●●大学四年の●●と申します。数ヶ月前より筋トレを始め、当サイト穴が空くほど参考にさせて頂いております。 私ごとで恐縮なのですが、ダブルスプリットトレーニングに取り組んでおります。 個人的には納得しているのですが、1日に複数回トレーニングを行うことに関する研究やエビデンスなどありましたらぜひ記事でご紹介頂きたいです!
記事に関するリクエストをいただきました。
有名所の大学生にもブログを見てもらえて嬉しい限りです。
さて、質問はダブルスプリットルーティンのエビデンスに関して知りたいということですね。
ダブルスプリットルーティンとは?
まずダブルスプリットルーティン(ダブルスプリットトレーニング)について説明しましょう。
まず、スプリットルーティンというのは部位ごとに分割して筋トレを行う方法です。
といった感じでスプリット(分割)してトレーニングを行います。
さらに胸の日・背中の日・肩の日といった感じでもっと細かくわけて行われる場合もあります。
部位を分割して行うことで1回あたりのトレーニング時間を短くすることができます。
また、一度に全身のトレーニングを行うとどうしてもトレーニング後半は疲労によって強度が低下してしまいます。
分割することでそれぞれの部位を高強度でトレーニングすることができるわけです。
さて、今回のお題であるダブルスプリットルーティンというのは、
といった感じで1日2回トレーニングすることを言います。
もちろん上記の分割方法は一例なのでいろいろなやり方があります。
通常のスプリットルーティンよりもさらに細かく分割することができ、1回あたりのトレーニング時間もさらに短くすることができます。
また、筋トレ後は過剰酸素消費(EPOC)によって普段よりも消費カロリーが増えるのですが、ダブルスプリットの場合1日2回トレーニングを行うことでそれが1日2回起こります。
ダブルスプリットルーティンは消費カロリーを増やすことができるってわけですね。
映画ターミネーターなどで有名なアーノルド・シュワルツェネッガー氏が現役ボディービル時代にはよく取り入れられていた方法ではあるんですが、近年はダブルスプリットで行うという人はほとんどいません。
行っても期間限定で行われていることがほとんどです。
ダブルスプリットルーティンに関する研究
さて、ダブルスプリットルーティンに関する研究を調べたのですが、残念ながら見つかりませんでした。
単純に私の英語力の低さが原因なわけですが、被験者に1日2回の筋トレを長期的に行ってもらうということができないという問題もありそうです。
まあ一応あったことはあったのですが、全国レベルのウェイトリフティング選手(平均年齢20.5歳、トレーニング歴5.5年)を対象とした研究です。
2回にトレーニングをわけることでオーバートレーニングを防げるかもしれないが、大した利点はないという結果でした。*1
今回の質問者様の状態に当てはまらないのであまり参考にはならなさそうです。
ということで答えは
わかりません!
終わり。
ごめんね♪
というのはプロとしてちょっとまずいでしょうからちょっと考察してみましょう。
セット数が多くなりすぎる問題
一般的にダブルスプリットルーティンを取り入れるような場合、各部位に対する1回のトレーニングは増える傾向にあります。
例えば胸の日の場合
- ベンチプレス
- インクラインベンチプレス
- デクラインベンチプレス
- ダンベルフライ
- ケーブルクロスオーバー
- マシン・ペクトラルフライ
みたいな感じで胸の日なら胸の種目を大量に行ったりします。
上記の場合は6種目です。
各種目3セット行えば合計18セットにもなります。
ダブルスプリットを取り入れるようなマニアックな方は3セットで済まない場合が多いので、さらにセット数は増えることでしょう。
ところが、1週間で10セットを超えると筋トレの効果は減少してしまうという報告があります。
1週間あたりのセット数を
- 5セット
- 10セット
- 15セット
- 20セット
に調整してトレーニングをしたところ、10セットをピークに15セットや20セット行った場合には効果が下がってしまったとのこと。
筋トレの効果を得るためにはある程度トレーニングの量をこなす必要はありますが、あまり多すぎてもダメということになります。
トレーニング量と効果は逆U字型になるわけです。
他にも週に10セット行えば効果的とする報告もあるので、ダブルスプリットルーティンを取り入れて大量のセット数を行うのはイマイチと言えるかもしれません。
もちろん個人差があるので人によってはダブルスプリットで大量にトレーニングした方が効果の出る場合も考えられます。
