こんにちは。
奈良のパーソナルトレーナー下司です。
筋トレのテクニックの一つに事前疲労法という方法があります。
プレエグゾーションとか予備疲労法とかって言われたりもします。
普通にベンチプレスを行うと上腕三頭筋が先に疲れてしまい大胸筋を追い込むことができないということがあります。
フォームの問題とかも考えられますが、一般的には上腕三頭筋が弱いとこのようなことが起こります。
こういった場合にベンチプレスの前にダンベルフライなどで大胸筋を予め疲労させておき、その後にベンチプレスを行うことで上腕三頭筋が先にへばってしまうことなく大胸筋を追い込むことができるというトレーニングテクニックです。
事前に疲れさせるので事前疲労法ってわけですな。
まあまあメジャーなテクニックじゃないかなーと思います。
今回はそんな事前疲労法に関する研究を紹介します。
事前疲労法の効果を調査
この研究はブラジルで行われた研究で、事前疲労法の効果について調べています。
実験は普段筋トレを行っていない平均年齢31歳の男性31人を対象に行われました。
実験参加者を
- 普通に筋トレ行うグループ
- 事前疲労法を取り入れるグループ
以上の2つのグループに分け、トレーニングを行ってもらうというものです。
普通に筋トレ行うグループは45°レッグプレスを75%1RMの負荷で3セットというトレーニングを実施。
一方、事前疲労法のグループは、レッグプレスの前にレッグエクステンションを限界まで1セット行ってからレッグプレスを行いました。
事前にレッグエクステンションで大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を疲労させることでレッグプレスで太ももの前をより効かせるという感じですね。
こんな感じのトレーニングを9週間継続して行ってもらい、トレーニング前後の筋肉量の変化や体脂肪の変化を調べました。
結果
さて、実験の結果を見てみましょう。
事前疲労法のグループは太ももの筋肉(外側広筋)の厚みの変化が普通の筋トレを行ったグループよりも55%多いという結果が見られました。
一方、普通に筋トレを行ったグループは事前疲労法のグループに比べて全身と太ももの体脂肪量がより多く減っていました。
これらの違いは特にレッグエクステンションで太ももの前の筋肉が疲労してレッグプレスの強度が大きく下がった人ほどその差が見られたとのことです。
レッグプレスは太ももの前やお尻といった下半身の筋肉をたくさん使うトレーニング種目です。
レッグプレスしっかりと行うことで下半身の引き締めや消費カロリーの増加といった効果が期待できます。
ところが、事前疲労法でレッグエクステンションを行うと、太ももが疲れてしまってレッグプレスの強度が下がってしまいます。
疲れてしまっているので元気な時と同じ重さや回数を行うことはできません。
筋肉の発達には筋肉をしっかり疲労させることが大切だったりするので、筋肥大効果や筋力アップ効果は得られます。
今回の実験では筋肥大効果に関しては事前疲労法は効果的と出ています。
ただし、ダイエット・シェイプアップが目的になると違います。
下半身全体を使うレッグプレスをしっかりと行う方が消費カロリーも多くなり、ダイエット・シェイプアップ効果が高くなります。
事前にレッグエクステンションで太ももの前だけ疲労させてしまってレッグプレスの強度が下がってしまってはその効果が半減するってわけですな。
レッグエクステンションなんかしてないでレッグプレスだけしなさいってことです。
まとめ
ということで、事前疲労法は筋肥大・筋力アップには効果的だがダイエット・シェイプアップには向いていないということですね。
目的がダイエット・シェイプアップであるなら事前疲労法は取り入れず、スクワットやベンチプレスといった多関節運動を十分に高い強度で行う方が消費カロリーも増えて効果的でしょう。
ただ、事前疲労法がダメってわけでもありません。
怪我などの理由で多関節運動の強度を下げたい、でも筋肥大・筋力アップ効果は下げたくない…。
そんな場合は事前疲労法を取り入れることで後半行う多関節運動の強度を下げつつ筋肥大・筋力アップ効果を得ることができます。
とりあえず、ダイエット・シェイプアップ目的であれば事前疲労法は必要ありません。
筋肥大・筋力アップが目的の場合、事前疲労法を取り入れるのもありかな~って感じです。
個人的にはあんまり必要ないような気もしますね。
まあ好みもあるのでたまに事前疲労法を取り入れてみるのも良いかもしれませんね。
参考文献
Thiago B. Trindade et al. (2019) EFFECTS OF PRE-EXHAUSTION VERSUS TRADITIONAL RESISTANCE TRAINING ON TRAINING VOLUME, MAXIMAL STRENGTH AND QUADRICEPS HYPERTROPHY