この記事ではチョコレートの健康効果についてまとめています。
- チョコレートの健康効果は紀元前にまで遡る
- チョコレートがボケ予防に効果的
- 適度なチョコレートが心臓病・脳卒中・糖尿病を予防
- チョコレートで不整脈を予防
- チョコレートで糖尿病予防
- チョコレートで腸内環境改善、便秘解消
- チョコレートで目が良くなる!?
- チョコレートで頭が良くなるかも?
- ミルクチョコよりビターチョコ
- チョコの食べすぎもNGです。
- 参考文献
チョコレートの健康効果は紀元前にまで遡る
チョコレートの歴史は非常に古く、紀元前2000年頃まで遡るとされています。
古代メキシコではチョコレートの原料となるカカオ豆は「テオブローマ」(神の食べ物)と呼ばれ、大変貴重なものだったようです。*1
また、アステカ文明の頃には現代のような嗜好品としてではなく「薬」として利用されていたとか。
そこから砂糖で甘みが加えられ、現在では薬ではなく嗜好品として食べられるようになり、健康とは程遠い食べ物となりました。
なんと1年間に世界で700万トン(⽇本は年間25万トン超)も消費されているとのこと。
将棋の元プロ棋士でバラエティ番組に引っ張りだこの加藤一二三九段のチョコレート好きも有名ですし、将棋界の新たなスターである藤井聡太六段もおやつにチョコレートを食べることで話題になりましたね。
加藤一二三九段にいたっては、対局中に板チョコ二枚重ねで食べたという逸話も残っています。
そんな嗜好品として多くの人に愛されているチョコレートですが、近年チョコレートに健康効果があるとして注目を浴びています。
この記事ではチョコレートに関する健康効果についてまとめています。
チョコレートがボケ予防に効果的
南オーストラリア大学のCrichtonらは、チョコレートと認知機能の関係について調べています。*2
研究は、米国メイン州で30年間という長期間に渡って行われている調査「Maine-Syracuse Longitudinal Study」のデータを基に行われました。
対象となったのは、研究開始時に認知症になっていない23~98歳の男女986人を対象にチョコレートと認知機能の関係について解析を行いました。
その結果、チョコレートの頻繁に食べる人の方が認知機能が高いという結果が見られました。
チョコレートを⾷べない、めったに⾷べない⼈と⽐べ、チョコレートを週1回以上⾷べる⼈は全ての認知機能が優れていたとのこと。
適度なチョコレートが心臓病・脳卒中・糖尿病を予防
チョコレートに関する研究はいろいろ行われていますが、一貫性がないってことで、中国武漢大学のYuanらは2017年3月までに発表されたチョコレートと心臓病、脳卒中、糖尿病に関する研究論文を分析しています。*3
関連性の高い14件の研究、述べ508,705人のデータ、各研究は5~16年間追跡調査したものを分析。
分析の結果、
- 冠動脈疾患のリスクが10%低下
- 脳卒中のリスクが16%低下
- 糖尿病のリスクが18%低下
という結果でした。
ただし、週に2回、1回あたり30gです。
冠動脈疾患と脳卒中に関しては、週に3回以上食べてもリスクが下がることはなかったとのこと。
糖尿病に関しては週2回の場合が最もリスクが低下し、週6回以上になると予防効果なしとのこと。
ちなみにLOOKチョコレートは47g入りとのこと。*4
一箱食べたらだいたい1.5回分になります。
2回に分けて食べたらちょうど良さそうです。
チョコレートで不整脈を予防
米国マサチューセッツ州にあるベス・イスラエル・メディカルセンターのMostofskyらは、チョコレートの摂取と不整脈との関係を調べています。*5