ご質問者様は大学生ということで20代前半であることが予想されます。(違ったらごめんなさい)
若ければ筋トレ後の回復も早く、少々トレーニングの量が多くても問題なく回復できる可能性もあります。
また、大学生4回生で就活が終わっていれば比較的暇であることも考えられます。
しっかり休む時間を取ることができていればダブルスプリットで行っても大丈夫かもしれません。
まあ卒論のために研究室入り浸しって可能性もあるわけですが。
もちろんそんな場合はダブルスプリットルーティンで行うとオーバートレーニングになります。
トレーニングのやり過ぎには十分注意しましょう。
単関節種目が多くなる問題
ダブルスプリットルーティンを取り入れるほど分割して行う場合、かなり細かく部位をわけてトレーニングが行われる傾向にあります。
胸の日とか肩の日といった感じで分けるわけです。
胸だけの日の場合だとベンチプレスだけで終えるなら15分もあれば終わってしまいますが、ダブルスプリットで筋トレを行うような人ならその程度で終えるわけがありません。
大抵はいくつもの種目を行うことになるでしょう。
先程も紹介した胸の種目を再度紹介すると
- ベンチプレス
- インクラインベンチプレス
- デクラインベンチプレス
- ダンベルフライ
- ケーブルクロスオーバー
- マシン・ペクトラルフライ
といった感じです。
ここで気になってくるのが単関節種目も多くなるということです。
筋トレ初心者から中級者までであれば単関節種目はほとんど必要ありません。
単関節種目はひとつの関節だけを動かす種目で、上記の種目のうち黄色いマーカーを引いた種目が単関節種目です。
逆に複数の関節を動かす種目を多関節種目と言います。
ボディービルなどの競技の場合はこの単関節種目も大切になってきます。
ケーブルクロスオーバーやマシンペクトラルフライなんかだと肩関節水平屈曲位(前にならえの時の腕の位置)で負荷を掛けることができます。
対するベンチプレスなどの多関節種目の場合はその位置で負荷が軽くなってしまいます。
どの位置で大きな負荷がかかるかによって大胸筋の鍛えられる位置が若干変わるわけです。
ボディービルなどの競技を行っている場合はその違いが重要になってきます。
逆にボディービルやベストボディといった競技をしているわけでないのであれば、単関節種目を取り入れる必要性はそんなにありません。
大胸筋内側のカットが…なんてことまで気にする方は多くはないでしょう。
特に筋トレを始めて間もない方や筋トレ中級者くらいまでなら多関節種目を中心に行う方が良いでしょう。
単関節種目を追加しても効果はほとんど変わらないという報告もあります。
むしろ単関節種目は必要ないと言っても過言ではありません。
ご質問者様も筋トレを始めてまだ数ヶ月ということなので、初心者から中級者になるかといったところかと思われます。
そのため、単関節種目よりも多関節種目を中心に行いたいところ。
もちろんダンベルフライが胸に効きやすいから好きって感じで好きな種目があれば行っても構いません。
ただし、基本は多関節種目を中心に行うように意識する方が良いでしょう。
まとめ&アドバイス
ダブルスプリットルーティンに関するエビデンスを知りたいということでしたが、論文が見つからなかったので考察記事になりました。
とりあえずまとめると、今効果が出ているのであればそのまま続けてOKです。
ただし、基本的にはスプリットルーティンはオススメできません。
疲労感が続いたり、効果がイマイチ得られないようならダブルスプリットは止めましょう。
トレーニングの頻度が多くなると筋肉自体は大丈夫であっても中枢系の疲労(脳の疲労)がたまってきます。
当然身体にも筋肉にも悪影響を及ぼします。
トレーニングを始めてまだ数ヶ月ということでまだ追い込みきれていないことが考えられます。
そのため、身体に対する負担も少なく、ダブルスプリットで行えているのでしょう。
ちょっと話が脱線しますが、加圧トレーニングは身体への負担の少ないトレーニングです。
そのため、いくつかの研究で1日2回のトレーニングを行うといったやり方で大きな効果を得られたという報告があるんですが、やっぱり中枢性の疲労は出てくるようで、やるとしても2週間程度にとどめておく方が良いとされています。
今はダブルスプリットルーティンでトレーニングを行えているかもしれませんが、いずれ無理になるかと思います。
ダブルスプリットルーティンが肉体的にきつい、スケジュール的に辛いってことになったら普通のトレーニングに変えれば良いのではないでしょうか。
リクエストにはお応えできなかったのですが、参考になれば幸いです。