレース後には上気道感染症(通称風邪)をひいてしまうことが多いことはよく知られています。*25 *26

ランナーの30%以上がレース後に風邪をひいてしまうようで、ランナーの68%がレース後に風邪をひいたという報告まであります。

ちなみに頑張って走るほど風邪をひきやすくなり、余裕を持って走れば風邪は引きにくくなるので、無理をしないということが大切です。

 

風邪をひくくらいなら寝てたら治るので可愛いものです。

免疫が下がっているということは他の感染症にもかかりやすくなります。

脚の壊死性軟部組織感染症から敗血症になり脚を切断したという報告もあります。*27

非常に稀な報告なのでそう気にする必要はありませんが、風邪以外の感染症にも気をつける必要はありそうです。

 

ウルトラマラソンは健康に良いのか?

健康に悪いです。

論文でも「間違いなく、ウルトラマラソンは健康上の利益をもたらさない」と書かれています。

一応フォローもしてあって、ウルトラマラソン完走のための定期的な持久力トレーニングは健康に良いと思われるとのこと。

 

運動のやり過ぎは健康に悪影響を及ぼす

今回の記事は運動のやり過ぎの代表であるウルトラマラソンを例にとりましたが、他の運動・スポーツであっても一緒です。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」のことわざ通り、運動のやり過ぎには注意しましょう。

もっとも、「運動のやり過ぎ」は個人の体力レベルによって違いが出てくるようなので、疲れすぎない・無理のしない範囲で運動を行うと健康に役立つのではないでしょうか。

 

運動のやり過ぎには気をつけつつもしっかりと運動を行い、健康な身体を手に入れましょう。

 

参考文献

*1:Physiology and Pathophysiology in Ultra-Marathon Running

*2:Body mass index and its correlates in 1,212 ultramarathon runners: baseline findings from the ULTRA study. - PubMed - NCBI

*3:The prevalence and significance of post-exercise (postural) hypotension in ultramarathon runners. - PubMed - NCBI

*4:The prevalence of exercise-associated hyponatremia in 24-hour ultra-mountain bikers, 24-hour ultra-runners and multi-stage ultra-mountain bikers in... - PubMed - NCBI

*5:Hyponatremia in a cold weather ultraendurance race. - PubMed - NCBI

*6:Effects of Running an Ultramarathon on Cardiac, Hematologic, and Metabolic Biomarkers. - PubMed - NCBI

*7:Medical implications of ultra marathon running: observations on a six day track race. - PubMed - NCBI

*8:Al Andalus Ultra Trail: an observation of medical interventions during a 219-km, 5-day ultramarathon stage race. - PubMed - NCBI

*9:Musculoskeletal injuries in the ultramarathon: the 1990 Westfield Sydney to Melbourne run. - PubMed - NCBI

*10:Musculoskeletal injuries in a six-day track race: ultramarathoner's ankle. - PubMed - NCBI

*11:Foot-strike haemolysis in an ultramarathon runner. - PubMed - NCBI

*12:Changes of mental stress biomarkers in ultramarathon. - PubMed - NCBI

*13:Endocrine response to an ultra-marathon in pre- and post-menopausal women. - PubMed - NCBI

*14:Increasing creatine kinase concentrations at the 161-km Western States Endurance Run. - PubMed - NCBI

*15:The concentration of high-sensitivity troponin I, galectin-3 and NT-proBNP substantially increase after a 60-km ultramarathon. - PubMed - NCBI

*16:Bone turnover response is linked to both acute and established metabolic changes in ultra-marathon runners. - PubMed - NCBI

*17:Bone mineral density in mature, premenopausal ultramarathon runners. - PubMed - NCBI

*18:Ultra-Marathon Athletes at Risk for the Female Athlete Triad. - PubMed - NCBI

*19:Gastrointestinal bleeding during an ultramarathon. - PubMed - NCBI

*20:Nausea is associated with endotoxemia during a 161-km ultramarathon. - PubMed - NCBI

*21:Gastrointestinal distress is common during a 161-km ultramarathon. - PubMed - NCBI

*22:Acute renal failure in four Comrades Marathon runners ingesting the same electrolyte supplement: coincidence or causation? - PubMed - NCBI

*23:Ibuprofen versus placebo effect on acute kidney injury in ultramarathons: a randomised controlled trial. - PubMed - NCBI

*24:Urinary changes in ultra long-distance marathon runners. - PubMed - NCBI

*25:Vitamin C supplementation reduces the incidence of postrace symptoms of upper-respiratory-tract infection in ultramarathon runners. - PubMed - NCBI

*26:Ultramarathon running and upper respiratory tract infections. An epidemiological survey. - PubMed - NCBI

*27:Amputation of lower limb for necrotizing soft-tissue infection in an ultramarathon runner - ScienceDirect