対象となったのは、50~64歳のデンマーク人55,502人(男性26,400人、女性29,102人)。
平均13.5年間追跡調査を行い、チョコレートの摂取量と不整脈の関係を調べました。
その結果、不整脈のリスクをチョコレートをほとんど食べない人と比べると
- 1ヶ月間に20~60gのチョコレートを食べる人は10%減少
- 1週間に20gのチョコレートを食べる人は17%減少
- 1週間に40~120gのチョコレート食べる人は20%減少
- 1日に20g以上のチョコレートを食べる人は16%減少
という結果になりました。
ちなみに男女性別による違いはなく、どちらも同じような結果になったとのことです。
チョコレートで糖尿病予防
チョコレートなんて甘い物を食べると糖尿病になりそうなものですが、逆に糖尿病予防に効果があるようです。
ハワイ大学のMaskarinecらはチョコレートの摂取と2型糖尿病の発症の関係について調べました。*6
151,691人を平均7.8年間追跡調査しました。
その結果、チョコレートを1日に10g以上食べる人は、1日1g以下(ほとんど食べない)の人に比べて2型糖尿病の発症が10%低いことがわかりました。
また、チョコレートを週に4回以上食べる人は、月に1回以下の人に比べて糖尿病発症が19%低くなりました。
さらに、チョコレートドリンクやお菓子などのカカオポリフェノール(カカオフラバノール)の摂取量が多い人(1日に3mg以上)は2型糖尿病の発症が7%低くなりました。
ちなみに太っていたり持病を持っている人の場合は糖尿病予防効果は見られなかったようなので、あくまで健康の上でチョコレートを食べると糖尿病予防に効果があるようです。
チョコレートで腸内環境改善、便秘解消
大手食品会社の明治と帝京大学が共同で「カカオプロテイン」の便通改善効果を調べたようです。*7
実験は20~50歳の排便回数が週4回以下という便秘気味の女性31名を対象に実施。
- 15名にカカオが含まれないホワイトチョコレート
- 16名にカカオ72%含有の高カカオチョコレート
以上の2つのグループに分け、1日に25グラム(5~6粒)ずつ2週間食べてもらいました。
実験の結果、カカオが含まれていないホワイトチョコレートを食べた人に比べ、高カカオチョコレートを食べた人は
- 排便回数が増えた(週2.8回→週4.9回)
- 便の色が薄くなった(黒っぽい色→茶褐色)
- 便の量が増えた(便の量が約2倍に)
という効果が確認されました。
便秘が解消されてスッキリしたってことですね。
また、高カカオチョコレートを食べた人の腸内細菌を調べたところ、腸内の善玉菌が増えていたとのこと。
近年腸内フローラが注目されていますね。
善玉菌を増やすことで、大腸がんや糖尿病などの予防に効果があるということですが、高カカオチョコレートを食べることでも腸内の善玉菌が増えるようです。
チョコレートを食べて心配になるのは体重の増加ですが、この実験中に体重の増加は見られなかったとのこと。
多少摂取カロリーが増えるのかと思いますが、腸内環境の改善により体重の増加が抑えられたのかもしれません。
また、今回食べた量が25グラムということなので、これくらいの量であれば体重が増える心配はないのかもしれません。
チョコレートで目が良くなる!?
テキサス州・インカーネイトワード大学の研究によると、ビターチョコレートを食べると目が良くなるとのこと。
特に明暗をはっきりと見分ける能力であるコントラスト感度のスコアが高くなるようです。
夜間の車の運転に必要な能力ですね。
カカオ72%のチョコレートを食べた被験者の約7割に効果が見られたとのこと。
夜に車の運転をするのであれば直前にチョコレートを食べておくと良いかもしれませんね。
チョコレートで頭が良くなるかも?
