筋トレ

ベンチプレスと腕立て伏せ どちらが効果的なのか比較

ベンチプレス vs 腕立て伏せ

近年自重(自分の体重)を利用したトレーニングが流行っています。

道具も必要なく、どこでも簡単に行うことができるのが自重トレーニングの特長です。

そんな自重トレーニングの代表とも言えるのが腕立て伏せ(プッシュアップ)ではないでしょうか。

男性なら誰もが一度は行ったことがあるでしょう。

 

腕立て伏せと似たような動きで人気の種目と言えばベンチプレスでしょう。

大胸筋という上半身の大きな筋肉が鍛えられるということから、特に男性から圧倒的な支持を集めています。

しっかりと筋トレをしている人の中でベンチプレスを行っていない人はいないのではないかと思われるくらい多くの人が取り入れている種目です。

 

では、腕立て伏せ(プッシュアップ)とベンチプレスに効果の差はあるのでしょうか

今回はそんな腕立て伏せとプッシュアップの効果を比較した研究を紹介します。

 

腕立て伏せVSベンチプレス

一見似たような動きのトレーニングであるベンチプレスと腕立て伏せ。

ベンチプレスの方が効果的なイメージがありますが、実際に腕立て伏せとベンチプレスの効果を比較した研究はほとんどありませんでした。

そこで、ノースダコタ州立大学の研究者らは、腕立て伏せとベンチプレスの効果の違いについて比べる研究を行っています。*1

 

実験はここ半年間、週2回以上の筋トレを行っているという18~45歳の男性23人を対象に行われました。

参加者を

  • ベンチプレスを行うグループ
  • 腕立て伏せを行うグループ

以上の2グループに分け、ベンチプレスもしくは腕立て伏せを週3回4週間トレーニングを行ってもらい、ベンチプレスの挙上重量・可能な腕立て伏せレベルの変化について比べました。

 

トレーニングの内容は、ベンチプレスを行うグループは6回3セット。

筋力が高くなるのに併せて負荷も上げていきました。

反復回数が若干少なめではありますが、極々一般的なベンチプレスと言えるでしょう。

 

対する腕立て伏せグループも6回3セットが基本です。

ただ、腕立て伏せはベンチプレスのように重りを増やして負荷を増やすということができません。

 

まあチューブとかチェーンとか工夫次第で負荷は増やせるものの、ベンチプレスのように「負荷を2.5kg増やす」といった感じで細かい調整はできません。

そこで、腕立て伏せを行うグループは筋力が高くなるのに併せてプッシュアップの形を変えていきました。

 

プッシュアップの種目に関しては以下のとおりです。

  1. ウォールプッシュアップ
  2. インクラインプッシュアップ
  3. ニーリングプッシュアップ
  4. 1/2プッシュアップ
  5. プッシュアップ
  6. クローズドプッシュアップ
  7. アンイーブンプッシュアップ
  8. 1/2ワンアームプッシュアップ
  9. アーチャープッシュアップ
  10. ワンアームプッシュアップ

強度の強弱で腕立て伏せの種目を10段階に分け、筋力が上がるに併せてプッシュアップの内容も強度の高いものに変えていきました。

両腕均等に行う種目に関しては6回3セット、片腕で行う種目に関しては片方3回ずつ両手で6回行い、トータルの回数はベンチプレスも腕立て伏せも同じ6回3セットで合計18回になるよう調整しています。

 

プッシュアップの種類について

プッシュアップの種類がたくさんあるので、どんな種目かざっくりとだけ見ていきましょう。

フォームの画像をつけましたので参考にしてください。

たまたま面白そうなandroidアプリを見つけ、時間をかけて10種類の腕立て伏せのポーズを作ったから見てもらいたいだけです。

 

1.ウォールプッシュアップ

ウォールプッシュアップ

手を壁について行う腕立て伏せです。

今回行われた種目の中でも最も負荷の軽い腕立て伏せ種目です。

高齢者やかなりの肥満者を対象とした運動で行われたりします。

 

2.インクラインプッシュアップ

インクラインプッシュアップ

机や椅子などに手を置いて行う腕立て伏せです。

ウォールプッシュアップよりも負荷は高く、床で行う腕立て伏せよりも負荷は低くなります。

画像の角度よりはもう少し身体を起こした状態で行っても良いでしょう。

 

