ダイエットをしている方の中には
「体重は減ったけど筋肉も落ちた…。」
そんな悩みをお持ちの方も多いようです。
最近は簡単に筋肉量や体脂肪量などが測定できる体重計(体組成計)を置いている家庭も多く、測定を日課としている方も多いことでしょう。
測定して体重が減って嬉しいと思ったら、筋肉量が減っていてショックを受けた…なんて声も聞かれます。
さて、そんなダイエットして痩せたのに筋肉も落ちてしまうという問題を解決する方法はあるのでしょうか。
今回は痩せたら筋肉も落ちてしまう問題の解決方法についてご紹介致します。
ダイエット中のあなたの参考になれば幸いです。
筋肉の減少を抑えるにはたんぱく質が大切
ダイエットは体重を落とします。
正確には体重ではなく体脂肪を落としたいわけです。
筋肉はできるだけ落とさずに維持し、体脂肪だけ落としたいですよね。
ただ、ダイエットして体重を落とすと筋肉は落ちやすくなるのは事実です。
一般的には落ちた体重の25%は除脂肪体重(筋肉)であると言われたりします。
では、体重を減らした時の筋肉量の減少をできるだけ抑えるためにはどうすれば良いのでしょうか?
ポイントは
です。
空腹になると筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。
筋肉を分解してアミノ酸を取り出し、そのアミノ酸で足りないエネルギーを補おうとするわけです。
そのため、空腹状態が長時間続けば筋肉はどんどん減っていきます。
この状態をカタボリック状態と言ったりします。
筋トレ好きな人であれば空腹状態を「カタボっている」と表現することがありますが、空腹で筋肉がカタボリックな状態になっているという意味です。
さて、そんな空腹によるカタボリックですが、たんぱく質(食事)を摂ることで防ぐことができます。
それによってダイエット中であっても筋肉を減らさずに維持することができます。
ただ、ダイエット中は空腹になることに加え、食事を減らすことでたんぱく質が不足しがちになります。
これが原因でダイエットして体重が減ると筋肉も同時に減ってしまうことになります。
午前と午後にプロテインを飲むことで筋肉を維持
ダイエット中にはたんぱく質をしっかり摂ることが大切ということがわかりました。
では、実際に行われた研究も見てみましょう。
英国・バーミンガム大学の研究者らがダイエット中のたんぱく質摂取が筋肉量や体脂肪の減少にどう影響するのかを調べています。*1
実験では、男女40人(男性19人、女性21人)を対象に14日間、1日の推定必要カロリーから750kcalマイナスの食事制限ダイエットを行ってもらいました。
その際に
以上のグループに分かれてそれぞれのサプリメントを1回約25g、午前(朝食と昼食の間)と午後(昼食と夕食の間)の1日2回摂取してもらい、14日間の身体の変化を調べています。
14日間のダイエットの結果、どのグループも同じように体重・体脂肪が減少していました。
ただし、筋肉に関しては大きな差が見られました。
マルトデキストリン(糖質)のサプリメントを摂ったグループは14日後には筋肉が分解に傾いていました。
ところが、、ホエイプロテインとソイプロテインを摂ったグループは筋肉は合成に傾いていました。
プロテイン摂取のグループでもソイプロテインを摂ったグループに比べてホエイプロテインを摂ったグループの方が筋肉の合成が大きくなっていました。
ダイエット中に1日2回プロテインサプリメント、特にホエイプロテインを摂ることでダイエット中の筋肉の減少を抑えることができるということです。
ダイエット中の筋肉減少を抑えるためにはホエイプロテインを午前と午後に飲めば良いということになります。
ただ、この研究はあくまで食事制限のみでダイエットを行った場合の結果です。
トレーニングを加える場合は違う結果になるかもしれません。
筋トレ前後にプロテインを飲むと筋肉を維持できる
先程紹介した研究は食事制限のみのダイエットで2週間という短期間の結果でした。
食事制限だけでなく、運動も行った場合やもう少し長い期間になった場合はどうなのでしょうか。
ダイエット中に運動を行うと筋肉が維持されると思うかもしれませんがそうではありません。
ダイエット中に運動を行うと筋肉は分解されます。
ダイエット中でエネルギーが足りていない状態で運動をすればさらに必要なエネルギーが増えてしまい、筋肉はどんどん分解されていくことになります。
そのまま何もしなければ分解のままで終わってしまいますが、そこでたんぱく質を補給することで合成に大きく傾けることができます。
よって、ダイエット中に筋トレなどの運動をするのであれば、運動前後の栄養補給(たんぱく質補給)が筋肉の減少を抑えるために非常に重要ということになります。
ということで、米国・チャールストン大学の研究者らがカロリー制限と筋トレを併用してダイエットを行った場合のホエイプロテインを摂ることによる効果について研究を行っています。*2
