脂溶性ビタミンの一種であるビタミンD。
骨に関係するビタミンで不足すると子供の場合はくる病、大人の場合は骨軟化症を発症させるということで大切ではあるのですが、他のビタミンに比べると影の薄い地味なビタミンとされてきました。
ところが近年、風邪の予防効果や睡眠への影響などビタミンDの様々な健康効果が報告されており、ビタミンDの重要性が見直されています。
それに併せてビタミンDの必要量も見直されており、従来の量では十分ではないことが示唆されています。
さて、そんな健康効果で近年大注目のビタミンDですが、健康だけでなくダイエット効果にも影響を与えそうです。
今回はビタミンDのダイエット効果についてご案内致します。
ビタミンDサプリでウエストサイズが減少
イタリア・ヴェローナ大学などの研究者らが長期的なビタミンD摂取が体脂肪などにどう影響を及ぼすのかを調べています。*1
実験はビタミンDが足りていない患者44人を対象に実施。
参加者にビタミンDを1日1750IU、1ヶ月で50,000IUのビタミンDサプリメントを摂ってもらいました。
18ヶ月間継続してもらい、体脂肪の変化等を調べました。
まず、実験スタートの時点で血中のビタミンD濃度とウェストサイズが反比例していることがわかりました。
普段からビタミンDが摂れている人のほうがウエストが細いというわけですね。
また、ビタミンDは長期的に摂ることでもウェストサイズに影響を及ぼすようです。
実験開始6ヶ月の時点ではそれほど変化はなかったものの、18ヶ月経過時には明らかにウェストサイズが減少していることがわかりました。
特別な運動や食事制限といったダイエットを行っていないにもかかわらず、ビタミンDを摂ることでウェストが細くなったということですね。
ビタミンDサプリでウエストと血糖値が減少
オーストラリア・モナッシュ大学などの研究者らは、ビタミンDサプリを摂ることによる体型や糖尿病関係の数値への効果について調査を行いました。*2
実験ではオーストラリア人65人(アジア系33人)を対象に
- ビタミンDサプリメントを摂る
- 偽のサプリメントを摂る(プラセボ)
以上の2つのグループに分けて16週間過ごしてもらいました。
ビタミンDを摂るグループは最初に2,500μg(100,000IU)摂ってもらい、その後は100μg(4,000IU)のビタミンDを毎日摂ってもらいました。
16週間の実験の結果、ビタミンDサプリメントを摂ったグループは
- ウエスト・ヒップ比が減少
- 空腹時血糖値が減少
という結果が見られました。
ウエストヒップ比が減少したということはお腹の脂肪が減ったということです。
ということは、ビタミンDサプリメントを摂るとダイエットに効果があるかもしれないということですね。
空腹時血糖値が下がったというのもインスリンが効きやすくなっているわけですから、ダイエットにもプラスと言えるでしょう。
血中ビタミンD濃度が高いほど皮下脂肪・内蔵脂肪が少ない
韓国・大邱カトリック大学校の研究者らは、血液中のビタミンD濃度と皮下脂肪、内臓脂肪の関係について調査を行っています。*3
調査は2017年1月~12月までに大学病院を利用した患者467人のデータを基に分析を行いました。
その結果、男性は皮下脂肪・内臓脂肪の量と血中のビタミンD濃度が逆相関していることがわかりました。
血中ビタミンD濃度が低いほど皮下脂肪・内臓脂肪が多く、血中ビタミンD濃度が高いほど皮下脂肪・内臓脂肪が少ないということですね。
ちなみにこの研究では女性の体脂肪とビタミンD濃度に関する有意差は見られなかったとのこと。
血中のビタミンDと肥満の関係を調査
デンマーク・オーフス大学の研究者らはビタミンDと肥満の関係について調査を行っています。*4
研究は、糖尿病の人と糖尿病ではない人の血中ビタミンD濃度と肥満の関係ついて調べています。
調査は過去に報告された研究55件のデータをまとめて分析するというメタアナリシスを実施。
その結果、ビタミンDが不足することで糖尿病の人、糖尿病でない人両方でBMIが増加することがわかりました。
BMIが増加するというのは体重が増えるということです。
ビタミンDが不足していると体重が重たくなるということですね。
その他ビタミンDと肥満の関係に関する研究
韓国・高麗大学の研究者らが、ビタミンDと肥満・筋肉量について調べています。*5
65歳以上の男性266人、女性268人のデータを分析したところ、ビタミンDが不足していると内臓脂肪が多くなり、筋肉量は少なくなることがわかりました。
米国・ワイオミング大学の研究者らは大学を対象にビタミンDと体組成の関係について調査を行っています。*6
研究は大学生アスリート42人(男性24人、女性18人、平均年齢20.7歳)を対象にビタミンD濃度と体組成の関係を調べています。