3.二―リングプッシュアップ

ニーリングプッシュアップ

膝を着いて行う腕立て伏せです。

普通の腕立て伏せに比べると膝を着くぶん負荷は軽くなります。

このあたりまでは一般の女性でもできる方は多いことでしょう。

 

4.1/2プッシュアップ

1/2プッシュアップ

普通の腕立て伏せほど身体は下ろさず、半分(1/2)だけ下ろす腕立て伏せです。

一番きつくなる肘が90°の位置まで下さないので、普通の腕立て伏せよりも負荷は軽くなります。

画像ではボールみたいな球体が置かれていますが、半分だけ下ろすというイメージをしてもらうために置いているだけなので、ボールは置かなくてもOKです。

 

5.プッシュアップ

プッシュアップ

一般的な腕立て伏せですね。

踵から頭まで一直線をキープした状態で行うようにしましょう。

お尻が上がったり、おへそが落ちて腰が反ってしまうのはNGです。

 

男性なら少なくとも数回は行えるでしょう。

一般の女性ならこの腕立て伏せができれば自慢できるでしょう。

 

6.クローズドプッシュアップ

クローズドプッシュアップ

手の幅を肩幅程度にまで狭くした状態で行う腕立て伏せです。

通常の腕立て伏せに比べると大胸筋の関与が減るのできつくなります。

また、身体の上下動の範囲が大きくなることで仕事量が増えるのも特長です。

 

7.アンイーブンプッシュアップ

アンイーブンプッシュアップ

片手をミニボールに乗せた状態(不均等≒アンイーブン)で行う腕立て伏せです。

ボールに乗せている方は不安定で大きな力を出しにくくなり、通常の腕立て伏せよりも強度を高めることができます。

片手腕立て伏せの入り口のような種目です。

 

8.1/2ワンアームプッシュアップ

1/2ワンアームプッシュアップ

片手で半分(1/2)だけ下ろす腕立て伏せです。

両腕で行っていたのが片腕になる分、強度は大幅に高くなります。

画像では両脚揃った状態で行っていますが、バランスを取るために脚を開いても良いでしょう。

両脚を開くとバランスが取りやすくなり、負荷も若干軽くなります。

 

9.アーチャープッシュアップ

アーチャープッシュアップ

アーチャー(弓矢を扱う人)が弓を引いた時の姿勢のような形の腕立て伏せです。

同じアーチャープッシュアップでもボールを使わずに行うことの方が多いようですが、この研究では伸ばす腕側にミニボールを置いて行います。

片腕は伸ばした状態でミニボールに置き、身体を下げる時には外にボールを転がし、身体を上げる時には元の位置までボールを転がします。

ボールに乗せている側の腕はあくまでバランスを取るために使うという感じです。

 

10.ワンアームプッシュアップ

ワンアームプッシュアップ

片腕で行う腕立て伏せです。

両腕から片腕になるので単純計算強度は2倍に、バランスの取りやすさに関しては格段に難しくなります。

これができれば誰にでも自慢できるでしょう。

実験の結果

ベンチプレスもしくは腕立て伏せを週3回の頻度で4週間行った結果、どちらのグループもベンチプレスの最大挙上重量(1RM)が同程度増加しました。

また、可能な腕立て伏せレベルに関してはベンチプレスのグループは若干の増加に留まったものの、腕立て伏せのグループは明らかな向上が見られました。

大胸筋の厚みに関してはどちらのグループも若干増加したものの、有意差はなしという結果が見られました。

 

ベンチプレスをしたらベンチプレスの1RMが増えるのは当然ですが、腕立て伏せをしても同じように増えるということですね。

若干ベンチプレスを行ったグループの方が1RMの伸びが良いようにも見えますが、統計学的には有意差なしです。

 

対する腕立て伏せレベルに関してはベンチプレスグループは若干の伸び(平均1レベル分も上がっていない)に対し、腕立て伏せグループは2レベルくらい向上しています。

クローズドプッシュアップまでしかできなかった人が、4週間後には1/2ワンアームプッシュアップまでできるようになるといった感じです。

 

大胸筋の厚みに関してはどちらのグループも有意差が認められない程度の若干の肥大にとどまっていますが、4週間の実験では仕方ないとも言えるでしょう。

もう少し長期的になれば明らかな筋肥大効果も見られたのではないかと予想されます。

 

腕立て伏せを行うメリットは?

