運動後のケアとしてアイシング(水風呂に浸かる)をされるという方もいらっしゃるでしょう。
疲労感や筋肉痛の回復には良いかもしれませんが、実は筋肉の発達を阻害してしまうんです。
今回は運動後のアイシング(水風呂)による筋肉の発達に対する悪影響についてご紹介します。
筋トレ後のアイシングで効果が減少
運動後のアイシング(水風呂に浸かる)は回復のために一般的に行われる方法です。
ただ、定期的にアイシングを行うことによる筋トレの効果に対する影響についてはよくわかっていませんでした。
そこで、オーストラリア・クイーンズランド大学などの研究者らが、筋トレ後に入る水風呂とトレーニング効果について調べています。*1
研究は普段から運動をしている21人の若い男性を対象に行われました。
参加者を
- 水風呂に浸かってアイシングを行う
- 軽く動いてクールダウンを行う
以上の2つのグループに分け、週2回の筋トレ後5分以内にそれぞれ行うという実験を行いました。
アイシングをするグループは、10℃の水に腰まで浸かった状態で10分間過ごしてもらい、軽く動くグループは固定式自転車を軽く10分間こぐといった内容です。
さて、12週間の実験の結果、筋肉量・筋力の増加はどちらも運動後にアイシングしたグループの方が少ないという結果が見られました。
また、筋肉の赤ちゃんであるサテライト細胞の数の増え方もアイシングしたグループのほうが少なく、筋肥大に関係する酵素の働きもアイシングしたグループの方が低いという結果が見られました。
筋トレ後のアイシングで効果が減少2
筋トレ後のアイシング(水風呂)の効果について他の研究も見てみましょう。
愛知みずほ大学の研究者らが、筋トレ後のアイシングと筋肉や血管に対する影響について調べています。*2
実験は14人を男性を対象に6週間行われました。
参加者に手首屈伸運動(通称リストカール)を70~80%の負荷で8回5セット行ってもらい、参加者の半数である7人に10℃の冷水に前腕を20分間浸けて冷やしてもらいました。
トレーニングは週3回の頻度で行い、実験の前後で筋肉などの変化を調べました。
6週間の実験の結果、
- 筋肉量:アイシング<<何もせず
- 最大筋力:アイシング群は増加せず
- 血管の太さ:アイシング群は増加せず
- 筋持久力:アイシング<何もせず
という結果になりました。
運動後のアイシングで運動効果が減少する
ふたつの研究を見てもらいましたが、どちらにおいてもアイシングをすることで筋トレの効果が減少するという結果になっています。
運動後に何気なくアイシングをしてケアをしているって方もいらっしゃるかと思いますが、筋肉の発達においてはトレーニング後のアイシングは筋トレの効果を阻害するということになります。
もちろんアイシング自体が悪いわけではありません。
水風呂に浸かることで筋肉痛や疲労感の回復を促すことができることはいろいろと報告されています。*3
筋肉痛や疲労感の回復を促すためにアイシング・水風呂に浸かるのは効果的でしょう。
ただ、大して疲れてもいないのに何となくアイシングをしてしまっては運動効果を下げてしまうだけです。
スポーツクラブで運動をした後にアイシングをしているなんて方は少ないかと思いますが、部活で練習した後に何気なくアイシングを行っている人はいるでしょう。
連日ハードな練習があったり、夏休みなどで二部練習が行われているような状況であればアイシングを行って疲労の回復を促すのは良いでしょう。
ただ、そこまで疲れているわけでも練習がハードというわけでもないのであれば、練習後のアイシングは行わないほうが良いでしょう。
アイシング・水風呂に浸かるのは疲労感や筋肉痛の回復を促すが、筋肉の発達効果は減少するというメリットとデメリットを知っておけば、アイシングを取り入れるべきかそうでないかを選ぶことができるのではないでしょうか。
運動後のアイシング、一度見直してみてはいかがでしょう。