その結果、体脂肪の多い選手はビタミンDの濃度が低いことがわかりました。
ドイツ・グライフスバルト大学などの研究者らは、ビタミンD濃度と肥満について調査を行っています。*7
研究はドイツ北東部で行われた大規模疫学調査のデータとデンマークで行われた調査のデータを基に分析が行われました。
その結果、血中ビタミンDと肥満度は逆相関していることがわかりました。
オランダの病院で高齢者における血中ビタミンD濃度と体脂肪の関係について調査が行われました。*8
調査は平均年齢74歳の男女2842人を対象に血中のビタミンD濃度とBMI・体脂肪率の関係を調べています。
その結果、BMIが高く、体脂肪率が高いほど血中のビタミンD濃度が低いことがわかりました。
あまり食べていないのに太る減員はビタミンD不足だった?!
いくつかビタミンDに関する研究を見ていただきましたが、いずれの研究もビタミンDが不足すると太りやすくなってしまうとのことでした。
ビタミンDを摂ると劇的に体重が減るというわけではなさそうですが、長い目で見るとビタミンDを摂っておけば体重の増加は防げそうです。
「あまり食べていないのに太るねん」
これは太る人の言い訳第一位とも言える言葉です。
ただの言い訳で実は結構食べていることが考えられるわけですが、実はビタミンDが不足していることで少しずつ太ってしまっているのかもしれません。
ビタミンDの摂取量に関しては近年見直されており、多くの日本人が十分ではないとされています。
私のように屋内で仕事をしている人であればほぼ間違いなく足りていません。
常夏の島であるハワイに住んでいる人ですら約半数は血中ビタミンD濃度が十分ではないという報告もあります。*9
となると、日本人も屋外で仕事をしている人以外はビタミンDが十分でないと言えるでしょう。
ほとんどのサラリーマン、主婦の方はビタミンD不足ということですね。
- ここ数年で体重が増えてしまった…
- あまり食べてないのに体重が増えていくの…
- 最近風邪を引きやすくなった
なんて方はビタミンDが不足しているかもしれません。
ダイエットのために普段から意識してビタミンDを摂るようにしてみてはいかがでしょうか?
屋内で仕事をしている方はビタミンDのサプリメントもオススメですよ。
参考文献
*1:Nutrients | Free Full-Text | Vitamin D Daily versus Monthly Administration: Bone Turnover and Adipose Tissue Influences
*2:Vitamin D supplementation improves waist-to-hip ratio and fasting blood glucose in vitamin D deficient, overweight or obese Asians: A pilot seconda... - PubMed - NCBI
*3:The association between visceral fat, subcutaneous fat and serum 25-hydroxyvitamin D3 levels - ScienceDirect
*4:Body Mass Index, Vitamin D, and Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis. - PubMed - NCBI
*5:Association between visceral obesity and sarcopenia and vitamin D deficiency in older Koreans: the Ansan Geriatric Study. - PubMed - NCBI
*6:Relation between vitamin D status and body composition in collegiate athletes. - PubMed - NCBI
*7:Adiposity measures and vitamin D concentrations in Northeast Germany and Denmark. - PubMed - NCBI
*8:BMI and Body Fat Mass Is Inversely Associated with Vitamin D Levels in Older Individuals. - PubMed - NCBI
*9:Low vitamin D status despite abundant sun exposure. - PubMed - NCBI