今回の研究の結果を参考にしつつ、腕立て伏せを取り入れるメリットについて紹介しましょう。

 

腕立て伏せのメリットその1 ベンチプレスの替わりになる

ベンチプレスはスポーツクラブでも非常に人気の高い種目です。

中には旅行や出張中であってもホテル内や近くのスポーツクラブでトレーニングをするって方もいらっしゃるでしょう。

ただ、旅行や出張先にそんな都合よくスポーツクラブがあるとは限りません。

 

ベンチプレスができない環境であっても腕立て伏せを行えばベンチプレスと同じように筋力アップ、筋肥大効果が期待できるでしょう。

腕立て伏せはベンチプレスの代替種目として便利な種目と言えるでしょう。

 

また、普段ベンチプレスを中心に行っているのであれば、刺激を変えるということでたまには腕立て伏せを行ってみるのも良いかもしれません。

いつもと違う刺激によって筋肉の発達を促すことができるでしょう。

 

腕立て伏せのメリットその2 体幹も同時に鍛えられる

ベンチプレスは頭・肩・背中・お尻・両足が着いた状態で行うのに対し、腕立て伏せは両手と両つま先だけが床に着いた状態となります。

そのため、ベンチプレスに比べて腕立て伏せは身体を安定させるために肩周り・腹筋などの体幹・脚の筋肉なども同時に使われることになります。

腕立て伏せは肩を安定させる筋肉を鍛える効果と、体幹トレーニングの効果も得られるということですね。

 

腕立て伏せのメリットその3 前鋸筋が鍛えられて肩甲骨の動きが良くなる

ベンチプレスをはじめとする多くの筋トレは肩甲骨を下げた状態で行うことになります。

ベンチプレスしかり、ラットプルダウンしかり、デッドリフトしかり、スクワットしかり。

 

筋トレを頑張れば頑張るほど肩甲骨を引き下げることになってしまいます。

肩甲骨が下がって固まってしまうと肩甲骨と腕の動きのバランスが悪くなって肩の痛みなどに繋がります。

 

腕立て伏せはベンチプレスとは違って肩甲骨を動かすことができます。

それによって前鋸筋が鍛えられます。

前鋸筋は肩甲骨の外転や上方回旋といった動きにかかわる筋肉で、この前鋸筋を鍛えることで肩甲骨の動きの改善につながると考えられます。

よって、腕立て伏せで前鋸筋を鍛えると肩甲骨の動きが良くなるということですね。

 

まとめ

腕立て伏せ(プッシュアップ)とベンチプレスの効果の違いについて紹介しました。

腕立て伏せvsベンチプレス まとめ
  • 腕立て伏せとベンチプレスでは最大筋力向上効果に差はない
  • 腕立て伏せはベンチプレスの代替種目になる
  • 腕立て伏せは肩周りや体幹も同時に鍛えられる
  • 腕立て伏せは肩甲骨の動きが良くなる

思ったよりも腕立て伏せが優れたトレーニングであることがわかりました。

負荷の調整がしにくいという欠点もありますが、腕立て伏せの種目を変えることである程度強度の調整もできるでしょう。

 

今までベンチプレスばかり行っていて腕立て伏せを行っていないという方はぜひ腕立て伏せを取り入れてみてください。

また、出張や旅行先などではベンチプレスの代替種目として腕立て伏せを行うようにすると良いでしょう。

チューブなどでも負荷を高めることができるので、ひとつ持っていくと便利かもしれません。

 

 

もちろんベンチプレスが悪いわけではありません。

細かく負荷を調整することができ、場合によっては腕立て伏せでは掛けることのできない大きな負荷を掛けることもできます。

大胸筋など上半身の筋肉の発達を長期的に見れば、恐らく腕立て伏せよりもベンチプレスの方が効果的でしょう。

 

ただ、短期的な実験とは言え、腕立て伏せがベンチプレスと同じような効果が見られたというのは大きな意味があります。

ベンチプレスの代替種目として腕立て伏せが有効であることを知っておくだけでもトレーニングのバリエーションを増やすことができます。

これからもベンチプレスの人気は変わらないかと思いますが、腕立て伏せの効果が見直され、トレーニングプログラムに腕立て伏せを取り入れる人も増えるのではないでしょうか。

 

 

ベンチプレスの代替種目にぴったりの腕立て伏せ。

一度試してみてはいかがでしょうか。

参考文献

*1:Kotarsky CJ et al. (2018) Effect of Progressive Calisthenic Push-up Training on Muscle Strength and Thickness.

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