実験は普段から筋トレをしている男性16人(平均年齢24歳)を対象に行われました。
参加者を
- ホエイプロテインを摂るグループ
- 糖質を摂るグループ
以上の2つのグループに分け、週4回の筋トレを8週間行ってもらいました。
さらに筋トレの前と後にそれぞれのサプリメントを28gずつ、合計56g摂ってもらい、8週間後の身体の変化を比較しています。
8週間の実験の結果、どちらのグループも同程度体重が減少しました。
ただし、ホエイプロテインを摂ったグループは筋肉量がほとんど減らなかったのに対し、糖質を摂ったグループは筋肉量が明らかに減少してしまいました。
筋トレの前後にホエイプロテインを飲むことでダイエット中の筋肉の減少を抑えることができたということですね。
やはりダイエット中の筋肉の減少を抑えるためにはホエイプロテインを飲むことが大切なようです。
また、体脂肪の減少に関してもホエイプロテインを摂ったグループの方が明らかに多いという結果が見られました。
筋トレ前後にホエイプロテインを摂ると筋肉が減りにくいだけでなく、体脂肪も減りやすくなるということです。
ホエイプロテインを飲むことで筋肉の減少を抑えるだけでなく、体脂肪の減少を促進することができるということですね。
もうホエイプロテインはダイエットサプリメントと言っても過言ではありません。
まとめと改善案
ダイエット中の筋肉減少を抑えるためにはホエイプロテインを摂ると良いってことになります。
よくダイエットにはソイプロテインが良いとか言われますが、筋肉の合成に関係するロイシンというアミノ酸の割合がホエイプロテインの方が多いので、ダイエット中であってもホエイプロテインの方が良いかもしれません。
今回紹介した研究を参考にするのであれば、トレーニングをしない日は午前中(朝食と昼食の間)に1回、午後(昼食と夕食の間)に1回ずつホエイプロテインを飲むようにすると良いでしょう。
トレーニングをする日はトレーニングの前後にホエイプロテインを摂るようにすればダイエット中であっても筋肉が減りにくくなって良いかもしれません。
ただ、筋トレ直前にホエイプロテインを飲むとお腹が気持ち悪くなるって方もいるかもしれません。
ホエイプロテインがいくら消化吸収が早いといっても、飲んですぐ消化吸収されるわけではありません。
そのため、トレーニング直前にホエイプロテインを飲むとお腹が気持ち悪くなってしまいます。
それを防ぐために、トレーニングの直前はプロテインではなくEAAを摂ると良いのではないでしょうか。
EAAであればアミノ酸の状態なので消化の必要はなく、トレーニングの直前に摂ってもお腹が気持ち悪くなることはないでしょう。
トレーニングの直前に6gほどのEAAを摂り、トレーニング後にホエイプロテインを多めに40gほど摂れば良いでしょう。
筋トレ後に40gのホエイプロテインを摂ることで筋肉の合成が大きく高まったという報告もありますので、筋トレ直前に飲む予定だった分を筋トレ後に回すというイメージですね。
また、他の研究によると、寝る前に十分なたんぱく質を摂ると就寝中の筋肉の合成が高まることが報告されています。
ダイエット中も寝る前にホエイプロテインを飲むと筋肉の合成が高まって筋肉の減少を抑える効果が期待できるでしょう
ただ、少ない量ではそこまで筋肉の合成が高まらないという報告があります。
ここでもホエイプロテインを40gしっかり摂ることで筋肉の合成が高まり、ダイエット中の筋肉の減少を抑えることができるという報告があります。
ダイエット中の筋肉の減少を抑えるために、就寝直前にホエイプロテインを40g摂るようにしましょう。
ここまでをもう一度まとめましょう。
ダイエット中の筋肉の減少を抑えるためには
[box05 title="ポイントまとめ"]
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ということを意識することでダイエット中の筋肉の減少を抑えることができるでしょう。
ここまで頑張っても筋肉は恐らく若干減ってしまう可能性があります。
体脂肪を減らしながら筋肉を付けたいって意見も聞かれますが、運動初心者以外はほぼ無理と思ってください。
一般的に落ちた体重の25%は徐脂肪体重(筋肉)であると言われますので、ホエイプロテインを飲むという対策をすることで徐脂肪体重(筋肉量)の減少が25%以下になれば良いという感じで考えれば良いでしょう。
ダイエット中に筋肉が減ってしまうと悩んでしまって余計なストレスを感じてしまうとさらに筋肉が減ってしまう可能性が出てきます。
ダイエット中に筋肉が落ちないように十分に対策はして、それでも落ちてしまった分は仕方がないと割り切るようにしましょう。
きっとその方がダイエットに良い結果となるでしょう。
ダイエット中、筋肉をできるだけ落としたくないって方は参考にしていただければ幸いです。