近年話題のeスポーツ
eスポーツとはエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略で、ゲームで対戦する競技のことです。
日本では近年になって認知されてきた競技ですが、海外では多数の大会が開催されており、中には優勝賞金は10億円を超えるような大きな大会も存在します。
海外にはプロのeスポーツプレイヤーがおり、大会に出場して賞金を獲得するだけでなく、スポンサーが付いているプレイヤーも多数存在するとのこと。
さてそんなeスポーツプレイヤーに関する筋骨格系の不調について調べた研究があるので紹介してみたいと思います。
これから増えるであろうeスポーツプレイヤーの参考になれば幸いです。
eスポーツプレイヤー健康状態を調査
アメリカ・ニューヨーク工科大学の研究で、eスポーツプレイヤーの身体の不調について調査を行っています。
対象となったのはカナダやアメリカの9つの大学に在籍している18~22歳のeスポーツプレイヤー65人にゲーム・ライフスタイル・筋骨格系に関する不調についてアンケート調査を行いました。
アンケートの結果、平均で1日に5.5~10時間プレイをしているとのこと。
当然ですがこれだけモニターの前で座ってプレイしていれば身体の不調は出てくるわけで
- 目の疲れ:56%
- 首と背中の痛み:42%
- 手首の痛み:36%
- 手の痛み:32%
といった感じで長時間座り続けることによる身体の不調を感じているプレイヤーが多いとのこと。
また、アンケートに回答した対象が若いこともあってか、身体の不調を深刻に考えてはおらず、2%のプレイヤー(1人だけ)のみが病院で治療を行ったとのことでした。
eスポーツプレイヤーが注意したいこと
アンケート調査でいろいろと健康に問題があることがわかりました。
ここからは個人的な意見も加えながら詳しく見てみましょう。
モニターの見過ぎに注意
毎日5~10時間もモニターの前でプレイすることで明らかに身体の不調に繋がります。
モニターの光に含まれるブルーライトに長時間曝されることで、目の網膜や光受容体が傷つく可能性が出てきます。
また、ブルーライトを過度に浴びることで体内時計が乱れます。
サーカディアンリズムとも言われますが、体内時計は睡眠をはじめとした身体の機能を調整してくれている非常に重要な機能です。
それが乱れてしまうことで確実に身体にとって悪影響を及ぼすことになってしまうでしょう。
特に体内時計の乱れによる慢性的な身体の炎症が一番の問題でしょう。
慢性的な炎症が続けば動脈硬化に繋がり、心筋梗塞や脳梗塞などでプレイ中にポックリ逝く可能性も出てきます。
対策としてモニターを見ないのが一番ですが、せめてブルーライトがカットできるメガネなどを装着して行うと良いでしょう。
他にはモニターの色を少し黄色系の色にしておくことでブルーライトの影響を抑えることがでいるでしょう。
eスポーツプレイヤーは長時間モニターを見ることによるブルーライトの暴露に気をつけましょう。
手首や手の酷使による怪我
5~10時間もコントローラーを持っていると手首や指の怪我にも繋がります。
流石にいきなり痛めるといった急性外傷は少ないかと思われますが、慢性的な障害は多くのプレイヤーが感じているようです。
代表的な障害が腱鞘炎ですよね。
eスポーツはコントローラーを激しく操作(1秒間に10回、1分間に600回)します。
近年スマホの操作による腱鞘炎が増えているんですが、スマホの操作とは比べ物にならないくらいの酷使です。
まあそれだけ酷使したら腱鞘炎にもなりますよね。
特に女性はホルモンの関係もあって腱鞘炎になりやすいです。
まだまだ女性eスポーツプレイヤーは少ないようですが、今後増えていくであろう女性プレイヤーは要注意です。
さらに、痛みがあるのにプレイし続けることで腱鞘炎が悪化し、日常生活にも支障をきたすようになります。
最悪手術になってしまいます。
もちろんeスポーツはドクターストップがかかるでしょう。
eスポーツプレイヤーは腱鞘炎にならないように日頃から手首や指のストレッチやマッサージなどで十分にケアを行うようにすると良いでしょう。
長時間のプレイによる問題
eスポーツは基本的に座ってプレイされることが多いでしょう。
座った状態を5~10時間も続けていると問題が出てきます。
首の痛みや腰痛といった問題が出てきます。
このあたりはオフィスでパソコン作業をしている人達と一緒です。
長期間に及ぶと姿勢も崩れてしまい、首・肩・腰の痛みも慢性化してしまいます。
また、アンケートによるとプレイヤーの40%は全く運動をしていないとのこと。
eスポーツといっても身体活動量は非常に少ないので完全に運動不足です。
運動不足による健康への影響は皆さんご存知のとおりです。
長時間座っている+運動不足というダブルパンチは死亡リスクを格段に上げることになるでしょう。
プレイ以外の時間はできるだけ身体を動かすように気をつけたほうが良いでしょう。
最後に長時間座っていることによる一番の問題が深部静脈血栓症でしょう。
通称エコノミークラス症候群とも言われる病気で、長時間座っていることでふくらはぎあたりに血栓(血の塊)ができてしまいます。
特に集中してプレイしていると水分補給も忘れてしまいがちです。
それによってより深部静脈血栓症の発症リスクが高くなります。
深部静脈血栓症になると脚が腫れたり、痛みを感じることになってしまうでしょう。
痛くてプレイに集中できなくなったり、眠れなくなることも出てくるはずです。
まあ、腫れや痛みであればまだマシで、血栓が飛んで肺に詰まれば急性肺塞栓症です。
文字を見るだけでも危ないのはわかるかと思いますが、最悪死に至る病気です。
数時間水分補給もロクにしないで座ったままeスポーツをプレイし、トイレに行こうと立ち上がった瞬間に血栓が飛んで肺に詰まる。
そのまま救急車で病院へ…なんてシナリオが簡単に想像できてしまいます。
このように、eスポーツプレイヤーは長時間座ってプレイすることで健康状態が非常に悪くなっています。
対策として長時間プレイしないってことに尽きるのですが、プレイヤーであればどうしても長時間になってしまうでしょう。
ということでオススメなのがステッパーやランニングマシンなどで脚を動かしながらプレイするという方法です。
一部のオフィスでスタンディングデスクの発展版であるトレッドミルデスク(ランニングマシンに机がついたもの)が導入されていたりしますが、eスポーツプレイヤーも同じように運動しながら行うことで大きなメリットを得ることができるでしょう。
車を操作する系のゲームの場合はアクセル操作があるのでできませんが、それ以外のゲームであれば可能でしょう。
まとめ
eスポーツってまだ日本では認知され始めてきたってところですが、恐らく近い将来、子供のなりたい職業の上位にeスポーツプレイヤーがランクインしてくるでしょう。
ユーチューバーみたいに新しい仕事として人気が出てくるはずです。
おそらくそれと共に健康への問題も増えてくるでしょう。
このブログを見ているeスポーツプレイヤーやこれからeスポーツプレイやを目指すって方は少ないかとは思いますが、eスポーツを楽しむためには健康が第一条件です。
普段から健康には十分に注意し、eスポーツを楽しんでいただければと思います。