チョコレートの健康効果は様々ですが、頭も良くなるかもしれません。
米国・ロマリンダ大学のBerkらは、ビターチョコレートの脳に対する効果について調査を行いました。*8
カカオ70%のビターチョコを48g食べてもらい、30分後と120分後に脳はの測定を行いました。
測定の結果、チョコレートを食べた30分後の脳の働きが高まったとのこと。
チョコレートを食べたら賢くなるかもしれないってことです。
また、Berkらは1週間チョコレートを食べてもらう実験も行っています。*9
カカオ70%のビターチョコレート48gを1週間食べてもらい、チョコレートを食べ始めた2時間後と1週間後に血液検査を行いました。
その結果、1週間食べた後は免疫細胞(T細胞)が活性化していたとのこと。
さらに神経伝達・感覚に関係する遺伝子の働きが高まっていたとのことです。
新しい事を覚えやすくなったということですね。
研究者曰く、
カカオ70%のビターチョコレートはスーパーフードだ!
とのこと。
脳の健康の為にこれからもっとチョコレートの研究をしていくぞーということなので、今後の報告に期待しましょう。
とりあえず、脳のためにビターチョコレートを毎日ちょっとだけ食べてみてはいかがでしょうか。
ミルクチョコよりビターチョコ
チョコレートの健康効果はチョコレートに含まれいるカカオが影響しているとされています。
カカオに含まれているカカオポリフェノールが健康に役立っているようです。
ということは、カカオ99%のチョコレートを食べれば最も効果があると考えられます。
まあ、はっきり言って不味いので、99%のチョコレートばかり食べるのは辛いものがあるかと思います。
99%のチョコレートは無理でも、ある程度美味しく食べられる範囲でカカオ含有量の多いビターチョコレートを選ぶようにすると良いかもしれません。
ちなみに森永製菓から販売されているダースというチョコレートのポリフェノール含有量ですが、ビタータイプは670mg含まれているとのことです。*10
これくらいなら美味しく食べられて、かつカカオフラバノールも摂れて良いかもしれません。
チョコの食べすぎもNGです。
チョコレートは身体に良いからといって食べ過ぎるのもNGです。
チョコレートを食べる実験なんかだと大抵30g程度のちょっとした量のチョコレートを食べて行われています。
あくまで30グラム程度です。
板チョコ1枚で55グラム程度のようなので、板チョコ半分程度を食べるようにすれば良いことに成ります。
チョコレートはカロリーが高いので、食べ過ぎると摂取カロリーが増えてしまいます。
その結果、体重が増えてしまい肥満にも繋がってしまいます。
肥満が様々な生活習慣病のリスクを高めることは明らかになっており、それによる死亡リスクも高まります。
健康のためにチョコレートを食べて肥満になっていては元も子もありません。
チョコレートの健康効果が、肥満によって完全に打ち消されてしまうことでしょう。
チョコレートの食べ過ぎにも気をつけましょう。
チョコレートは美味しくて健康にも役立つ食べ物です。
健康でいるためには適度な量のチョコレートを食べるようにしましょうね。
参考文献
*2:Chocolate intake is associated with better cognitive function: The Maine-Syracuse Longitudinal Study - ScienceDirect
*3:Chocolate Consumption and Risk of Coronary Heart Disease, Stroke, and Diabetes: A Meta-Analysis of Prospective Studies. - PubMed - NCBI
*4:12粒ルック(ア・ラ・モード)|||お菓子・ドリンク|株式会社不二家
*5:Chocolate intake and risk of clinically apparent atrial fibrillation: the Danish Diet, Cancer, and Health Study. - PubMed - NCBI
*6:Intake of cocoa products and risk of type-2 diabetes: the multiethnic cohort | European Journal of Clinical Nutrition
*7:カカオプロテインで便通改善 実証研究|みんなの健康チョコライフ
*8:Dark chocolate (70% organic cacao) increases acute and chronic EEG power spectral density (μV2) response of gamma frequency (25–40 Hz) for brain health: enhancement of neuroplasticity, neural synchrony, cognitive processing, learning, memory, recall, and mindfulness meditation
*9:Dark chocolate (70% cacao) effects human gene expression: Cacao regulates cellular immune response, neural signaling, and sensory perception