最近ずいぶんと広まってきたイメージのある筋膜リリース。
書店には筋膜リリースに関する本が平積みで置かれていたり、amazonでは筋膜リリースで使う道具が数多く売られています。
実際に筋膜リリースによって短時間で柔軟性が向上したり、筋肉痛が軽減したりといった効果が報告されており、非常に優秀なセルフケア方法だと思います。
さて、そんな筋膜リリースですが、近年広まったということもあって、行われた研究の数は多くはありません。
そのためまだよく分かっていないこともあります。
その一つが筋膜リリースを行うときの「継続時間」です。
10秒くらい行っても効果があることは分かっていますが、もっと長い時間行った場合の影響についてはよく分かっていませんでした。
そんな筋膜リリースの持続時間ですが、最近行われた研究によると、運動前に行う長時間の筋膜リリースはパフォーマンスに若干の悪影響を及ぼすかもしれないとのことです。
筋膜リリースの持続時間とその影響を調査
筋膜リリースを行う際の持続時間に関してはまだそれほど研究が行われていませんでした。
- 何秒間行えば良いのか?
- もしくは何分間行えば良いのか?
- 長い時間行った場合にはどのような影響があるのか?
ということで、アメリカのIthaca Collegeで運動能力に及ぼす筋膜リリースの継続時間の影響について研究が行われました。*1
実験は24人の被験者を対象に実施。
- 筋膜リリースを1分間実施
- 筋膜リリースを5分間実施
- 何もしない(コントロール群)
以上の条件で筋膜リリース前後の柔軟性や運動能力について調査を行いました。
今まではもっと短い時間で行われた研究が多かったので、この研究では比較的長めの時間行った場合の影響について調べたわけですね。
実験の結果ですが、筋膜リリース1分間行う場合に比べて5分間行う場合の方が柔軟性が高まったとのこと。
柔軟性の改善率で30%くらい高かったようです。
このあたりは感覚的にも分かりますよね。
長い時間行う方が柔軟性は高まります。
また、筋膜リリースを5分間行った場合は垂直ジャンプが低下しましたが、筋膜リリースを1分間行った場合にはほとんど影響を及ぼさなかったとのこと。
筋膜リリースを5分行うと5%くらい垂直ジャンプのスコアが低下したようです。
1分行った場合は0.7%の影響でしたので、明らかにパフォーマンスは低下しています。
運動前の長時間の筋膜リリースには注意
筋膜リリースの効果に関しては、
柔軟性を高めるのであれば1分<5分
パフォーマンスのためなら5分<1分
といった感じです。
スポーツをしている方が運動前のウォーミングアップで筋膜リリースを行う場合にはあまり長い時間行いすぎないように気をつけた方が良いということになります。
まあ、実際は運動前に同じ筋肉を5分間もほぐすということはないかとは思います。
1箇所に5分もかけていたいくら時間があっても足りませんからね。
1分間であっても十分に柔軟性向上の効果は見込めるので、スポーツの前に行う筋膜リリースは短めの時間に抑えるほうが良いかもしれません。
ちなみに運動後は気にしなくても良さそうです。
一般人にとっては瞬発力が低下するとかはそれほど重要ではありませんので、長い時間筋膜リリースを行っても問題はないでしょう。
ただ、時間的な効率を考えれば5分間行ったとしても30%程度しか効果が高まらないということなので、1分くらいで済ますほうが良いかもしれません。
おしゃべりをしながら時間を気にせずにのんびりほぐすのであれば、5分位行っても良さそうです。
短いほうが効率は良いけどそんなに気にしなくても良いって感じでしょうか。
筋膜リリースを普段から取り入れているアスリートの方は、運動前の長時間のリリースにご注意ください。

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